少子化、過疎化の影響で全国のお祭りの運営が厳しい状況に陥りつつあるようでございます。なかには、祭りの参加者を全国から募集しているお祭りも…。
そんななか、全国で絶滅の危機が心配されているのが、子どもたちが担い手である古くから伝わるお祭り、いわゆる「子供の祭り」でございます。
昔は男子だけだったのが女子も参加可能になったり、小学生までだったのが、中学生まで参加可能になったり…、人集め、運営がたいへんな状況にあるようです。後世に引き継いでいきたい日本の伝統が、絶滅のピンチなのでございます。
たとえば、富山県南砺市利賀の上村地区で、毎年1月上旬の土曜、日曜日の2日間にわたって行われる「利賀のはつうま」というお祭り。こちらは、子供達が各地区の家庭を回り囃し唄に合わせて舞い、五穀豊穣や家内安全を祈願するお祭りで、約200年間続いており、国の選択無形民俗文化財にも選択されております。しかしこちらも現在、参加する子供不足で存続が危ぶまれております。
そんな子供のお祭を題材にした絵本を出版している出版社がございます。「リーブル」という児童書の出版社でございます。絶滅の危機にある全国の子供のお祭りを取材し、創作絵本という形で発信、伝えていこうという試み、とても素敵でございます。ところが、ひとつ、大きな問題がございます。このジャンルの絵本は、まったく売れないのでございます。にもかかわらず、この子供のお祭り絵本をシリーズ化、さらに、20年以上も出し続けているのでございます。
いったいなぜ、そんなことを…。それは、編集者の福井和世様が出したいからでございます。その想いは強く、この子供のお祭り絵本を始めた当初は、福井様ご自身が自腹で絵本を製作、出版されていたほどでございます。そんな編集者の熱い想いが込められた絵本シリーズなのでございます。
売れないだけでは、ございません。取材も大変なのでございます。
まず、写真集・資料などを見て絵本になりそうなお祭りをピックアップします。そうしたら、まず、福井様が一人で現地に赴き、お祭りを取材します。それで、いけると判断したら、その次の年、福井様が、「このお祭りだったら、この作家さんと画家さんかなと」と決めた、作家さん達を連れて現地を訪れます。そこから、やっと作家さん達との絵本創作がスタートするのでございます。そうなのです。お祭りはだいたい1年に1回。なので、早くても3年はかかるのでございます。
そうやって出来上がった絵本、いくつかご紹介すると…
群馬県六合村で11月に行われる「十日夜」というお祭りを題材にしだ「わらでっぽうとよるのみち」。
埼玉県荒川村で11月に行われる「てんぐまつり」を題材にした「こうたのてんぐ山えにっき」。
愛知県豊根村で1月に行われる「花まつり」を題材にした「な・か・よ・し」。
これだけではございません。まだまだあります。
是非、この「子供のお祭りシリーズ絵本」を通して、全国の子供のお祭りを知って頂きたい!そして、絵本も読んで頂きたい。それぞれ、お祭りをただ紹介するだけではなく、参加する子供たちの世界がしっかりと描かれております。
しかしです!先ほど、ご紹介したとおり、このジャンルの絵本は売れないのでございます。残念ながら書店や図書館でもなかなか並んでいないのでございます。(もちろんアマゾン等では入手可能です。)
ところが、今ならなんと!
出典:http://aoneko-shobou.jp/
東京・赤羽で、「リーブル展」なるイベントが開催中!ここに行けば、こどものお祭りシリーズがズラリ勢揃いしているのであります。開催期間は7月3日(月)まで、場所は、JR赤羽駅から徒歩10分、とてもオシャレな絵本専門店「青猫書房」でございます。
全国の子供のお祭りに興味を持たれた方、絵本ファンの方、お時間ございましたら足を運ばれてみてはいかがでしょうか…。(文:N田N昌)