口臭、虫歯、口の渇き、コロナ禍で口腔トラブルを感じる人が増加。片平歯科クリニック院長・片平治人先生が教えるその対策とは

2021/12/15
マガジンサミット編集部

新型コロナウイルスの流行が始まってから、すでに1年半以上もの時間が経過しました。この事態は我々の生活に様々な変化を引き起こしています。今回は、我々の生活に起こった変化により引き起こされている一つの問題に注目してみようと思います。

コロナ禍により口腔トラブルが増加

今回、「ウーマンウェルネス研究会supported by Kao」では、コロナ禍における口腔環境の変化について、首都圏在住の495人(20代~60代男女)を対象に調査を実施。その調査の結果によると、マスク着用や在宅生活が定着してきた新型コロナウイルスの感染拡大以降(2020年3月以降)、多くの人が口内のトラブルを経験していることが明らかとなりました。

調査において「コロナ禍で口内トラブルを感じた経験がある」と答えた人は71.7%に。

感じている症状としては、1位「口臭」、2位「口の乾き」、3位「口内炎」という結果になりました。

また、「マスク着用により口を動かす機会が減ったと感じるか」という質問には、63.8%の人が「そう思う」、「ややそう思う」と回答。

 

コロナ禍における変化については、「ストレスを感じることが増えた」、「人と話す機会が減った」、「表情が乏しくなった」という回答があげられました。

片平歯科クリニック院長・片平治人先生に聞く口内トラブルの対策

今回は、コロナ禍での生活習慣の変化による口内トラブルについて、片平歯科クリニック院長の片平治人先生にお話を聞いています。

片平治人先生(以下、片平先生)「日常的なマスク着用や、外出自粛・在宅勤務で人と会う機会が減ると、口元や舌を動かさなくなることで唾液分泌が減少しやすくなります。また、マスクの中では口元の筋肉が緩み、口呼吸になることで口腔乾燥につながります。唾液には口の中を清潔に保つ働きがあります。唾液が減ると、唾液の本来持っている自浄作用が損なわれ、口内の菌が繁殖しやすくなり虫歯や歯周病など口腔感染症を引き起こす一因となります。また、ストレスの蓄積も唾液減少の原因となります。今回の調査でも挙げられている口臭や口の乾き、口内炎などの症状も、唾液の減少と関係するものです。口呼吸や唾液減少の自覚がない方も多いため、下記の項目をチェックしてみましょう。あてはまる項目が多いほど、唾液が減少している可能性が高いといえます。」

□ 口臭を感じる

□ 口内炎ができやすい

□ よく喉が渇く

□ コーヒーや紅茶・緑茶、お酒をよく飲む

□ 起床時に口が乾いている

□ 舌の上に白い汚れ(舌苔)がたまっている

片平先生「感染症対策や全身の健康のためにも、口腔ケアは重要です。最近では、口内の細菌はウイルス感染に関与することが解明されつつあるとともに、適切な口腔ケアにより、特定のウイルス性疾患(インフルエンザ)の発症率が減少するという研究結果もあり、口内菌を減らすことはウイルス感染症予防につながる可能性が考えられます。」

舌のケアの重要性

片平先生「口内には600種類以上の菌がすみついています。個人差はありますが口の中の菌の6割以上が舌に存在する人もいます。歯磨きはしっかり行っていても、舌はケアできておらず、舌苔(白い汚れ)が付着して汚れている方が多いです。この舌苔は菌のかたまりで、バイオフィルムと言われる強固な膜のような状態で貼り付いていて、通常の歯磨きやうがいだけでは落ちにくいため、舌の上の菌まで除去するお口のトータルケアをすることが望ましいでしょう。」

対策① 泡ハミガキで舌も含めて口内を清潔に

舌の菌を除去しようとして、歯ブラシでゴシゴシ舌磨きをすると、舌を傷つけてしまう恐れがあります。舌ブラシなどの舌専用品でケアしましょう。泡ハミガキを使うと、舌の奥やほほの粘膜など、歯ブラシが届かない部分まできめ細かい泡が行き届き、密着して汚れを洗浄できます。

対策② 舌のトレーニング

長引くマスク生活でゆるみがちになった舌の筋肉を鍛えましょう。仕事や家事の合間に毎日行うのがおすすめです。

1.正しい舌の位置を確認

舌先を切歯乳頭(上の前歯の裏の膨らみ)につけたままゴクンと唾液を飲み込み、舌が上あご全体にピタッと吸盤のようにくっつくようにします。これが正しい舌の位置です。口を閉じている時はいつもこの状態を意識しましょう。

2.タッピング

正しい舌の位置を意識しながら、上あごにしっかり舌を密着させたまま口を大きく開けて舌の裏のスジ(舌小帯)を十分に伸ばします。そのまま5秒ほどキープしてから、ポンという音がなるように勢いよく舌を離しましょう。

対策③ 唾液の分泌を促すマッサージ

耳の下にある『耳下腺(じかせん)』、あごの内側にある『顎下腺(がっかせん)』、あごの下にある『舌下腺(ぜっかせん)』の3つの唾液腺をやさしくマッサージすることで、唾液の分泌が促されます。

 

コロナ禍において多くの人が体感している口腔トラブル。今回、片平先生が教えてくれた方法で、口腔トラブルへの対策をぜひ行ってみてください。

監修:片平歯科クリニック 院長 片平 治人(かたひら はると)
鶴見大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学歯学部付属病院での臨床研修
を経て、 1997 年に片平歯科クリニックを開業。 2003 年に医療法人社団康治会
設立、 2017 年昭和大学大学院医学研究科修了(博士(医学)) 。

ウーマンウェルネス研究会 公式サイト「ウェルラボ」
https://www.well-lab.jp/

 

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