2016年11月22日午前5時59分頃、福島県沖を震源とするM7,2の地震が発生。津波警報・注意報が発令され、宮城県仙台港で最大1,4メートルの津波を観測した。今回の津波は、あの東日本大震災以降最大だったという。
津波警報発令後、テレビ画面ではでかでかと「すぐににげて!」などとスーパーを出し、アナウンサーは切迫感たっぷりに「すぐに避難してください!」「高台に逃げてください!」と連呼していた。津波の高さの予測は大きくて1メートルが多かった。この一連の動きに、アナウンサーと視聴者で温度差を感じた人もいたようだ。
「津波1メートルくらいなら平気でしょ?」
あの東日本大震災の映像を覚えている人は、あんな超弩級の津波じゃないのなら問題ないよね? と思った人は多いかも。SNSでも「たった1メートルでよかった」「アナウンサーの声のほうが怖いよ」そんな書き込みは多かったが、あなたはどう思っただろう?
同じ感想だったら、それはあまりにも無知すぎる。
津波をあまく見てはダメ!
津波1メートルをあまく考えて、ちょっと体感してみようなどと近づこうものなら確実に呑まれてしまうだろう。実際、東日本大震災では“3メートルの津波”と聞いて軽んじ、避難を怠たったため多くの人がさらわれた地域もあったという。
津波は「高波」とは違う。津波は風などで発生する高波の大きなもの、と思っている人は未だに多いらしい。しかし津波と高波は根本的に違う。津波は地震で海底面が隆起するなどして、水を底上げするから振動が太く伝わるのだ。
まず、この実験映像を見て欲しい。津波1メートルでもこの衝撃。
youtube https://www.youtube.com/embed/9G1bpbit22s
強さがわかると思う。一見、風で発生する高波と同じようにも見えるが、地震と津波のメカニズムはこんな感じ。
Youtube https://www.youtube.com/embed/oIMFlW4NzvM
湾岸での津波と高波との違いは、図で表すとこんな感じ。
バシャッ!と浴びるのが高波なら、ドドドーッ!と押し寄せるのが津波で長く厚みがあるのが特徴。津波は、海の中の土砂やゴミなど底にあるものを一緒に押し出してくる。なので、たとえ高さ30センチでも足元を掬われる可能性は高い。高さ1メートルで襲ってこようものなら体は丸呑みされ自由は効かなくなるので、泳いで逃げるなどまず無理だ。
東日本大震災では、高さが最大で約10メートル、その高さ(深さ)の波が40メートル以上あった場所も記録されている。
11月22日の津波を、上空から撮影した様子や、一般の方がスマホなどで撮影した映像がテレビで流れたのを見たが、湾岸にいる人や近くを走る車が多く映されていた。
逃げる途中の人もいたと思うが、中には「死ぬことはないだろう」と安易に行動していた人もいたはず。5年前の大津波被害地域に居る人は、津波に関する知識も危機感も高いと思うのに…。あの映像には少し驚いてしまった。
改めて言う。たとえ高さが低くても津波には絶対に近づいてはいけません。逃げましょう。