1986年にタイトーから発売されたファミコンゲーム「たけしの挑戦状」が、2020年4月から舞台化される。タイトルは『たけしの挑戦状 ビヨンド』。
公演を実施するのは劇団ヨーロッパ企画で、公式サイトによると東京・紀伊國屋ホールの他、大阪・名古屋・広島・高知などで公演を行うと発表している。
公式サイトができているのだが、アクセスすると昔のファミコンを思わせる自体で「きむっけ゜せあっ」と書いてあるだけ。どんな展開が待ち受けているのかぞくぞくする。
なぜ伝説のクソゲー??
当時、ファミコンにハマっていたビートたけしが「今までにない独創的な発想を入れたい」として創作された。キャッチコピーは「謎を解けるか。一億人。」、広告には「成功確率 無限大数分の1」とあった。
発売は1986年12月10日だが、実はその前日に、あのフライデー襲撃事件が起きている。ソフトは今なら発売中止になりそうなところだがかまわずリリースされ、80万本を売り上げる大ヒットとなった。
ゲーム内容は、妻子持ちのサラリーマンである主人公が、南の島に眠っている財宝を探しに行くというアドベンチャーゲーム。
ただし、いざプレイしてみると難易度は異常な高さだった。ユーザーから、最初は斬新という声も聞かれたがあまりにも不条理で、これまでのゲームの常識を覆すギミックに「こんなのクリアできない」「買って損した」「放置」など不満を漏らす人が続出した。
例えば・・・
・ゲームをいざスタートさせようとするが「おやじをなぐる」を選択するといきなりゲームオーバー
・はじめに社長に退職届を出さないと、後々宝の島に到着しても日本に強制送還されゲームオーバー
・そのあと自宅へ行き妻と離婚しておかないと、後々宝の島に到着しても日本に強制送還されゲームオーバー
・家族や警官、ヤクザ、ただの通行人などと接触。敵でも味方でも攻撃ができる
・ある場面で、1時間、操作せずに放置しなければ必要なアイテムが手に入らない
など、ここには書ききれないほど。「なんだよそれ~~!」「ふざけんな!!」と言ってコントローラーを投げつけた人は大勢いたようだ。
私の友達が挑戦していて、そいつの家に遊びに行った際、一緒にプレイした思い出がある。始めて5日目だというが「ぜんぜん進まねー」と嘆いていた。
こうなると助けを求めたくなる。待ったのは攻略本だ。その攻略本について、記憶しているエピソードを少し起こす。
役に立たずの攻略本?
「たけしの挑戦状」は、サブキャラからの情報もほぼないため手探りで進めなければならず、しかも局面で選択肢を間違えると即ゲームオーバーが多かった。進まないので攻略本待ち状態になった。
太田出版が攻略本を出したが、読者から「読んでも解けない」という苦情が殺到。「担当者を出せ!」といわれ、咄嗟に「担当者は死にました」と対応した編集者が本当にいたそうだ。
約3週間後、急遽“攻略本の攻略本”が出版されたが、それでもパーフェクトな内容とはいえず苦情が絶えなかったとか。その本の後書きに、たけしのコメントとして「これで解けないからと言って、間違っても傘と消化器を持って太田出版に殴り込まないように」とあった。
ゲーム界に波紋を広げたこのゲーム。しかし一部ではこのクソゲーが、未来のゲームの可能性を示したとも言われたそうだ。
このゲーム、全てをクリアした最後にこんなメッセージが表示される
「こんなげーむにまじになっちゃってどうするの」
苦労してクリアして、ふざけんな! と憤った人も多かったという。しかし、たけしらしいと笑う人もいた。
舞台は絶対に最後までクリアできる?
じゃあ、舞台ではどんな結末が待っているのか? 即ゲームオーバーにはならず放置もできないので誰もがクリアできるはず。かつてゲームに四苦八苦した猛者こそ楽しめるのではないだろうか。