自閉症の妹と二人暮らしの兄貴が貧乏に耐えかねて、妹に売春させる問題作。映画『岬の兄妹』が3月1日から公開。
地獄回転車ムービー
とある田舎の港町を舞台に、貧乏が染みる生活。とはいえ、言うことを聞かず暴れる妹とそれに振り回される兄貴の描写はどこかユーモラス。実際、試写室でも笑いが起きるんです。
しかし笑った分、その後で切ないシーンが待ってる地獄回転車ムービーの誕生です。
とうとう妹を斡旋
足の悪い兄貴が仕事をクビになり、友達から嫌がられながらも金を借り、就職戦線も連敗つづき。たまたまサービスエリアでトラック運転手に妹を斡旋した事がキッカケで自家製デリヘル稼業スタート。これは地獄の始まりでもあったんです。着地点不明な2人の生活は、作品の世界観へグイグイ引きずり込む吸引力はバツグン!
よくよく考えると、兄妹の住む部屋やデリヘルで出向く家など、大してお金は掛かっていない様子。なのに、気合の入った室内美術により、全く気になりません。
強者監督、本作がデビュー戦
本作のメガホンをとるのは片山慎三 監督。こんなハードな作品がデビュー作って、どうかしてると思っていたら、そのはず。ポン・ジュノ監督作品や山下敦弘監督作品などで助監督を務めた強者でした。
早速、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭の国内コンペティション長編部門で優秀作品賞と観客賞をダブルで受賞。
2人の変化に胸が……
デリヘル稼業で喜びを感じ、生き生きしてくる妹。逆に、どんどんと罪悪感に苛まれていく兄。2人の変化がまた切ない。地味な作品ではありますが、圧倒的な人間ドラマにノックアウトな一本になっております。
映画『岬の兄妹』は3月1日より公開です。
(C)SHINZO KATAYAMA
ギボ・ログ★★★★☆(星4つ)