コロナ禍で、漫画をじっくり読む時間ができた人はとても多いようで、電子コミックの売上がかなり拡大しているとのこと。おうち時間にオススメの、心に深く刺さるおすすめコミックを探してみました。
コロナ禍なので感染症もの
以前より感染症が出てくるコミックは数多くあります。たとえば『ベルサイユのばら』では天然痘、『大奥』には赤面疱瘡という謎の伝染病が描かれています。そんななか、私がコロナ禍に真剣に読んだのは『Final Phase』でした。この漫画はハンタウイルスによる感染症を題材にしているのですが、ロックダウンの様子も出てきて、コロナ禍の現代世界とかなり近いのです。
本当に不思議なくらい、この状況を予言しているかのように「クラスター」や「濃厚接触者」という言葉も出てきますし「発熱相談センター」ができます。そして街は閉鎖させ、人々は2メートル以上離れて行動するように言われるのです。登場人物たちの懸命な努力を読むと、乗り切る勇気も出てきます。
家族の問題を漫画で読む
また、毎日長時間、家族と顔を突き合わせているせいか、家族問題を取り上げる漫画も真剣に読みました。『リエゾン』は、児童精神科医と子どもたちを描いた社会派コミックです。受験や親の干渉など、子どもを取り巻くストレスがどれほど心に負担をかけているか、読んでいるとせつなくなってきます。
『「子どもを殺してください」という親たち』は、タイトルには子どもとありますが、実際には、大人の引きこもりなど、かなり深刻な事例を扱っています。子どもの言いなりになり、耐えかねた親たちのSOSには切実なものがありますが、やはり子どももまた苦しんでいるのです。
心を豊かにするコミックとは
『GINGER』2021年2月号では「私たちを豊かにするBESTコミック」という記事では、「不自由な生活が続いた時期に漫画で勇気や笑いをもらった人が多数」と書かれていますし、実際、私も含めそうだと思います。
記事でも何冊もコミックが勧められていますが、私が一番心惹かれたのは『夢の端々』です。85歳のおばあさんの人生をたどる物語ということで、かなり重厚そうです。何しろそのおばあさんは、20代の頃、女性と心中しようとしたというのですから……。
時間をかけて、普段は手を出しづらい深いテーマのコミックをしっかり読み込むのも、人としての深みを得る良いきっかけになるかもしれません。