先日、第23回「日本絵本賞読者賞」候補絵本が発表になりました。全国学校図書館協議会と毎日新聞社によって創設された賞で、2016年10月から2017年9月までに日本国内で出版された絵本の中から候補絵本選定委員会が選考。今回選ばれた候補絵本から一般投票により読者賞が決定されます。
本年度の候補作は24作品。その半数以上が大人の楽しめる、いわゆる大人絵本でございました。大人絵本ブームと言われているだけのことはございます。
なかでも、小生が気になったのが自己啓発系の絵本でございます。子ども向けの道徳、自己啓発の絵本は少なくありませんが、今回、気になったのは明らかに大人向けの自己啓発本。それも2冊でございます。昨今の自己啓発本ブームの影響でしょうか…。書店のビジネス書の棚に置いてあっても不思議ではない内容でございました。
自己啓発本はビジネスマン、キャリ女に大人気ですが、こちらの2冊は通常の啓発本と違い「たった5分」で読めます!!そう、寝る前に、読むのにはもってこいでございます。仕事で嫌なことがあった夜、癒されたい時、モチベーションをアゲたい時に、もってこいでございます。
絵本のいいところは、何度でも読めるところでございます。少ない文字と視覚に訴える部分が大きいため、読んだその時々で感じるもの、得るものは違うのでございます。「1分動画」が人気の昨今、さらに大人絵本ブームの昨今、自己啓発系絵本がブームになる可能性も…。
そうそう、絵も素敵です。この2冊はどちらも海外絵本なので絵も大人向きでございます。大人が飽きないで何度も眺められるクオリティでございます。
前置きが長くなりました。そんな大人向け自己啓発絵本、1冊目は…
「ちっちゃな木のおはなし」(作:ローレン・ロング 訳:やまね もとよ)
こちらの自己啓発絵本のテーマは、“成長するためには何かを手放す勇気が必要である”。自己啓発本のテッパンのテーマでございます。しかし、通常の啓発本のように長々と文章を読むのではなく、短編映画を観ているような感覚で啓発されるのでございます。「プラダを着た悪魔」を観て、自分も頑張ろうと思う感覚に近いのでは…。
ちなみに内容は…。枯れ葉をおとすことのできなかったちっちゃな木が、ある時とうとう決断して枯れ葉を落として成長していくという物語でございます。何かを手ばなす勇気、大切さを優しく語りかけてくれるのでございます。
もう一冊は…。
「まめまめくん」(文:デヴィッド・カリ 絵:セバスチャン・ムーラン 訳:ふしみ みさを)
こちらの自己啓発絵本のテーマは、“みんなと違うからこそ、できることがある!”。仕事は他にもたくさんある。自分に向いている仕事はきっとあるはずだと思える、こちらも啓発本のテッパンのテーマでございます。
お話はというと…。人形の靴をはき、マッチ箱の中で眠るまめまめくんは、体は超小さいけれど、なんでもできました。しかし、小学校に入学すると、そうはいきません。友達たちと違い、自分がとても小さいことに気付きます。実感します。そして、まめまめくんは…。というお話。素敵なエンディングは各自、ご確認お願いいたします。
出版社の紹介文には「みんなとちょっと違う子にエールをおくる心あたたまるカナダの絵本」と紹介されておりましたが、小生は仕事で悩みをもつ人にエールをおくる自己啓発絵本でもあると感じたのでございます。小生だけではございません。人気絵本サイト「絵本ナビ」のアンケートでも、大人の読者が圧倒的に多ございました。
ちなみに、この「まめまめくん」の作者、デヴィッド・カリ様の名前を見てピンときた方もいらっしゃるのでは…。オシャレ放送作家でお馴染みの小山薫堂様が翻訳を担当した、アノ傑作大人絵本「まってる。」の作者でございます。ヨーロッパ各国で、絵本としては異例の売り上げを記録したアノ絵本の作者の絵本でもあるのでございます。
仕事に疲れた時、読むと癒されること間違いナッシングでございます。今注目の自己啓発絵本、是非、お部屋のベッドサイドにいかがでしょうか。この時期、クリスマスプレゼントにもいいかも…。
(文:N田N昌)