最近、大人絵本が注目を集めております。いわゆる大人が読んで面白い絵本でございます。筆頭にあげられるのが、「りんごかもしれない」「ぼくのニセモノをつくるには」「もう ぬげない」などで御馴染のヨシタケシンスケ様。
ヨシタケ様の絵本は「大人が読んでも笑えます!」という絵本でございますが、今回ご紹介する本は、「大人の方が笑えます!」という絵本でございます。
お笑いに厳しい人ほど笑えます。テレ朝の「アメトーーク!」で、絵本大好き芸人の回があったら、必ずNo1に推されるだろう絵本でございます。無理やり笑いのスタイルで例えるなら、板尾創路様のようなスタイル、淡々と描いているが、グリグリつぼをおしてくるみたいな…。
出典:https://www.facebook.com/tx.yushayoshihiko/
テレ東のドラマ24枠で放送されている山田孝之様主演の連続テレビドラマ、「勇者ヨシヒコシリーズ」が好きな方は、絶対、好きになる絵本でございます。長くなりましたが…、その絵本がこちらでございます。
「リスとお月さま」
(作・絵:ゼバスティアン・メッシェンモーザー 訳:松永美穂)
作者は、ドイツで注目を集めている若手絵本作家。この作品もボローニャ国際ブックフェアのベストイラストレーター展にノミネートされております。
デッサン風の繊細な絵とタイトルから、正統派の心あたたまる絵本かと思いきや…。いい意味で裏切ってくれる絵本でございます。
絵本というカテゴリーの中だけに余計に引き立つのかもしれません。
ストーリーは、月がリスの家に落ちてくるところから始まります。そこでリスが何を考えたかというと、「お月さまが、ここにあることが誰かに見つかったら自分が盗んだ犯人だと勘違いされ牢屋に入れられるのでは…やばい!」。そこでリスは必死で証拠隠滅をはかろうとする、そんな物語でございます。心温まる絵にシュールな展開、そのギャップを楽しんで頂けるはずでございます。
さらに!この絵本、細部にまでこだわっており、仕掛けも用意されております。
ページの隅々まで、しっかり観察してくださいませ。そして、読み終わりましたら、是非、見返し(絵本を開いて最初のページ)をご覧下さい。衝撃の謎解きが隠されております。
もし「リスとお月さま」を読まれて、面白いと思われましたら是非、「空の飛びかた」も読んでくださいませ。
「空の飛び方」(作・絵:ゼバスティアン・メッシェンモーザー 訳:関口裕昭)
こちらも一見、定番の心温まるお堅い絵本の雰囲気。色鉛筆と水彩のラフなスケッチ画風がとても素敵です。しかし、その画の中で展開される物語が…。
…なのでございます。ある男が1羽のペンギンに出会い、そのペンギンが空を飛べるようにしようと悪戦苦闘するのですが、その悪戦苦闘の内容がシュールなのでございます。その男がシュールなコントを演じる板尾創路様に見えてくるはずです。真面目な顔をしてくだらないことを淡々とこなしていく姿がたまりまセブンでございます。
余談でございますが、ニーチェ好きの方は、「いつか空の飛び方を知りたいと思っている者は、まず立ちあがり、歩き、走り、登り、踊ることを学ばなければならない。その過程を飛ばして、飛ぶことはできないのだ。」というニーチェ名言を思い出すかしれません。
2冊とも、笑いのセンスとアートレベルがすこぶる高い大人絵本でございます。
是非、一度ご体験くださいませ。
(文:N田N昌)