ももクロ・有安杏果だけじゃない、芸能&大学生の二刀流!それってどれだけ大変なの?

2017/03/30
放送作家 石原ヒサトシ

「ももいろクローバーZ」の有安杏果(22)が、日本大学芸術学部写真学科を卒業。芸能活動と学業の両立が評価され、約100年の歴史を誇る同学部で新設された芸術学部長特別表彰を受賞した。また、自身が作詞したソロナンバー「心の旋律」を写真で表現した卒業展示は優秀作に選ばれ、学科奨励賞も受賞。4年間学んだ成果と非凡な才能を発揮した。

 

出典:https://twitter.com/nichigei_photo

 

本人からは、「やっと女子大生だったことが公表できた!」とテレビの生番組などで報告。入学時期にメンバーがラジオなどで進学をポロッと漏らす事もあったが、その後は話題にも上がらなかったので、モノノフの中には彼女が大学生だったことを知らない人も多かった。また、4年間のスキルアップぶりに驚愕の声が飛び交った。

 

そんなAnother Storyがあったとは

というのは、ももクロ5人での活動はもちろん、最もキツイであろう4年生の時期には、ギター、ドラムのレッスンを受けマスターし、更に作詞作曲も手がけたソロアルバムを制作した上で、横浜アリーナなどでソロコンサートを成功させている。

 

もっと言えば、この4年間は目まぐるしかった。ももクロ人気は上り調子で、国立競技場でのLIVE、映画「幕が上がる」の撮影、同タイトルの舞台、等、突きつけられる高い芸のハードルを次々越えつつ、実はその裏で学校に通っていたわけだ。本人曰く一番辛かったのが「片道2時間かかる通学」だったそうで、メンバーやスタッフ、家族のおかげと言いながらも、単位を落とさず4年ストレートでの卒業は本当に素晴らしい。

 

まさしく「“小さな巨人!(有安のキャッチフレーズ)”」と賞賛したい。

 

タレント大学生はどこが大変?

普通の大学生だってそれはもちろん大変だろう。では、特に売れっ子タレントだと、どんな部分が大変なのか?

 

タレントにも仕事にジャンルがある。おそらく役者の仕事は時間が読めず拘束時間が長いので大変だ。テレビドラマでも映画でも、雨でロケが延期になったり、スタジオ収録でも何かトラブルがあれば平気で数時間待ちになる。家に帰ってもセリフを覚える作業があるし、一人暮らしはさらに大変。

 

また、作品を23本掛け持ちする場合もあって、そうなると勉強はもちろん出席する時間も削がれ、単位を落とす事になりやすい。日本女子体育大学在学中の、女優の土屋太鳳は出席日数が足りず留年することになった。それでも“来年は絶対に卒業する”と決意をコメントしている。

 

その点では、LIVE活動をメインとするアイドルなどは、まだスケジュールが立てやすいかもしれない。

 

昔と比べて、アイドルが出演する歌番組やバラエティ番組が少ないので、抱えているのがテレビ、ラジオのレギュラーだけとすれば大体同じスケジュールで周る。あとはLIVEとそのリハーサル、レッスンなどが入るという感じで、学業も加味して予定を立てやすい。ただし、体を動かすことも多いので疲労は溜まりやすいだろう。またそこへ俳優の仕事が入ると、かなりてんやわんやになるはずだ。

 

いずれにしても、一般学生のアルバイトより責任が伴う「仕事」を疎かにできない、というのはかなりのプレッシャーだ。“学業優先”とよく言われるが、事務所としたら大学なんか行かずにバリバリ仕事一本に集中して欲しいのが本音だ。でも意志を尊重して大学生を認めてくれて、きっとセーブもしてくれているはず、と考えると仕事で迷惑はかけられない。勉強も仕事もどっちも優先だからやりくりが大変だ。

 

以前、大学に通うタレントと話したら「高校と同じかと思ったら全然違う」と言っていた。高校はテストさえなんとか乗り切ればよかったし、友達がノートを見せてくれたりもした、ぶっちゃけ先生も緩めに見てくれた(笑)。

 

でも大学は違う、周囲も協力してくれるけど、自分にちゃんと身に付けないと先々大変で、ごまかしが利かない。・・・その子の手には、テレビ台本とゼミの資料らしきものが重なっていた。

 

タレントが大学へ行く目的は?

Twitterより @AoiWakana0630

 

今年も、NHK朝ドラ「わろてんか」のヒロイン役に決まっている、葵わかなが慶應義塾大学総合政策部に入学して話題になった。晴れて卒業したのは、「Sexy zone」の中島健人(明治学院大学社会学部)、菊池風磨(慶應義塾大学総合政策学部)。「℃-ute」の鈴木愛理(慶應義塾大学環境情報学部)など。多忙を極める中、大変な数年間だったろう。

 

しかし、芸能という道ですでに成功しているのに、なぜ学業と両立させてまで勉学に励もうというのか?目的は様々だろうが、察するに「仕事につながる」、「芸能界を辞めたときのため」の2つの要素が大きいのか。

 

例えば、そもそもオツムに難ありというイメージが強いジャニーズ。そこへインテリジェンスな風を吹き込んだのが「嵐」の櫻井翔(慶応大学経済学部)、そして「NEWS」の小山慶一郎(明治大学文学部)だ。二人はニュース番組でキャスターに起用されて長い。

 

「Hey!Say!JUMP!」の伊野尾慧は明治大学理工学部建築学科卒で、「24時間テレビ」(日テレ)では、被災地の学校をリフォームする企画で図面を描き、その才能を見せつけている。

 

 “東大アイドル”という肩書を付け、芸能活動の幅を広げようと猛勉強をしたのは「仮面女子」の桜雪。高校生の頃からタレント事務所に所属し、地下アイドルとして活動しながら一般入試で東大受験をするも一度は失敗。しかし努力の甲斐あって翌2012年に合格する。毎日のようにLIVEが行われるなど、多忙を極めながら2016年卒業を果たす。話題性もあって、その後はソロでの仕事が飛躍的に増えた。

 

例えば、クイズ番組はパネラーがいつも同じ顔ぶれじゃつまらないので優勝できる新しい逸材を常に探している。彼女の出番は今後も増えるだろう。

 

福岡県のローカルアイドル「LinQ」の秋山ありすは、昨年、九州大学の医学部を卒業。その後国家試験に見事合格して晴れて医師の道を開いた。“アイドルで医者”マンガでも見たことがない。

 

去る者も…

そんな中、芸能界を引退して別の分野に進むタレントも。“ももち”こと、嗣永桃子は6月いっぱいで芸能活動を辞め、教育の分野へ進むと発表している。彼女はアイドル活動をしながら國學院大學へ通い、小学校教諭一種免許と幼稚園教諭一種免許のふたつを取得している努力家だ。

 

察するに、彼女のキャラもそろそろ…という部分は否めない。おそらくどこかのタイミングできっぱりタレントを辞めて、苦労して手にした資格を活かそうと考えていたのだろう。人生の組み立てが上手だなと思う。

 

トラブルも辞さぬ決意で

このような、タレントと大学生の二足のわらじ活動で話題になった走りは、1998年に早稲田大学教育学部に入学した広末涼子だろう。

 

ただ、彼女は「一芸入試」(*AO入試とも言う)といって、学力とは関係なしに受験者が申告する特技や入学への熱意を査定し入学者を選抜する方法での入学だった。早稲田は売名行為だ、などと教育者からもバッシングされる中、初登校には3千人以上の人が集まってパニック状態に。以来、彼女は一度もキャンパスに姿を見せることはないとされ、2003年に退学した。

 

冷やかしと悪く言う者も多かったが、本人の意志とは裏腹に騒ぎになって迷惑をかけるのを悲観した部分もあったと思う。ちょっと可哀想だった。

 

このようなケースはその後聞かないが、きっと小さなトラブルはあるに違いない。芸能人は特別扱いしなくてもいいと思っているが、特別扱いしてもらわないと他方に迷惑をかける場合がある。これがもどかしいところだ。

 

一般と同じ入試試験を受けて入学するタレントもいるが、一芸入試、あるいは付属高校からの内部進学、通信制という入学の方法もある。どんな形で入学しても、「タレントが?」「やれんの?」「冷やかし?」などと疎ましく思う人は必ずいるだろう。キャンパスで視線が痛いこともあるとか。

 

また、仮に入学が簡単でも、真面目に登校し、しかも頭脳が伴わなければ「卒業」という目的は達成できない。「仕事が大変で退学しました」はカッコ悪いかもしれないが、実際、退学、休学したタレントは沢山いる。

 

タレントが大学へ進学するのは軽い気持ちじゃムリ、並々ならぬ決意がいるのだ。

 

努力はきっと糧に

冒頭で紹介した、アイドル兼写真家を目指す(!?)、ももクロの有安杏果は、6月から名古屋、大阪、東京でソロライブを行うが、会場では自身の写真作品の展示も計画していて、「写真を通してもいろんな思いを、いろんな人に伝えていけたら」と話している。

 

タレントとは、ジャンルを超えて何か極めるくらい、満ち満ちたパワーがなければやっていけない職業なのかもしれない。

 

この記事が気に入ったらいいね!しよう

放送作家 石原ヒサトシ
この記事を書いた人

放送作家 石原ヒサトシ

放送作家 「クイズ雑学王」、「ボキャブラ天国」等 バラエティを中心にイロイロやってきました。なんか面白いことないかなぁ~と思いながら日々過ごしています。野球、阪神、競馬、ももクロ、チヌ釣り、家電、クイズ・雑学、料理、酒、神社・仏閣、オカルトなことがスキです。

放送作家 石原ヒサトシが書いた記事

あなたへのおすすめ

カテゴリー記事一覧

pagetop