一週間で映画制作!なら国際映画祭for Youthでこどもたちが創って観て審査

2021/09/24
マガジンサミット編集部

NPO法人なら国際映画祭が、映画を創ってみたい!というこどもたちの応援プロジェクトとして2021年9月18日〜20日まで「なら国際映画祭for Youth2021」を開催しました。奈良を舞台に映画制作を行った中高生ユースの皆さんの作品3作を上映。なんと制作期間は夏休みを使った一週間!

このプロジェクトを通じて芸術において次世代を担う若者を、映画作家の河瀬直美さんがエグゼクティブディレクターとしてまとめあげ、今回の映画祭までに至る映画制作の期間のお話などもお伺いしました。

[同性愛かソウルメイトか?「青い」とグローバルキャストの「スペース」]

まず初めにに上映されたのは、台詞はほとんどなしで進行される「青い」。

舞台は奈良の美しい自然の中で、少女が2人仲睦まじく遊んでいる様子が映し出されます。

「台詞がなくて表情だけで伝えるのが難しかったけれど、演出で助けてもらったりカメラの角度で思ったより伝わっていた」と話す役者のユースのこどもたち。描写は女の子同士の同性愛にもとれ、ソウルメイトのような関係にも見える少女たちは映画を観る側の感じ方次第で変わってくるような複雑なものでした。

奈良といえば鹿やお寺などを浮かべますが映画内では緑の深い山や木がメインで映っていて、奈良の違う魅力も伝わる映画でした。

次に上映されたのは制作に関わったメンバーのほとんどがインターナショナルスクールに通っているというグローバルなチームの作品「スペース」。「青い」とはある意味対照的にお寺や鹿といった奈良ならではの風景が広がる中、ハーフの子や髪の毛が青かったり、今風のキャストが登場していて風景と役者のギャップが面白く感じます。タイトルは空間を意味する「スペース」。「自分の空間と相手の空間。わたしとあなたの空間。人と自分は違うのが当たり前だから違う空間を共存できたら」と感じこのタイトルに決めたそうです。グローバルなメンバーだからこその作品になっていました。

[今の子どものリアルを感じられる「ライフライン」]

上から垂れ下がる綱の周りにいる女の子の人形が印象的なポスター。「ライフライン」は子どもたちは何を頼りに今を生きているのか考えさせられる映画です。

序盤はアイドルを推す3人の女子高生の日常を描いていましたが、だんだんと個々が抱える問題が明らかになっていき、最終的には何かを「命綱」に生きるというタイトルの「ライフライン」に繋がる大人を考えさせる内容でした。「気付いてないかもしれないけど、どっかには命綱があると思うのでわたしには何もないなんて思わないで」というメッセージが込められているそうです。

エンドロールのドキュメンタリーも制作に関わったこどもたちの本音や涙が映し出されており、同世代のこどもたちはもちろん同じような悩みを持つ大人にも観て欲しいと思う作品です。

[世界にはばたく才能が1000年後も届きますように]

クロージングセレモニーでは河瀬直美さんの「1000年先にも届くような映画祭でありたい」という言葉で閉会。

10代のこどもたちが何を考え何を感じているのか少し覗けるような作品たちでした。奈良の舞台を的確かつ個性的に使い、さらに観ている側にも「面白かった」だけでは表せない感情を与えた3作品は今後有料配信予定です。

一週間で創り上げたとは思えない映画ばかりなので、是非視聴してみてはいかがでしょうか。

※河瀬直美の瀬は旧字体が正式表記

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