「認知症」という言葉をニュースなどでよく目や耳にするようになりましたよね。うちの祖父母や両親が将来、認知症になったら…と一度は不安になったことがあるのでは。
認知症になること自体ももちろん避けたいですが、本人の預金口座が凍結されることで、家族も困ってしまうのをご存知でしょうか。
そんな不安の大きい認知症を予防する、家族で楽しめるアプリやゲームをご紹介します。
■凍結資産は2020年で約252兆円、2040年には345兆円に
三井住友信託銀行が、認知症高齢者の保有する全国の資産額を独自に推計したところ、今後約20年間でその資産額が大幅に増加したことがわかりました。
日本の認知症高齢者が保有する資産総額は2020年で約250兆円、2030年に314.2兆円、2040年には約 345兆円に増加することが推計されました。
そのうち金融資産は2020年の約170兆円から、2040年には約237兆円に。不動産は2020年の約80兆円から約108兆円に増加。
都道府県別では、2020年から2040年への増加率でみると、金融資産では埼玉県、不動産では沖縄県が大きい結果となりました。
■認知症になると口座が凍結する?
認知症を発症した場合、認知判断能力の低下により、認知症になる前のように金融取引や不動産の管理が困難になるケースがあることから、金融機関などでは預金の凍結を行うことがあります。
凍結されると本人はもちろんのこと、家族でも口座のお金を引き出すことはできなくなります。逆に自由に引き出せてしまうと、詐欺にあったり、親族の財産争いの引き金になる恐れがあることから、社会的には必要な仕組みといえるのです。
認知症高齢者が保有すると推定される資産額の増加が社会的な課題となっています。
とはいえ、本人の介護や病院にかかる費用などを本人の口座から引き出しておく必要がありますよね。そんなときには後見制度や家族信託などで対策することができます。
対策はあるといっても、認知症になる前に行ったほうが手間や費用が低減できることから、予防が大切です。
■家族みんなで楽しめる!認知症予防のアプリとゲーム
将来の認知症予防のために、ぜひ家族と一緒に取り組んでおきましょう。今回は認知症予防になるアプリやゲームをご紹介します。
●「脳にいいアプリ」
ベスプラが手がける高齢者向けの脳の健康維持をサポートするスマートフォンアプリです。脳科学に基づいた脳の健康維持の助けとなるこのアプリには歩数や脳トレ、食事、評価の機能があり、普段の生活に使うことができます。脳トレ結果を家族間で共有すれば、早期発見から認知症予防の一助となるのではないでしょうか。
人工知能を搭載しており、活動内容を学習してその人に最適な活動を提案してくれる最先端の仕組みも。無料で利用できるので、ぜひ試してみましょう。
●「懐話ふだ(かいわふだ)」
大阪の印刷会社である明成孝橋美術が、法政大学生とのコラボで作ったカードゲームです。2020年にクラウドファンディングで先行販売を行い、現在はネット上で販売されています。
これは「回想法」といわれる老人ホームなどの介護施設で、認知症のリハビリテーションの1つとして用いられている自分の過去を話すことで、脳の活性化を促す手法を取り入れた、カードゲームです。
30枚のカードは「いつ」を表す時代カードと「何を」を表す思い出カードの2種類があり、裏に返した状態でバラバラに広げ、「いつ」と「何を」を1枚ずつめくり、その表に書かれているお題について思い出を語ります。
回想により認知症予防になると同時に家族だんらんが楽しめるのは嬉しいですね。
まとめ
認知症高齢者の金融資産は深刻な状況になってきています。社会全体がともに手を取り合って、認知症予防に励んでいきたいですね。
【調査出典】
三井住友信託銀行「認知症高齢者の保有する資産推計について」(https://www.smtb.jp/-/media/tb/personal/news/2022/pdf/20220323.pdf)
【参考】
「脳にいいアプリ」(https://www.braincure.jp/)
「懐話ふだ」(https://ideapot.thebase.in/items/34847208)