ダンロップの開発担当者に聞いた「スタッドレスタイヤ豆知識」

2020/08/21
佐伯美佳

WinterMaxx03

普段、何気なく履いているタイヤ。今年の夏から秋冬にかけては、コロナの影響でマイカー通勤や車レジャーを積極利用し、感染予防を考えている人も多いかもしれません。このたび、早くも冬の雪道に最適なスタッドレスタイヤの新作がダンロップから発表されました。

そこで今回は、ダンロップのタイヤブランドを展開する住友ゴム工業の開発担当者に、スタッドレスタイヤの開発工程や豆知識を聞いてみました。

スタッドレスタイヤとは?

知っているようで知らない「スタッドレスタイヤ」。スタッドレスってそもそも何なのでしょうか?

スタッドとは「鋲」のこと。積雪や氷上でも安全に走るために、40年頃前まではタイヤに鋲が付いたスパイクタイヤが主流でした。しかし、1980年代にスタッドによる舗装道路での粉塵被害が社会問題に。そこで、鋲が無いタイヤ=スタッドレスタイヤが発売され、1991年にはスパイクタイヤは発売が禁止されました。

つまり、スタッドレスタイヤはスパイクタイヤの欠点を埋める製品だったのです。

スパイクなしでも氷上で止まれるワケ

冬タイヤ

ところでスタッドレスタイヤは、なぜスパイクなしでも氷上で止まれるのか、不思議ではありませんか?

1980年代の開発当初は、タイヤをやわらかくし、接地面を大きくすることで氷雪路面で止めることを主眼に開発されていました。

しかし、そうしたタイヤを使用していると、凍結路面が圧縮と磨かれることで「ミラーバーン」という凍結して鏡面のように反射してつるつるの状態になる、非常に滑りやすい路面ができてしまい、北海道や東北地域で発生して大きな問題になってしまったのです。

そこで、1990年代半ばには各メーカーはアイスバーンやミラーバーンなどの凍結路面で止まるタイヤを主眼においた開発がはじまりました。

凍結路面で車が滑る原因は「氷面にある薄い水膜」であることを発見し、この水膜をどのように除去するか、各社個別のアプローチを行っています。それが「除水性能」と呼ばれるもので、年々、進化し続けています。

スタッドレスタイヤの開発はどのように行っている?

WinterMaxx03

このたび、ダンロップのスタッドレスタイヤシリーズである「WINTER MAXX(ウインターマックス)」の3代目「WINTER MAXX 03」が2020年8月1日から発売されました。このタイヤは、2代目の「WINTER MAXX 02」と比べて、「氷上性能」という氷の路面でブレーキをかけたときにどのくらい早く止まるかという性能が、22%アップしています。一般的には、せいぜい10%アップといわれるところ、2倍以上アップさせたというのは驚きです。

そんなWINTER MAXX03の開発を手がけた住友ゴム工業のタイヤ設計担当の中島翔さんに、開発についての豆知識を伺いました。

中島 翔さん
タイヤ設計担当者 中島 翔さん
タイヤ技術本部 第一技術部 課長代理
入社以来10年間、冬タイヤ開発一筋のダンロップが誇るMr.スタッドレス。初代WINTER MAXXから開発に参画しており、その歴史を全て知る唯一の男。

―そもそも冬タイヤの開発は、どのように行うのですか?夏タイヤとの違いは?

中島さん「基本的なタイヤの作り方や手順は同じです。ただ、夏タイヤとの違いとして、冬タイヤは、冬にしか確認できないところがあるということです。実際の雪の路面でないとわからないことがあります。スケートリンクやツルツルに磨かれた市街地の交差点を想定した氷の路面を作って走ってテストしています。

また、雪道や氷の路面というのは、日本の東北地方と北海道地方でも雪の質が違ったり、いろんな路面の種類がありますので、そういったところを走りながらフィードバックしていくという作業が絶対に欠かせないんです。ですから、開発期間がどうしても長くなってしまうというのはあります」

―タイヤの溝とか、凸凹(でこぼこ)とかが、1ミリ違うだけで、性能が変わるということってあるんですか?

中島さん「あります。走ってみて僕らとしてはそれなりに自信を持っていたタイヤなんですけども、テストドライバーなどが評価した結果、これはなんだと言われることもありますね。そういったときに、例えば溝を1本掘り足す、ちょっと深くするなど、最適な改善手法の検討をします」

―スタッドレスタイヤの開発でむずかしいところはありますか?

中島さん「一般的に、スタッドレスタイヤというのは、氷上性能を上げようとすると、背反するところが出てきます。例えばゴムがやわらかくなって、走るときにぐにゃぐにゃに感じたり、すり減りやすくなって摩耗したりします。ですから、そのバランスが重要になります」

スタッドレスタイヤは、想像以上に大変で、むずかしいところがあるようです。そんな中でも、氷上性能を2倍以上アップさせたというのは驚きますね。

スタッドレスタイヤ使用時に知っておきたい豆知識

WinterMaxx03

続いて、普段、スタッドレスタイヤを使用する際に、知っておきたい豆知識を中島さんに教えていただきました。

1.一年中つけていても問題ない!?

―スタッドレスタイヤは、一年中つけっぱなしの人がいますが、それってまずいですよね?

中島さん「スタッドレスタイヤは、昔と比べたらいろんな性能が高くなっているので、気をつけていただけば、年中使っても大丈夫かなと思っています。僕の周りにもスタッドレス履きっぱなしの人は何人もいますし、問題なく使えています。ただし、夏タイヤと特にどこが違うかというと、ウェット性能(※)です。これは氷上や雪上性能と背反しやすいところです。普通に走っている分には問題ないですが、雨の日に急ブレーキを掛けた時の制動距離は差がありますので、1年を通して使う場合には、それを理解して運転していただく必要があると思います」

※ウェット性能:雨天走行時でも安全に走行できる性能。濡れた路面でもきちんと止まるなど。

2.半分以上削れるとスタッドレスとして機能しない!?

とはいえ、タイヤは履いているうちに削れてきてしまうのは要注意だといいます。

中島さん「スタッドレスタイヤは、溝の深さの半分まではその冬性能を発揮するというのが原則です。日本で出ているスタッドレスタイヤは、他社さんも含めて、少なくとも溝の深さの半分まではスタッドレスとして使えるように開発されています。ですので、溝が50%以上削れてくると、冬タイヤとしての使用は厳しくなってきます。

当社のウィンターマックスブランドは、溝が削れにくいことに自信を持っておりますので、販売店さんからも長持ちするというお声をいただいてます。ですので、ちょっと早めの時期から履いていただいても全然大丈夫だといいます」

降雪地域の人や、雪道をレジャーで走る場合などは、今年は早々とスタッドレスタイヤを装着するのも良さそうです。

 

【参考】
DUNLOP「WINTER MAXX 03」

 

 

 

冬タイヤ

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この記事を書いた人

佐伯美佳

国内出版社のWeb媒体を中心としたライター。Web業界を経て、ライターとして独立・起業。健康・美容・グルメ・ライフスタイル・ビジネスのジャンルを中心に執筆中。思わず読みたくなり、読んだら得する情報を発信してまいります。

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