研究開発に対する積極的な投資や、イノベーションに注力する世界の企業・機関100社を選出する「Clarivate Top 100 グローバル・イノベーター 2021」のオンライン記者発表が、2月24日に開催されました。
アメリカGAFAや韓国のLGエレクトロニクス、サムスンエレクトロニクスなど有名企業が名を連ねる中、日本企業からは29社がランクイン。これはアメリカの42社に次ぐ2位の成績です。
台湾、韓国、中国がこれに続いており、日本を含めるAPACエリアが全体の43%を占めます。クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社のバイスプレジデント小島崇嗣氏は「この10年でAPACの躍進が目覚ましく、アメリカと東アジアが世界のイノベーションを牽引している」と分析しました。
また、小島氏は日本の特色についても言及。「分野別で見ると、日本は自動車関連製造が顕著。全体で6社選ばれたうちの5社が日本企業となっている。しかしソフトウェアや製薬の分野がグローバルで伸びている中、日本企業は入っておらず課題になっている」と話しました。
ものづくり大国を代表する2社が講演
2012年からスタートしたClarivate Top 100 グローバル・イノベーターは今年で10回目。富士通株式会社、パナソニック株式会社、株式会社日立製作所、信越化学工業株式会社、本田技研工業株式会社、ソニー株式会社、日本電気株式会社、株式会社東芝、日本電信電話株式会社、トヨタ自動車株式会社の10社は10年連続受賞となっています。
記者発表当日はものづくり大国を支える企業として、パナソニックIPマネジメント株式会社の足立和泰代表取締役社長と、株式会社日立製作所の比嘉正人氏が講演。時代背景に合わせた事業変革についてなどを語りました。
足立社長は「今は『顧客ニーズの多様化(V)』、『カントリークロスの増大(U)』、『異業種企業との共創』、『事業開発プロセスの変化(A)』を合わせたVUCA時代。この時代に我々の専門性、戦略性、機動性を活かして事業創出と成長に貢献していく」と提言。
一方、比嘉氏は自社が経験した「7,873億円赤字からのV字回復」を例に挙げ、事業構造変革や知財活動の変化について説明しました。
講演後は小島氏、足立社長、比嘉氏による3者対談を実施。「これからの10年で重要なこと」という質問に対し足立社長は「事業環境や知財、法律などは国によって違い、動きが激しい。臨機応変に周りに目を光らせられるかが大事」とし、比嘉氏は「知財という業種の枠にはめず、広い視野で物事を捉えていくこと」と述べました。
日本のトップ企業は世界的に見ても非常に優秀で、新しいイノベーションの発明に余念がありません。世界に誇れる日本企業の動向をチェックすると、より経済を楽しく見ることができるのではないでしょうか。