財布もスマホもいらない“顔パス”のまちが福岡に!九大跡地「HAKOZAKI BLOCK」始動

2026/10/30
マガジンサミット編集部

財布もスマホも、家の鍵すら持たない。保育園の送迎も、カフェでの支払いも、自宅の玄関も“顔パス”で済む。そんな暮らしが、2028年度に福岡で始まる。舞台は、100年以上の歴史をもつ九州大学箱崎キャンパスの跡地だ。約28.5haの敷地に約5,400人が暮らし、日本最大級のフードパークも誕生する。10月22日の発表会で、九州大学箱崎キャンパス跡地地区事業のプロジェクト名称が「HAKOZAKI BLOCK」に決定したことが発表された。

知と記憶を受け継ぐ「BLOCK」

名称の「BLOCK」には、まちを形づくる「街区」の意味がある。そこに、1911年の創設以来続く九大の知と記憶を受け継ぐレンガ、箱崎の「箱」、知やアイデアを積み上げる積み木の意味を重ねた。コンセプトは「好奇心まで、ひらくまち。」である。来賓の九州大学・赤司浩一総長は「長年私たちを育ててくださった箱崎で、今度は私たちが新しい街を育てる力になりたい」と期待を寄せた。

暮らしに必要なものが、まちの中にそろう

住宅は分譲約2,000戸、賃貸約770戸で、寮や高齢者向け住宅も整備する。約5,400人が暮らすまちとなる。国道3号沿いには、エディオンの九州最大規模の旗艦店、ロイヤルホームセンター、イオン九州の大型食品スーパーが出店する。中央には日本最大級のフードパークが誕生する。一度顔を登録すれば、保育園の送迎から支払い、自宅の解錠まで顔ひとつで済む。共通IDは、希望者にだけ発行するオプトイン方式とする。

IOWNで大学とまちをつなぐ「キャンパス×シティ構想」

後半のトークセッションには、NTTドコモビジネスの工藤晶子副社長、九州大学の井上弘士理事・副学長、住友商事の古川睦・箱崎プロジェクト室長が登壇し、次世代通信基盤「IOWN」について語り合った。

工藤副社長によると、人間の脳は約20Wで動く。一方、AI向けデータセンターは約10万世帯分の電力を使うという。IOWNは、通信から機器の内部までを光に置き換える技術だ。消費電力を大幅に減らし、遅延を小さくすることを目指している。活用例としては、約110km離れた病院同士をつないで手術ロボットを遠隔操作する実証を挙げた。全国に分散する希少疾患患者のデータを活用した創薬や、自動運転への応用も紹介した。

開発予定地の現在の様子(2026年10月撮影)。

古川室長によると、NTTグループとは3年以上前から議論を重ねてきたという。その成果として、3者は九大の各キャンパスと箱崎をIOWNでつなぐ「キャンパス×シティ構想」の協定を締結した。井上副学長は検討の出発点を振り返り、「IOWNで何をするかではなく、IOWNを使う新しいものが生まれ続ける場をつくろうと考えた」と語った。

まちはスマートなだけでなく、成長し続ける必要がある。その原動力は大学の研究だという。半導体や材料からデバイス、システム、暮らしまでを一気通貫で社会実装できる場は世界でもまれだとして、「この地を中心にアジア、世界へ出ていく」と意気込んだ。工藤副社長も「黒衣としてインフラを支えたい」と述べた。

HAKOZAKI BLOCKは、緑化率40%・樹木1万本超の緑に加え、3日間自給できる防災機能も備える。古川室長は「天神や博多と戦うのではなく、箱崎だからこそできる取り組みをしていきたい」と語った。箱崎の1000年の歴史と九大100年のレガシーを土台に、福岡から世界へ発信するまちづくりが動き出した。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

マガジンサミット編集部
この記事を書いた人

マガジンサミット編集部

編集部のTwitterアカウントはこちら 【マガサミ編集部Twitter】 編集部のYoutubeアカウントはこちら 【マガサミYoutube】

マガジンサミット編集部が書いた記事

あなたへのおすすめ

カテゴリー記事一覧

pagetop