インフルエンザや杉花粉の季節を過ぎても、街中マスクをした人で溢れています。マスクといえば、昔は風邪をひいている人の象徴でした。ところが、最近では「マスク=風邪」という構図は時代遅れで、むしろ、スッピン隠し、小顔効果、防寒対策でマスクを使う人が多くなりました。
とくに学生の間では、対人関係の不安を隠すために着用しているケースもあるといいます。外国人から不思議な目で見られることもある日本のマスク事情ですが、なぜここまでユニークな独自進化を遂げたのでしょうか?
マスク誕生は大正時代
一般社団法人日本衛生材料工業連合会によると、マスクが誕生したのは大正時代にさかのぼるといいます。当時は、「工場用マスク」として工場内の粉じんを避けるために使用されていました。真鍮の金網を芯に布地をフィルターとしてあてたものが使われていたため、一般人には広く浸透しませんでしたが、後にインフルエンザが大流行。ウィルスの感染を防ぐために、現在の原型となるマスクが急速に広まっていったといいます。
隠し効果で小顔美人に?
予防の目的で使われてきたマスクでしたが、時代と共にその役割も少しずつ変わっていきました。その変化というのが、“隠すこと”へのシフトでしょう。
たとえば、夜遅い時間帯にコンビニに出かけると、マスク姿の女性を見かけることがありますが、これはメイクを落とした“スッピンを隠す”ためです。一方で、“顔の大きさを隠そう”とする女性も多く、最近のドラッグストアでは『小顔にみえマスク』(ユニ・チャーム)をはじめ、小顔効果を謳った商品が数多く並んでいます。
ここ最近では、中高生などの若者が人と話すときに、「表情を見られるのが恥ずかしい」「顔を見られたくない」という心理から、“だてマスク”として着用するケースも増えています。まさにマスクに対するニーズが多様化してきているのです。
海外ではマスク姿=日本人
季節の変わり目、花粉症シーズンの春ともなれば、マスク姿の人を見るのは日常の光景です。ですが、マスクをつける文化のない欧米人からすれば、やはり奇異に映るのでしょう。
これまでにもツイッターでは「重病者かと思った」「銀行強盗に見間違われる」という投稿が相次ぎ、少し前には、「(海外で)マスクをしてたら99%の確率で日本人。金持ってるはずと認識される」という投稿が話題になりました。
マスクに対するイメージは国によってバラバラ、個々人で違いがあるのは仕方ありません。ただし、海外に行くときには、こうした認識の違い、他者からどう見られているかを想像しながらマスクを使うことで、無用なトラブルにも巻き込まれずに済むでしょう。