今からでも遅くない将棋で備わるビジネス脳!『将棋』は人間力を創る万能ゲームだ

2017/06/21
放送作家 石原ヒサトシ

中学三年生のプロ棋士・藤井聡太(14)四段の快進撃が話題となり俄然注目を浴び出した「将棋」。

 

特に昭和生まれの男子は親父が自分の相手をさせるために教えるので、最低でも駒の動きくらいは覚えたものだ。しかし最近は、親がテレビゲーム世代なのでアナログな将棋と触れ合う機会がなく、駒を触ったことすらない子どもは多い。そんな中、ゲームとしての妙味はもちろん、将棋を通じて違う能力が向上するとされ、今、子どもはもちろん、将棋を覚えようというビジネスマンも急増中なのだそうだ。

 

将棋で養われる能力

 

将棋からどんな能力が向上するのか? まずプロ棋士の多くが述べている点を挙げると…。

 

「決断力がつく」

将棋は一手を打つのに時間をかける。例えば、対局最初に動かせる駒は30種類、このように多くの種類から優先順位を付け、ベターではなくベストの一手を選択し、決断して打つ。将棋はこの繰り返しなので、一手は物凄く大切なわけだ。

その決断力が、仕事や勉強で、何から始めると効率的なのか、論理的かつ合理的に考察し実行に移すことが出来るという。科学的には、沢山の手を短時間でシュミレーションするので右脳が鍛えられ、イメージ力が上がるとされる。

 

「忍耐力がつく」

一手を打つには、初心者でもそこそこ時間がかかる。相手がどんな手を打つのか?それを読みつつ、あらゆるパターンを想定する。じっと待つのは、特に子どもにとっては苦痛かもしれないが、自ずと忍耐力は付くはずだ。何事にも決して動じない、冷静な判断力、気持ちのゆとりといった部分が培われるのかもしれない。

 

大ざっぱに2つポイントを挙げたが、おそらく派生して、様々なメリットが生まれているのだと思う。それを要約すれば「人間力」とでも言えばいいのか。

 

例えば、自分の戦略だけでなく相手の戦略も考えて駒を打たなければならない。指し手には性格や癖も出るというので、観察力・洞察力が身につく。プラス、人の気持ちまで読むので、思いやりを持てるようにもなるという。ビジネスなら仕事相手の出方を読むことにも通じるだろうか。

 

試合を回顧する

世の中にいろいろな勝負事があるが、将棋は試合が終わったあと互いに局面を振り返る珍しい競技だ。勝負の分かれ目となったのは? あの手の意図は何だったのか? と回顧し勝者も敗者も勉強するのである。

 

将棋は、負けて力をつける競技だ。最後に自ら「負け」を認める潔くて悔しい結末が待っている。しかし、すぐに反省が出来る点が素晴らしい。失敗にくよくよせず、気持ちをすぐにリセットできる人間になれる。

 

将棋にデメリットはないのか? 

ワードをいろいろ入れて検索したが、いろんな変人奇人がヒットするくらいで悪い要素は見つからなかった(笑)。とにかく、将棋を覚えて損することはなさそう。というか強くなればなるほど、極めれば極めるほど、人より秀でた何かの能力が上がるはずである。

 

子どもに将棋を続けさせるため

大人も、そして子どもに覚えさせる際も、懸念することは持続性だ。せめて「将棋って面白い」「色んな人と戦って勝ちたい」と思えるくらいのレベルまで上げないと、将棋効果の能力は出ないかもしれない。

 

そこで、小学生低学年くらいの子どもに将棋を教えると想定して、長く将棋を続けられるポイントを上げてみる。お父さんかお母さんが将棋を指せることが前提だけど、誰も知らない場合はゲームソフトなどを使ってもいい。でも、実際に手に取れる将棋駒セットも与えて欲しい。

 

1.負けても気にしないでいい、と言ってあげる

将棋上達の秘訣は、長く続けることに尽きる。「最初は負けてばかりなのは当たり前」「どうして負けたのかを振り返ると強くなる」と伝えてあげればいい。

 

負けが続くと将棋が嫌いになりそうだけど、例えば、2手先、3手先を読んで歩を1枚取ったりしたら、それだけでも褒めてあげる。勝つまでは遠くても、将棋のコツや面白さを徐々に伝えて行けばいいのだ。単純な上達法は、初心者用の詰め将棋をさせることだと思う。

 

2.たまには負けてあげる

お父さん、お母さんが相手をしてあげて、例えば、飛車角金銀落ちとか完全なるハンデキャップマッチにしてあげて、負けてあげると子どもは勝つ喜びを知る。対局しながら、「そうきたか」「なるほど」とか、子どもが打つ手に感心してあげると楽しさを感じるようだ。

 

あれこれと難しいことを言うより、まずこの2点をやってみるとイイ。また、初心者用の将棋本は沢山出ているので参考になるはず。

 

また、更にお願いしたいことがある。

 

3.礼をすることを教える

将棋の基本は、礼に始まり礼に終わること。勝ち負けを抜きにしてお互い力を尽くして戦うことが大切で、相手に敬意を表す精神を教えてほしい。

 

はじめる時は「よろしくお願いします」

負けたを認めたとき(王手で詰まれたとき)は「負けました」

終了した時は「ありがとうございました」

 

この3つは、基本なのでハッキリ言うように教える。

 

最近は、携帯ゲームなどからスタートするケースが多く、人と対局する際に礼をしない子も多いそうだ。だから、たとえゲームソフト相手でも、この3つを言うクセを付けさせるといい。プロ棋士対コンピューターの対戦でも必ず礼は行われる。

 

先程、将棋駒を与えて欲しいと言ったが、ゲームで将棋を覚えた子は駒の並べ方も知らない場合が多いという。それは将棋道に反する。なのでアナログな将棋駒も与えて欲しい。駒を打つ時の「パチ!」という音は耳に心地良いものだ。

 

4.負かした相手を見下さない

少し力がついてきたら、自分より弱い者を見下すようになることがある。「こんな詰将棋も出来ないのか?」「駒を落としてやろうか?」など、完全に上から目線の言葉や態度を見せた場合は、厳しく注意する方がいいそうだ。

 

「あなたも同じ時期があったでしょ」「あなたより強い子なんて山ほどいるよ」などと言って諭すこと。将棋は、謙虚さと思いやりを持って心の鍛錬を積むことも大事なのだ。

 

将棋は頭脳の格闘技

わかったことは、将棋はただ強ければ良いというわけではないこと。礼に始まり礼に終わる、相手を思いやる、鍛錬を積む、など、相撲、柔道、剣道に似た、技術の裏に人間の心を成長させる要素も含む競技なのだ。

 

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この記事を書いた人

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放送作家 「クイズ雑学王」、「ボキャブラ天国」等 バラエティを中心にイロイロやってきました。なんか面白いことないかなぁ~と思いながら日々過ごしています。野球、阪神、競馬、ももクロ、チヌ釣り、家電、クイズ・雑学、料理、酒、神社・仏閣、オカルトなことがスキです。

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