昨今の絵本ブームを牽引しているのが「大人絵本」でございます。そう、大人が自分のために買う絵本でございます。最近ヒットしている絵本の特長は、ターゲットが“大人”というところ。
絵本のターゲットは通常、“子供”でした。出版社は基本、子供に好かれる絵本を絵本作家に求め、大多数の絵本作家が子供が楽しむこと、気に入ることを目標に絵本を作ってまいりました。
しかし、最近は絵本の購入権を持った親、つまり大人をターゲットにした絵本が売れているのでございます。出版社も、子供に興味を持たせて親に買わせるスタイルから、親に興味を持たせ、子供にために買わせるスタイルに変わってきているようでございます。
最近なにかと話題の絵本作家、のぶみ様の「ママがおばけになっちゃった!」もその一冊でござます。もちろん、全ての出版社がそうであるとは限りませんが…。
そんななか、最近では大人の中でも育児中のママ、育児疲れのママをターゲットにした絵本が続々登場しております。今回は、100%育児中のママのためだけに作られた超厳選の一冊をご紹介させて頂きます。
「今日」(訳:伊藤比呂美 画:下田昌克)
こちらは、数年前にネットでかなり話題になったのでご存知の方もいらっしゃるかと…。この絵本の詩はニュージーランドの子育て支援施設に貼られていたそうで作者は誰なのかわっておりません。俗にいう“よみ人知らず”の詩でございます。
それが作者未詳のまま口コミで広まり、今や世界中の子育てママを励ましているのでございます。日本語訳が出たのが2013年。詩人の伊藤比呂美様が訳され話題になりました。それから5年経ちましたので、この絵本の存在を知らないママもいらっしゃるかもしれません。是非一度、読んでみてくださいませ。
冒頭だけ紹介しますと、「今日、わたしはお皿を洗わなかった。ベッドはぐちゃぐちゃ。浸けといたおむつはだんだんくさくなってきた。きのうこぼした食べかすが床の上からわたしを見ている。窓ガラスはよごれすぎてアートみたい・・・」。この冒頭部分だけでも、共感される方、多いのではないでしょうか…。
ネットで検索すれば全文読めるはずでございます。読まれて気になられましたら、是非、絵本を手に取ってくださいませ。いつでも優しく寄り添ってくれる手元に置いておきたい宝本になるはずでございます。
(文:N田N昌)