デキるビジネスマンってどんな人?
あなたが新入社員だったとして、上司に「人数分のコーヒーを買ってきて」と頼まれました。社内にいる数は男性12人女性3人の合計15人。さて、どんな買い物をしますか?
新入社員ですから下手なことはできません。だから一番人気のありそうなものを15本買ってきた。会社に戻ったら「ありがとう、ご苦労さん」と言われるでしょう。
でもそれはデキるビジネスマンとはいえないのです。
デキるビジネスマンなら例えばブラックを5本、微糖を5本、カフェオレを5本買います。社に戻ってこう言います。「苦いのが苦手な方もいらっしゃると思い、3種類買ってきました。お好きなのを選んでください」。こうする人は社内でも「デキるやつだ」と思われるでしょう。
ポイントは"その後"!
「3種類買ってこいとは言われてない」「言われたこと以外のことをして怒られたくない」。こう思ってしまうのはデキるビジネスマンとは言えません。
BtoBの営業商談の場だったらどうでしょう。会社からノルマを課せられた営業マンが1件でも多く、早く成約が欲しいのは当然です。商談の場では自分が受注するために色んなPRをするでしょう。「我が社の商品はこういった利点があって…」、「こうすることで御社にこういった貢献ができ…」。
もちろんこういった営業手法で受注に至るケースもあると思います。
でもデキる営業マンは違います。「この商品を導入したら御社の顧客はこう感じるでしょう」、「この商品をきっかけにこういった顧客層の獲得にもつながり更なる飛躍が期待できます」。そうです。デキる営業マンは『受注するために』ではなく『受注した後のこと』を商談の場で語るのです。
サービスの先にある“バリュー”を提供する
言われたこと、与えられたものを忠実にこなすことは間違いではありません。
ガソリンスタンドに車が入ってきました。「レギュラー満タンで、あと窓も拭いてください」。スタッフは言われたこと、与えられた仕事を忠実にこなします。これがサービスです。サービスを提供すればお金をもらえます。
では、もっとドライバーに喜んでもらえる方法はないでしょうか。「お客様、タイヤの空気圧が低くなっているようです。安定性が損なわれる危険もあり、燃費も悪くなりますので、早めに調節したほうが良いですよ」。仮にそこのガソリンスタンドでは空気圧の調節をしなくてもドライバーは「あのスタンドのスタッフ、親切だな。また利用しよう」と思うでしょう。
このひと言こそが“バリュー”。いわゆる付加価値です。
『バリュー』を提供することが“デキる”と評価されることにつながります。
100点のテストで120点とる、ということ
先ほどの事例を学校のテストで考えてみましょう。「人数分のコーヒーを買ってきて」という問いに対して「人数分のコーヒーを買ってきた」。なるほど、学校のテストでは100点満点だと思います。しかし、ビジネスにおいてはすべてが100点満点のテストではないのです。
新入社員であれば、ビジネスのテストはもっと難しくなるでしょう。右も左も分からない、知識や経験もない中で与えられた問題。ここで、100点満点はとれないまでも70点くらいとれれば怒られないだろう、と思って仕事をしていては「デキるビジネスマン」にはなれません。
「もしかしたら赤点をとってしまうかもしれない、それでも100点、いや120点をとれるようチャレンジしてやろう」。100点満点の先にあるプラス20点。ここを目指すという発想を持つ人が“デキるビジネスマン”だと思います。
大事なのは120点を目指すという発想を持つこと。そこにチャレンジしていくこと。怒られないようにするのではなく、褒められようと思うこと。学校のテストでは100点満点の最高点は100点です。しかし、ビジネスのテストでは100点満点以上をとれるやり方がいくつもあるのです。
< 取材・文 / Shoichi Sato >