「なんだか学校に行きたくない……」
我が子がそんなことを言い出したら、あなたは親としてどんなリアクションを取るだろうか。人によっては「またいつものことか」と気にも留めないかもしれないが、これが夏休み明けのタイミングであれば、少し事情が変わってくる。なぜなら、その訴えは必死のSOSである可能性が高いからだ。
命を絶ってしまう子どもの数は過去40年間で増加
平成27年版自殺対策白書によれば、18歳以下の自殺者で、過去40年間の日別自殺者数は夏休み明けの9月1日が最も多く、特に始業式前後は要注意。新学期の開始と同時にいじめが再開することを苦慮して命を絶ってしまうようで、夏休み以外ではゴールデンウィークなどの長期休暇明けに自殺者の数が集中するという。
2015年には鎌倉市立図書館が、『学校が死ぬほどつらい子は、図書館へいらっしゃい』とツイートして話題になったことは記憶に新しい。今年8月30日にも上野動物園が同様のツイートをして多くの共感を呼んでいたように、長期休暇明けは、親や教職員をはじめ、大人全体が子どもの変化に敏感にならなくてはいけない時期といえるのだ。
学校以外のコミュニティーの数をどれだけ増やせるか
とはいえ、親が共働きで、子どもと十分にコミュニケーションできない状況であれば、子どもの変化に気づくのは難しい。そこで現実的な対応策といえるのが、親が学校以外の場所でコミュニティーを築くことだ。
たとえば、地域のイベントに参加して学校以外のネットワークを築いたり、地元のクラブ活動に参加して学校とは違う友人をつくっておいたりすれば、そこが子どもにとっての逃げ場所となる。親自身が気づかない子どもの変化も、ほかの人が気づける体制をつくっておくことで、波打ち際で防ぐことができるといえる。
いじめ発見チェックリストを活用する
では、親自身が子どもの変化を見逃さないためには、どうするべきか。
いちばん手っ取り早い方法はチェックリストの活用だろう。たとえば、下記は東京都教育委員会が提示しているシートの一部抜粋だが、これだけでも十分に参考になる。
□笑顔が無く沈んでいる
□わざとらしくはしゃいでいる
□けがの原因を曖昧にする
□ノートや教科書に落書きがある
□登校を渋ったり、忘れ物が急に多くなったりする
最近のいじめの実態を知っておく
また、いじめの実態を知っておくことも、子どもを助ける効果的な手段だ。
たとえば、最近は、表面上では仲良しグループを装っていても、LINE上で無視や仲間はずれをして、相手をじわじわと追い込んでいくケースがあり、発見が遅れることがある。
今時の子であれば、SNSのアカウントを複数持っていて、本音と建前を使い分けることだって当たり前だ。そのため子どもがどんなアプリを使っているか、日常会話の中で把握しておくのもいいだろう。
いずれにしても「学校に行くことがすべてではない」。むしろ「命を絶つくらいならば、学校なんか行かなくてもいい」ということを子どもに伝え、万が一の逃げ場所をつくっておくことが、これから先は求められてくるといえる。