今年は台風の当たり年ですね。ところで、台風に名前があるって知っていますか?
意外と知られていないようなので豆知識として紹介します。
140の名前
今年の台風の名前を全て挙げます(8月21日現在)。名前はさまざまな国・地域の言葉です。
台風1号(ボラヴェン)ラオス・高原の名前
台風2号(サンバ)マカオ・マカオの名所
台風3号(ジェラワット)マレーシア・淡水魚の名前
台風4号(イーウィニャ)ミクロネシア・嵐の神
台風5号(マリクシ)フィリピン・速い
台風6号(ケーミー)韓国・蟻
台風7号(プラピルーン)タイ・雨の神
台風8号(マリア)米国・女性の名前
(…略)
25号(コンレイ)カンボジア・伝説の少女の名前
・・・とまだまだ続きます。
全く知らない人は、この名前、誰が付けているの?どうして決まっているの? と思うでしょう。
台風委員会
台風に名前が付くようになったのは平成12年(2000年)から。日本を含む14カ国で作られた「台風委員会」(北太平洋または南シナ海で発生する台風防災に関する各国の政府間組織)で、提案された名前をつけると決めました。
14カ国が10個ずつ名前を出して合計140、これを順番に回して行きます。ちなみに最初に付いた台風の名前は、「ダムレイ」カンボジアで象という意味です。
毎年1月1日を境に、発生した順に名前を当てて行き、140番目まできたら1番に戻ることになります。
140全ての名前は気象庁のHPで見ることができます。(https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/typhoon/1-5.html)
日本の名前は
1・テンビン
2・ヤギ
3・ウサギ
4・カジキ
5・カンムリ
6・クジラ
7・コグマ
8・コンパス
9・トカゲ
10・ハト
これにはある共通点があります。それは「星座」。航海者や漁師など海洋で仕事をする人は台風の影響を受けやすいこと、昔は海上で夜空の星の位置を見て方角を判断していたこと、そんな関係性を踏まえて星座名を選んだそうです。
例外の名前
異例の名前もときどきあります。今年の17号台風ヘクターは、台風委員会が定めた140個には入っていません。実はこれ、ハリケーンに付けられた名前です。ハリケーンとは西経180度より東の北東太平洋で発生したもの、台風「Typhoon」は東経180度より西の北西太平洋で発生したもの、とされています。ヘクターはハリケーン圏内から台風圏内に入り込んだ「越境台風」のため、正式には台風ではないからです。
引退も
さらに、歴史的な被害をもたらせた台風は引退になることもあります。かつては、日本の「ワシ」、「コップ」という名前もあったのですが、その名の台風がフィリピンなどで大被害をもたらせたため引退・欠番となりました。理由は、その名前の台風を歴史に残し区別するため、また縁起が悪いという意味もあるとか。
なぜ名前をつける?
なぜわざわざ名前を付ける必要があるのでしょうか? 調べると、その理由は、
「台風情報の混同を避けるため」
複数の台風が同時発生した場合、数字よりも名前のほうがわかりやすい
「各国の国民に対し、台風の関心度を高め台風警戒を強化するため」
数字で呼ぶより、名前で襲い来る方がイメージ的に恐ろしいから…(かな?)
あとは、先程もあった、歴史的に大きな被害を出した台風を記録に残す際に名前がある方がわかりやすいということもあると思われます。
日本では、天気予報のニュースなどでは台風○号と数字で呼ぶのがポピュラーです。これは、日本は特に台風の接近・上陸の数が多く数字で呼ぶことに慣れているので変えにくい、名前だと違和感が出そうで逆に困惑する可能性もあるから、だとか。
ただ、今後、国際的な表現を重視して、そのうち台風○号「テンビン」などと呼ぶように変わる可能性はあります、と、ある気象予報士さんは話していました。