約半世紀ぶりの続編公開ということで話題なのが、そう「メリー・ポピンズ・リターンズ」でございます。
そもそも、1964年公開になった「メリー・ポピンズ」は、魔法の使える家庭教師メリー・ポピンズとその働き先であるバンクス家の人々との交流を描いたミュージカル映画でございます。その流れは、続編も変わっておりません。
メリー・ポピンズ・リターンズ観てきた。もう涙出てない時間の方が短くて目が開かない。嬉しくて懐かしくて。ああ、メリー・ポピンズってこういう映画だったよね。生きているということはとても光り輝いているものだと思い出させてくれる。大人は明日になれば忘れてしまうけれど。だからまた観に行く。 pic.twitter.com/HHIRwHMDVc
— 観山正道 (@mjmiyama) 2019年2月10日
さらに、そもそもは、イギリスの作家、パメラ・L・トラヴァースさまの児童文学「メアリー・ポピンズ」が原作でございます。
「風にのってきたメアリー・ポピンズ」(作:P.L.トラヴァース 訳:林容吉
出版社:岩波書店)
そう、「映画はメリー」、「小説はメアリー」なのでございます。主人公ポピンズの性格も少し違います。原作小説のメアリー・ポピンズは、子供たちに対してしつけが厳しく、少々怖いキャラなのでございます。ただ、子供達から嫌われているわけではございません。さらに、映画ではバンクス家の子供はジェインとマイケルの2人の設定ですが(続編では3人になっております)、原作小説では、姉弟以外に双子の姉妹がおります。
さらに、映画と原作の間には、こんなエピソードも…
パメラ・L・トラヴァースさまは映画化を嫌い、映画化を承諾した際も、脚本のアドバイザーとして映画に口を出す権利を要求。「アニメシーンを作らない」「楽しいミュージカル映画にしない」などの条件もだし、やっとディズニーによる映画化が実現いたしました。説得に14年もかかったとか…。
そのあげく、プレミア上映を観たトラヴァースさまは、あまりのひどい仕上がりに上映の間じゅう泣きどおしだったとか。もちろん、その後の続編企画は許さなかったそうでございます。今回の続編公開には、こんな黒歴史もあったのでございます。
そして、その「メアリー・ポピンズ」と、去年、初の実写映画が公開になった「クマのプーさん」の関係でございます。もちろん、映画はどちらもディズニーでございます。ですが、それだけではございません。
実は原作小説の挿絵の担当が親子なのでございます。「メアリー・ポピンズ」シリーズの挿絵を担当していたメアリー・シェパードさまの父親が、「クマのプーさん」の挿絵を担当されていたE.H.シェパードさまなのでございます。
ちなみに、メアリー・ポピンズの仕事の依頼は最初、父親のE.H.シェパードさまにきておりました。しかし、父親が多忙で、その代役に娘のメアリー・シェパードさまが抜擢されたのでございます。そう、シェパード家は、父、娘と2代にわたり、イギリスの児童文学に多大な功績を残されているのでございます。
是非、「メアリー・ポピンズ」と「クマのプーさん」の挿絵を見比べてくださいませ。ちなみに、2月9日から4月14日まで、東京渋谷の「Bunkamura ザ・ミュージアム」で、『クマのプーさん展』も開催中でございます。こちらでは、父親のE.H.シェパードさまの貴重な原画が存分にお楽しみ頂けます。
いよいよ明日開幕!プーさんの世界がいっぱいにひろがった展示も完成したよ。みなさんも、はやく遊びにきてね。#プーさん #明日開幕 #Bunkamura pic.twitter.com/Ln19lZZyTz
— クマのプーさん展 【公式】 (@wp2019jp) 2019年2月8日
そしてさらに…
原作「メアリー・ポピンズ」が映画化される経緯、制作秘話を描いた映画もDVDになっております。タイトルは、『ウォルト・ディズニーの約束』。主演はトム・ハンクスさま、パメラ・L・トラヴァース役は、エマ・トンプソンさまが演じられております。興味のある方は、こちらも是非。
(文:絵本トレンドライター N田N昌)