梱包の価値観の違いや輸送時の苦労を乗り越えてでも日本に届けたいのは、まだ知られてないフランス、ブルゴーニュ・ジュラ地方ワインの技術の高さや生産者の想い

2022/02/25
マガジンサミット編集部

今回も前回に引き続きお話しを伺ったのはソムリエでもあり、ワインの輸入卸を行っているアティ・ジャパン株式会社の代表取締役 園部 豪さん。代表としてフランス、ブルゴーニュ・ジュラ地方ワインを輸入する時の苦労や生産者の想いなどを語ってくれた。

フランス国内での日本酒ブームもあり、フランスの生産者は日本に憧れ、日本にきたいとよく言っている。男性社会のイメージがある中、現在、取引をしているブルゴーニュ・ジュラ地方の生産者代表は女性で男女の垣根を超えて意思を持ってやっている。そのため、日本を含め世界に自分たちのワインを飲んでもらいたいと力を入れているのだと生産者の想いを語ってくれた。

お金があるフランスの大企業はワイナリーを持つ傾向がある。それがフランスの文化であり、ステイタスの証なのだ。そんな中、大企業に買収されたくないワイン生産者の独立系生産者団体は民間の農協みたいなものだ。自分たちで生産したものを自分たちのルートで販売する。販売ルートなど国などの縛りがないので守られてはいる。フランス国内で約300の生産者が加盟していて、中でもブルゴーニュ・ジュラ地方の生産者が多いと言う。ただ、あまり知られていないのと小規模でもあるため日本への販売ルートを持っていない。しかし技術も高く、星付きのレストランでも受け入れられるような、いいワインやシャンパーニュを生み出しているので今後はアティ・ジャパンを通して多くの人にその美味しさを知ってもらいたいと園部氏は今後の想いを話す。

コロナ禍でなかなか海外にいけない今、フランスとは7時間の時差があるものの、zoomもあるのでコミュニケーションも取りやすくなった。フランスと日本での価値感の違いもあり、ワインの輸入卸業はそれなりに苦労もあると言う。日本は梱包が丁寧なものの、欧米は包装を気にしないため多少、ワインラベルが曲がっていたり、傷ついていてもいいと思ってしまうのがフランス人。そのため日本側で検品をしっかり行っている。特に卸で箱ごと売るため費用を負担して梱包用の段ボールの強度を上げたり、日本側でコストを出資して改善していると現状を教えてくれた。

長期に渡るワインの輸送時の注意点などを聞くと、輸入者として冷蔵コンテナに乗せて船で輸送している点や陸送期間などをきちんと伝えられ、中身の保証をしていくことも輸入者としての務めであると園部氏は話す。ちょっとでも温度が高いと繊細なワインは中身が劣化する恐れもあるので、輸送時のクオリティが保証されていると一般消費者にとっても安心に繋がるのだ。ただ、始めたばかりの企業に対しては船の割り当ては大手企業に勝てないのが現状ではあると今の課題も話してくれた。

しかしながら、そのような苦労を乗り越えても届けたい想いがあると園部氏は言う。フランスの生産者にとっては売るというよりも自分たちが作ったワインを飲んでほしいという気持ちが大きい。そのためレストランで使って食事とペアリングした時に美味しいという言葉をもらうことが一番の喜びに繋がると話す。作ったかいがあるとういう感覚をもっとフランス生産者に感じてもらうためには日本のレストランにワインを広めて、更に生産者の喜びも日本に一緒に届けたいと考えている。そんな熱い心を持ち、ソムリエでもある園部氏のペアリングに対する想いや今後の展開は次回に続く。

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