群馬県太田市の東武伊勢崎線太田駅北口前に『太田市美術館・図書館』が2017年4月1日(土)に、いよいよグランドオープンする。(グランドオープンに先駆けて、1月14日から一部サービスは開始)
太田市は人口20万人以上。県内では高崎市や前橋市に続き人口が多く、太田駅は一日の乗降者が一万人を越える。しかし、市民のほとんどが車で郊外のショッピングモールへ買い物にでかけ、駅前の商店街は閑散としている。
そこで太田市では、駅前に賑わいをもたらすランドマーク的複合施設として、市民のワークショップから生まれた『太田市美術館・図書館』の建設を計画。感性を刺激する「美術作品」と、創造的発想の源となる知識を提供する「図書資料」を同時に閲覧できる場を完成させた。
美術館には“ものづくりの街 太田市”にふさわしく、斬新な発想により人々の感性を刺激する多彩な美術作品を。図書館には「国際アンデルセン賞」を受賞した作品をはじめ、世界60ヵ国以上から集めた10,000冊を超える絵本児童書や、国内外の作家や表現者の作品集を絵画や写真など9,000冊のアートブックが揃うという。
街と人、人と街の“結び目”となる場所に
※建物は緩やかなスロープによって連続的に結ばれ、登ってゆけば自然に頂上に辿りつくことができる。
『太田市美術館・図書館』は、建物の東と西、南に3つの入り口があり、さまざまな方向から出入りが自由にできる。3方から人が集まり3方へと抜けられる建物の構造を、設計を担当した建築家の平田晃久氏は「街からやってた人は、この場所を通り、また街へと帰ってゆく。まるで結び目のような建物」と語る。
また館内のカフェには、地元で大人気のシアトル系コーヒーショップ「BLACKSMITH COFFEE(ブラックスミスコーヒー)」の新店舗『キタノスミス』が入り、太田市の魅力を美味しく伝える。特に、太田市の東毛酪農の牛乳を使った通称“激カワ ソフトクリーム”がSNSで人気に。「見た目がマシュマロのよう!」とプレオープン時から話題になっているそうだ。
成功例、続々。図書館新時代
いまや図書館は、旧態依然としたベストセラーや資料本を貸し出す図書館から、地域復興にも一役買う情報発信の場へと変わりつつある。
例えば、CCCグループと連携し“図書館もある本屋さん”という新しい公営図書館のカタチを示し成功した佐賀県武雄市の『蔦屋書店武雄図書館』をはじめ、駅舎に図書館を設け、村外からの利用者を5倍に増やした富山県中新川郡舟橋村の『舟橋村立図書館』。
また、産地直売所と図書館のコラボレーションを実現させオープンから2年で町の人口の34倍以上117万人が来場。“公民連携”の成功例といわれる、岩手県は紫波中央駅前の「オガールプラザ」内にある『紫波町図書館』など。
図書館が“町おこし”に一役買い成功例が増えるなか、図書館は“人と資料”ではなく“人と人(街)”を結びつける新しい存在へと変貌を遂げている。
ふれあい“まちじゅう図書館”も
太田市では町中の店や個人宅に本棚を置き、店主や個人が館長となる『まちじゅう図書館』の試みも行う。
例えば、酒屋さんならばお酒に関する本を。ペットショップならば動物の本を、という具合に本を介して店主や家人との会話を楽しんだり、疑問に思うことがあれば、その分野のプロである“町の図書館長”に聞き込みに出かけたりと、図書館を飛び出して、街へ“本物”に触れに行くのも面白い。
ゴルフや釣りなど店主の趣味や、思いの詰まったお気に入りの本などでも良く、個人宅でも玄関内に置いてくれる人なら“館長”として歓迎するそうだ。現在、市内 35 施設が参加し、参加施設には専用の緑のグラッグを掲げ目印にしてもらう。
『太田市美術館・図書館』は、人と人、街と街を繋ぐ“結び目”となるか。季節は春。温かな日和に誘われてアートや本、そして街にふれあうために出かけてみてはいかがだろうか。