電気代高騰にどう備える?さいたま市で専門家が解説した「節電の限界」と太陽光の選び方

2026/08/04
マガジンサミット編集部

記録的な暑さが続き、家庭の電気代への関心が高まるなか、2026年7月28日、浦和コミュニティセンターで「さいたま 電気代相談会」が開催された。

第一部の講演会では、電気代が上昇する背景や家庭で取れる対策、太陽光発電・蓄電池を導入する際の注意点を専門家が解説。続いて、さいたま市が進めるゼロカーボン施策が紹介されたほか、第二部では検針票をもとにした個別相談会と、親子で楽しめるワークショップも行われた。

電気代はなぜ上がる?「節電だけでは限界も」

最初に登壇したのは、株式会社EX-World代表取締役でありYouTubeでは「太陽お兄さん」として情報発信する高島氏だ。

高島氏は、家庭の電気代はここ10年ほど上昇傾向にあると説明。燃料価格が上がる一方、現在は政府の補助によって負担が抑えられているため、値上がりの実態を感じにくい面もあるという。

家庭で取り組みやすい対策は、電力プランの見直しや節電だ。ただし、猛暑のなかでエアコンの使用を控えすぎれば、健康被害につながりかねない。高島氏は「節電も毎年言われていて、もうデフォルトになっているように感じる」と話し、我慢だけに頼らない対策も必要だと呼びかけた。

太陽光発電は「適切な商品を適切な価格で」

そこで選択肢の一つとして挙げられたのが、家庭用の太陽光発電と蓄電池だ。太陽光発電には「廃棄費用が高い」「元が取れない」といった否定的な情報もあるが、高島氏は住宅用設備の実態とは異なる内容も広がっていると指摘した。

導入時に重要なのは、自宅に合った商品を適切な価格で購入することだという。複数社から見積もりを取り、設備容量や製品、工事内容、価格を比べることが、相場から外れた契約を避けるうえで有効だ。

また、削減額は屋根の形状や電力使用量によって異なるため、見積もり時には収支シミュレーションを確認する必要がある。一般的な目安として、高島氏は太陽光発電で月5,000円程度、蓄電池を加えることでさらに月5,000円程度削減できるケースを紹介した。

一方で、設備には高額な初期費用がかかる。ローンの支払額や売電収入も含め、長期的な収支を見たうえで判断することが欠かせない。

商品だけでなく「どこから買うか」も重要

講演の終盤では、販売会社選びの重要性も語られた。

太陽光発電は専門知識が必要なため、販売側と消費者との間に情報量の差が生まれやすい。なかには、適正価格を知らない消費者に高額な商品を販売する事業者もあるという。高島氏は、複数の提案を比較し、信頼できる会社を選ぶことも大切だと指摘した。

主催するアイチューザーからは、一定の条件を満たす販売施工事業者による入札を通じ、設備をまとめて購入する「共同購入」の仕組みも紹介された。購入先や価格を比較する際の選択肢の一つとなる。アイチューザーは現在、さいたま市をはじめとする埼玉県内の複数の市町村と協定を締結し、太陽光パネル・蓄電池の共同購入事業「みんなのおうちに太陽光」を運営している。

さいたま市が進めるゼロカーボン施策

続いて、さいたま市ゼロカーボン推進戦略課の髙井氏が登壇。地球温暖化の仕組みと、市の取り組みを紹介した。

さいたま市は、2050年度までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」の実現を目指している。2030年度までに2013年度比で51%削減する目標を掲げる一方、2023年度時点の削減率は22.3%で、さらなる対策が必要な状況だという。

さいたま市では、全市立学校への太陽光発電設備と蓄電池の設置、公共施設へのソーラーカーポートやペロブスカイト太陽電池の導入などを推進。さらに、ごみ焼却時の熱で発電した電力を市立学校や排水施設へ供給し、「電力の地産地消」も進めている。

髙井氏は、家庭に関連する温室効果ガスも全体の約2割を占めると説明。省エネ家電への買い替えや住宅の断熱化だけでなく、「食べ残しを減らす」「宅配便を一度で受け取る」といった行動も削減につながると呼びかけた。

講演後は個別相談会と親子向けワークショップ

第一部終了後は、参加者が持参した検針票をもとに、太陽光発電を導入した場合の電気代削減額を確認する個別相談会が行われた。

さらに、会場では木製のうちわへ絵を描くワークショップも同時開催。子どもたちが制作を楽しむ姿も見られ、家族で参加しながら電気や環境について考えられるイベントとなっていた。

家計と環境を、自分の暮らしから考える

今回の講演で示されたのは、電気代対策に一つの正解があるわけではないということだ。

節電や電力プランの見直し、太陽光発電の導入など、選択肢は家庭ごとに異なる。だからこそ、現在の使用量や家計を把握し、複数の情報を比較したうえで判断することが大切になる。

家計の負担を抑えることと、脱炭素に向けた行動は、決して別のテーマではない。今回の相談会は、日々の暮らしの延長線上から、エネルギーの使い方を考える機会となった。

 

みんなのおうちに太陽光 公式サイト:https://switchtogether.jp/

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