「あおり運転」という言葉をよく聞くようになった。
昨年、東名高速道路であおり運転を受けて路上に停止させられた一家4人が轢かれ死傷した事故は危険運転致死傷に。更に、車線上にワゴン車をとどまらせたとして監禁致死傷罪が追加された(※裁判中)。この事件をきっかけに、SNSで「自分もこんなあおり運転を受けた」といったドライブレコーダーの映像が沢山出回るようになった。
チューリッヒ保険会社(東京)が全国のドライバー2,230人を対象に実態調査を行ったところ、あおり運転をされた経験が「ある」の回答が70.4%あった。
あおられたとする内容は、
「車体を接近させて、もっと速く走るように挑発された」「幅寄せされた」
「信号で停車したら、そのあとずっと左右にあおられた」「パッシングしながら追跡してきた」
更に・・・
「目の前に急停車して降りてきた」「追い越して前方停止で進路をふさがれた。千円を搾取された」「オープンルーフから物を投げつけられた。空ビンでフロントガラスにひびが入った」
など、攻撃的で事件性のあるケースの回答もあった。
あおり運転をされた原因で思いつくのは、「スピードが遅いこと」、そして「車線変更をしたこと」が多く、相手のドライバーに割り込みや無理な追い越しをされたと取られ怒りを買ってしまう場合が多いようだ。こういったあおり運転に遭う車は、軽自動車やコンパクトカー、ハッチバックなどの小さな車が多く、逆にあおってくる車は、セダン、バン、トラックという大型が多いそうだ(でしょうね)。
ところが、あおり運転をされて警察に通報するのはわずか2%だという。
あおり運転を受けた時の対処法
この結果を見て、一番知りたいのは、「どう対処するのが良いのか?」だと思う。そこで、いろいろ調べてまとめてみた。
1:「あおり運転を受けていると感じたら」
まず、左側車線に移って走行する。
2:「あおる車が前を走行し、急ブレーキを踏むなどしてきたら」
ひどい場合は、路肩に停車。または、コンビニなどの駐車場へ入る。左折などして進路を変える。こうして相手を遠ざける。
3:「後方からあおってくる」
この場合は、スピードが遅い!とあおっているケースが多いので、周囲の車のスピードに合わせるか路肩に寄せて先に追い越させてしまう
このような対処で、あおってくるドライバーも普通はやり過ごすものだが、最悪なのは前方で停車して降りてくるケースだ。
4:【あおったドライバーが車から降りて向かってきた場合】
窓をしめ、ドアをロックする
開けられたら引きずり出されることもある
相手と目を合わせない
目を合わせるとケンカを買ったとして更に怒りを買うそうだ
携帯・スマホで110番する
・110番すると「事件ですか? 事故ですか?」と聞いてくる。110番へ電話したことがない人は多いので、どうしたらいいのか頭が真っ白になる人もいるが、落ち着いて「あおり運転に遭っている」「ドライバーが窓の横で怒鳴っている」と状況を伝える。
・「場所はどこですか?」と聞かれるだろうが、路上では説明しにくいはず。でも、通常は携帯電話のGPS機能でおおよその場所は特定されるそうだ。
・窓の外からギャーギャーわめいている場合、通話口を窓側に向けて声を聞かせるとよいとか。
・「そのままお待ち下さい」とか、「近くの安全な場所でお待ち下さい」と言われるので従うこと。
・そうしている間に、相手は去って行くが、車体を蹴って凹ませたり、ミラーを破損させたり危害を加えて行く場合があるので、車の車種やナンバーなどを控えておくと良い。
こっちが絶対にやってはダメなこと
あおり運転を受けると、こっちもカッとなりそうだが、絶対に応戦してはダメだそうだ。
「あおり返してはダメ!」
相手の挑発に乗って、事故にでもなったら“どっちが悪いか”の判断がつきにくい。
「クラクションを鳴らしてはダメ!」
クラクションを鳴らすと相手の気持を逆なでする。
また、「後方からあおられた時、急停車するのはダメ!」
後方からあおられたので急停車してぶつけられても、「急停車した車が悪い」とも成りかねない。
また、その前に、あおり運転をしつこく仕掛けてくる人間は、薬物をやっている可能性、犯罪歴のある人間、チンピラまがいのタチの悪い人間の可能性が高い、という報告もあるとか。
なにより、相手の挑発に乗って自分が事故を起こしたり、命をなくすなんてことがあったらバカバカしいので、グッと堪えて大人になるのが賢明。
あおられない対策
一番効果を発揮するのは、言わずもがな「ドライブレコーダー」だ。映像は絶対的な証拠になる。もしドライブレコーダーがなくても、「ドライブレコーダー作動中」というステッカーを車の後部に貼っておくだけでも、かなり効果的だとか。
報告して警察に協力を
あおられたけど、車に被害など無かったから、まぁいいか…とやり過ごす人も多いと思うが、悪質なあおり運転をされた場合、警察は報告を受け入れてくれる。ドライブレコーダーに映像が残っている場合、また車種やナンバーを記憶した場合など、警察はそれを受けていわゆるブラックリストに載せる。
実は、悪質なドライバーへの対策を強化し、道路交通法では「将来的に事故を起こす可能性が高いとみられる者の免許を停止できる」とされている。危険なあおり運転を繰り返したとして処分した件数は6件ある。
ドライブレコーダーの映像を証拠に摘発が増えているあおり運転。相手にけがを負わせたり死亡させた場合、道路交通法26条によって車間距離保持義務違反となる。あおり運転は立派な犯罪であることを知っておいて欲しい。