絵本作家ヨシタケシンスケが大人にウケる理由とは…。ヨシタケ流 仕事の流儀

2018/04/25
N田 N昌

ヨシタケシンスケは人気絵本作家でございます。4月18日から5月7日まで東京・松屋銀座で行われている、今最も旬な人気絵本作家の共演「MOE 40th Anniversary 5人展」の5人にも選出されております。

ヨシタケ様は、全国の絵本書店員の投票で選出される「MOE絵本屋さん大賞2017」で第1位を受賞。それだけではございません。絵本作家デビューしてわずか5年にもかかわらず、過去4作品が受賞。絵本書店員、絵本ファンから圧倒的な支持を得ている絵本作家様でござます。

「同じ絵本でも、いつの時代に読むかでまったく違ったものになる」

先日、そのヨシタケ様にインタビューさせて頂く機会がございました。

その際に伺ったのが、「ヨシタケ絵本に大人のファンが多いことについて、ご自身ではどう思われているのか?」でございます。

まず、ヨシタケ様が自分の絵本の感想として一番うれしい言葉が「大人が読んでもコレ面白いですね」なんだそうです。

そして興味深かったのが、ヨシタケ様ご本人が個人的に好きな絵本は、子どもの頃好きで、大人になってもう一回読んだ時に、また別の面白がり方ができる絵本とのこと。

子どもの頃、絵が好きで読んでたけど、大人になって読んでみると、「子どもの時にはわからなかったけど、この絵本は実はこういう読み取り方ができるんじゃないか…」そんな風に感じられる絵本だとか。

さらにヨシタケ様は、「同じ絵本でも、いつの時代に読むかでまったく違ったものになる。絵本は、そういうことができるメディアであり、自分もそういう絵本が好きなので、自分が描く絵本も、そういう現象が起きてくれる絵本になっているとうれしい」と語っておられました。

まさにそこに、大人から人気のヨシタケ作品のルーツがあるのでございます。

ヨシタケ作品のルーツ

具体的には、どんな絵本なのか?ヨシタケ様がそう感じた絵本を1冊、教えて頂きました。それがこちら。

「やっぱりおおかみ」(作・絵:ささき まき)

人気絵本作家の佐々木マキ様の代表作で、1977年の作品でございます。

ヨシタケ様いわく、「ちっちゃい頃、よく読んでいた絵本で、オオカミが自分の仲間を探す本なんだけど、さっぱり意味がわからなくて…、オオカミが途中でしゃべる言葉や行動がまったく理解できなかった。でも絵がかわいくてよく読んでいた。それが、大学生になった頃、本屋でたまたま見つけて、昔、よく読んでたなぁと読んでみたら、意味がわかったんです。こういうことを書いてある本なんだなと…」。その時に、ヨシタケ様は、絵本ってすごいんだなぁ、そういう力があるんだなぁと感じたそうでございます。

また、自分が絵本を初めてに書くことになった際、自分が好きな絵本は何だったかなと考えた時に最初に思い浮かんだのもこの絵本だったそうでございます。

そして最後に、こう締めくくられておりました。「やり方は違うけど、そういう現象が起きてくれる絵本が作れたら、自分はうれしいと思う」と…。

みなさまも、このゴールデンウィーク、子どもの頃に読んでいた絵本を久しぶりに読んでみてはいかがでしょうか…。

(文:N田N昌)

 

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この記事を書いた人

N田 N昌

放送作家・ナンセンス絵本マニア 「有田とマツコと男と女」「レゴニンジャゴー(アニメ)」 「天才テレビくんMAX」「小島慶子のオールナイトニッポンGOLD」 など、テレビ・ラジオ番組の構成脚本を担当。

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