「働き方改革」という言葉が世に提示され、その意識も浸透してきたこの頃。みなさんもそれぞれこの言葉に対して、いろんなお考えをお持ちのことでしょう。そんな中で、近年注目されているのはRPA(Robotic Process Automation)というキーワード。これは、これまで人間が手作業でおこなってきたルーティーンワークなどの業務を、ロボットで代行して業務の自動化や効率化を図る仕組みのことです。
仕事の形態についてよくホワイトカラー、ブルーカラーといわれることがありました。オフィスでの業務が中心のホワイトカラーに対し、肉体労働的な作業が中心になるブルーカラー。機械によって飛躍的に改善されたブルーカラーと比較し、“考えることが仕事の中心”的なイメージがあるホワイトカラーは、なかなか効率化という面の課題は困難という見方をされていました。
ところがよくよく分析してみると、オフィスワークも意外に定型化した業務は混在していることも多い。そういったことが、RPAというジャンルを生み出し、注目を集めるようになった背景にあるといえるでしょう。
そして、アルバイト・パート求人情報サイト「バイトル」、総合求人情報サイト「はたらこねっと」などを運営しているディップ株式会社(以下、ディップ)より、次世代型RPAサービス『コボット』の提供を開始することが、28日に発表されました。今回はこの発表の内容をご紹介します。
■「高い」「導入まで時間がかかる」RPAの課題
近年、人口は減少の一途をたどっており、2053年に日本の人口は一億人を切ってしまうだろうといわれています。すると当然企業としては、先述の「働き方改革」以前に、人材不足という課題に万年悩まされている状況にあります。これに向けた対策として考えられているのが、一つはインバウンド、つまり外国人労働力の確保であり、もう一つがAI・RPAによる作業効率化というところであります。
一方RPAというと、成長分野ではあるもののこれまでは大企業向けの大きな規模によるサービス提供が通例でありました。例えばこれを中小企業で導入しようとすると「導入コストがかかる」「導入までの期間が長い」「保守コストがかかる」という3つの問題がありました。
RPA導入には、まず企業の行う業務分析から、どの業務に対するサービス提供を行うかという部分の健闘から始まります。当然カスタマイズ品となりますので、このロボット開発における導入コストは高価なものになります。当然それに伴う導入機関も、すぐというわけにはいきません。またカスタマイズ品のため、そのロボットに応じた保守というのも高価になります。
■現存RPAの課題に挑戦した新サービス「コボット」
これに対し「コボット」は、事前に標準的なロボットを開発することにより3つの課題に対する解を取得しています。まず第一弾として提供されるサービスでは「人材派遣」の業務に特化したテンプレートを展開。「はたらこねっと」の3000社の定例業務を分析し開発された「応募対応」「出稿業務」「派遣業務管理」の効率化をサポートするロボットを提供します。
事前に開発されたものが提供されるので、企業側としては導入に際し、業務をある程度業務に合わせる、あるいはロボット側を若干でもカスタマイズし業務に合わせるという作業が必要になりますが、それがクリアできれば、短期間での導入が可能になります。
導入コストとしては、ロボットの運営に対し一定の月額費用を支払うのみ。当然、標準的なロボットであり保守という面も充実しているため、安定した保守を安価で受けることができます。
ここまでで、今回のサービスは大企業でなくても導入の可能性が見えてくるものであることがお分かりいただけると思います。また、まずは「人材派遣」の業務に特化したロボットからのスタートですが、将来的には「飲食」「小売」など、様々な業種・業務に対象を拡大していく予定となっています。その可能性はますます広がっていくことでしょう。
■RPAのさらなる可能性
またこの日は、ディップと密接に関係する3社の役員の方々が登壇しトークセッションを実施。人材派遣企業の日本リック社では試験的に「コボット」を先行して導入中、繁忙期でない近日でもある程度の効率化がすでに認められていることが明かされています。
また、人材派遣企業へ人材管理の基幹システムを提供されているユニテックシステム社からは、某企業の業務分析を行った際に、ある担当者の約4割の業務が、定型業務にできるものと分析されたことがあった、などといった情報を語っていました。
冒頭でもこれに準じたことを述べましたが、たとえばその4割の業務がRPAにより効率化できるとなると、これは大きな業務変革になります。そういった面などを合わせて、今後RPAサービスはさらに注目される、いや注目していく必要があるものとなっていくでしょう。