福島イノベ機構ふくしま12市町村移住支援センターは27日、20代〜30代の一般男女500人を対象にした「起業」に関するインターネットパネル調査の結果を発表。起業検討分野の1位が「IT・情報通信」になるなど先端分野への強い関心がうかがえた一方、福島県で起業する場合に取り組みたい事業としては「復興支援」「地域活性化」が多くあげられました。
まず、起業したいと思う理由について聞くと、「自由に働きたいから(42.6%)」「収入を増やしたいから(35.2%)」といった回答が上位になりました。さらに「人生経験として(26.6%)」「趣味・特技を仕事にしたいから(22.0%)」など、新しい経験がしたい、会社勤めではできないことにチャレンジしたいという声もありました。
起業を検討している分野は、回答者全体で「IT・情報通信(22.6%)」が最多となり、年代別でみると上位ベスト2は変わらなかったものの、3位以下は20代が「製造業(8.4%)」「地域活性化(6.4%)」、30代は「医療・福祉(10.8%)」「卸売・小売(7.2%)」がランクイン。20代・30代でも、福祉事業や地域貢献に興味を持っている人は多いようです。
次に、起業する上でのネックを聞いたところ、「失敗した時のリスク(37.4%)」「起業資金の確保(33.4%)」「自身の能力・ノウハウが足りない(32.8%)」と回答した人が特に多くみられました。また、起業する都道府県を選ぶ際に重視する点については、「起業を検討している事業のニーズがあるか(32.6%)」が最多だった一方、「地価・家賃の安さ(30.8%)」「支援金(26.4%)」といった金銭面の条件を重視する人も多く見受けられました。
最近はテレワークの普及などで「地方で働く」「地方で起業する」という選択肢が増えました。地方でも起業をしやすくなったと思うかを聞いたところ、約7割の人が「起業しやすくなったと思う」と回答。実際に起業したいエリアを質問すると、首都圏と回答した人と地方圏と回答した人がほぼ同数という結果で時代の変化を感じさせています。
実際に地方で起業すると想定した場合、不安なことについては「仕事が上手くいくか(48.4%)」「日々の暮らし(29.8%)」「人脈・人材の確保(26.4%)」など、幅広い不安があることが分かりました。都道府県や市町村によっては、起業にあたっての不安を解消するための支援制度を取り入れている自治体もあります。しかし、支援制度を利用したいかと尋ねると、最多は「利用したいが制度がない・見つからない(41.0%)」で、制度が知られていない可能性もあるようです。
今回の結果を受けて、同センターは「福島12市町村では、失われた浜通り地域等の産業を回復するための国家プロジェクト『福島イノベーション・コースト構想』が進められるなど、起業・創業を積極的に受け入れています。大規模なプロジェクトだけでなく、コミュニティスペースを立ち上げたり、飲食店を始めたり、地域の未来をつくるような生業を起こす人もたくさん生まれています。また、資金や暮らしをサポートする支援制度や体制も充実。起業へのサポートが手厚い福島12市町村は、新たなチャレンジにふさわしい地域です」と総括しています。
また、福島県での起業への印象について尋ねると、約半数が「チャレンジができそうだ」だと回答。福島県で起業する場合に取り組みたい事業は「復興支援(23.4%)」と最も多く、次いで「地域活性化(22.0%)」となっており、地域の復興や盛り上げに貢献したいという人が目立っています。