コーポラティブハウスを舞台にした4組の家族の姿を描いたフジテレビ系ドラマ「隣の家族は青く見える」をご覧になられていますでしょうか…。
近年、話題になっている集合住宅・コーポラティブハウスが舞台。子どもが欲しいカップル、子どもが欲しくない女性とバツイチ男性のカップル、子どもと理想の家族像に執着する主婦と就活中の夫のカップル、男性同士のカップル、それぞれ今の時代らしい悩みを抱えたカップルたちの物語でございます。
タイトルの「隣の家族は青く見える」は、ご覧になった方はご存知の通り、ことわざの「隣の芝生は青い」がモチーフになっております。もちろん、タイトルから十分想像できるのですが…。自分のものより、他人のもののほうが良く見えてしまう、そんな意味でございます。
そもそもは、自分の家の芝生は、庭に出て正面から眺めるため、傷んだところがよく見え、隣の家の庭は柵を挟んだ斜めから見下ろして見るため、傷んだところが見えず綺麗に見えてしまうという現象のことでございます。
みなさまも一度は「隣の芝生は青い」をご体験されたことあるのでは…。「そうそう、青く見えちゃうんだよなぁ」と共感される方も多いかと。そこで今回は、「隣の芝生は青い」をテーマにした大人絵本を2冊、ご紹介させて頂きます。それぞれテーマは同じですが、アプローチがまったく違うところが面白いので、是非読み比べて頂きたいのでございます。
共感、満足して頂けること間違いナッシングでございます。まずはこちら。
「とんでもない」(作:鈴木 のりたけ)
2016年の「第9回 MOE絵本屋さん大賞」で4位に選ばれた人気絵本作家の鈴木様の作品でございます。こちらのお話は、主人公の男の子(人間)をはじめ、数々の動物が登場するお話。
まず、男の子がサイのことを「鎧のような立派な皮があっていいなぁ」と羨ましがります。すると、そのサイは「どんでもない!立派な皮は、重いんだよ。…。うさぎみたいに、ぴょんぴょん跳ね回りたいよ」と、ウサギを羨ましがります。
すると、ウサギはウサギで、「とんでもない!…」と、他の動物を羨ましがります。この展開が続々続いていきます。単純な展開でありますが、それぞれの悩みや細かい絵のこだわりがゴイスーなのでございます。大人が「やられた」と舌鼓を打ってしまうレベルでございます。絵も、ユーモアたっぷり、発想も豊かで、たまりまセブンでございます。是非、大人に読んで頂きたい絵本でございます。
そして、もう一冊がこちら。
「ペチューニアごようじん」(作・絵:ロジャー・デュボワザン 訳:松岡享子)
こちらは名作海外絵本、ペチューニアシリーズの1冊でございます。こちらのお話は、主人公のガチョウのペチューニアが、自分の庭ではなく、隣の庭の草、さらには丘のむこうに広がる草、さらには…と、よそのモノ(草)ばかりに目が行き、どんどん危険なところに足を踏み入れてしまうという物語。
同じ「隣の芝は青い」というテーマなのに、こんなに違うアプローチ、物語ができるものなのか、と体感できる2冊でございます。是非このタイミングで、ドラマとこの2冊の絵本、見比べてくださいませ。
(文:N田N昌)