寝苦しい夏の夜は眠りが浅くなりがち。浅い眠りはレム睡眠といって、夢を見ている確率が80%ともされ、そして夢を見ている時に人は寝言を言いやすいという。
昔から、「寝言に返事をしてはいけない」と言われるが、その理由は・・・
- 人は眠ると身体から魂が抜け、あの世へ行っている。寝言は魂があの世の人と会話している状態になるので、話しかけられてしまうと魂が戻って来られなくなってしまうという・・・
- 逆に、霊魂があの世からこの世に舞い戻って、寝ている人と会話をしているため、邪魔をすると祟りがある・・・
――― などという説がある。これは科学的根拠のないオカルトな迷信だ。ただ、迷信は何かしらの事実に基づいて言い伝わるもの。「死」に関係した理由があるので、その昔、寝言に返事をしたら、死んでしまうとか身体に異変が起こるなんて事が多かった・・・そんないわれがあるのだろうか。
そう思って「寝言」について調べてみた。調べてみると意外に奥が深かった。
そっとしておきたい浅い眠り
最初に根本的なことを言う。
人は、浅い睡眠(レム睡眠)と深い睡眠(ノンレム睡眠)を一定時間で繰り返す波がある。夢は眠りが浅いレム睡眠時に見るもので、そこで寝言を言うケースが多い。実は、レム睡眠時は、眠りながら脳が活動している状態で、記憶や感情の整理を行いつつ、ストレスを和らげるなど、心身の健康を維持する働きをする。
この大事な時間の寝言に返事をすると、意識がだんだんはっきりしてついには起きてしまいやすい。つまり、記憶力の低下、ストレスの蓄積など、心身の不調につながってしまうため、「寝言に返事するのは良くない」ということになるわけだ。
悪い寝言に気をつけろ
研究によると、寝言に返事をする云々よりもむしろ“どんな寝言か?”が重要で、寝言が身体の不調を教えてくれる場合があるそうだ。場合によっては「うつ」。また、脳の病気である「レビー小体型認知症」「パーキンソン病」の兆候も出るとのこと。
【危険な寝言の様子】
1・ハッキリとしゃべる
2・手足を激しく動かすなどジェスチャーが多い
3・起きたあと夢の内容を聞くと、寝言と寝相の動きと一致する
特に、3 は、レム睡眠行動障害と呼ばれる症状の一つで、少し深刻な場合も。正常ならばレム睡眠中に夢を見ても、脳から体への指令が遮断されているので行動が伴わないものだが、障害があると指令が伝わってしまうので、鮮明な寝言や寝相となって現れてしまうそうだ。
一人暮らしの場合
自分は独り身だから寝言を言っているか、どういう状態かわからない、という人もいるはず。
一応、目安となる判断方法はあるそうだ。
1・見た夢の内容をハッキリ覚えていることが多い
2・しかも、不快な夢が多い(例:追われる、殺される、何かに失敗する、ケンカする)
3・就寝中に動いたのか、部屋が散らかっていたり、身体に傷や打撲跡がある
なかなか自分では判断がつきにくいだろうが、これに合わせて倦怠感が凄いとか、体調の具合から、なんだか最近おかしいなと自覚できた場合は、一度、心療内科や睡眠外来などに相談に行ってみるといい。
もちろん、一時的にこういった寝言に関する怖い兆候が出るケースもあるはずだが、気に留めておいても損はないので、自分の精神の管理はしっかりしておいてほしい。
最後に体験談を言う。
出張の仕事で後輩と同じホテルの部屋に宿泊した。夜中に、後輩の話し声がして目が覚めた、
「へぇ~17才なんだ、何になりたいの?」
あまりにもハッキリとした口調だったので、電話しているんだと思った。
次の夜も、大声で話す声が聞こえて夜中に目が覚める。
「どうせ、オレがやればいいんだろう! やればいいんだろう!」
ハッキリ話していたので、仕事の電話なんだと思った。
翌朝、「2日とも夜中に電話すとは、忙しいんだな」と聞いたら、「寝ていた」という。初日は、オーディションで若い女の子と話す夢で、二日目は、打ち合わせで不満が爆発した夢を見た、と言っていた。
彼は、「少しうつっぽいかもしれない」、と自覚していたので、逆に良かったが。