コース料理ではワインやお酒がソースであり調味料のような存在。日本でもソムリエ文化や料理とのペアリングがもっと浸透するような提案をしていきたい

2021/11/24
マガジンサミット編集部

今回も前回に引き続きお話しを伺ったのはソムリエでもあり、ワインの輸入卸を行っているアティ・ジャパン株式会社の代表取締役 園部 豪さん。ソムリエという仕事の大切さとフランスを含む欧米と日本とのお酒に対する食文化の違いについてなど語ってくれた。

お酒を飲むスタイルや行為自体が日本人と外国人では全く違うと思うと園部氏は話す。特に欧米は主食が肉でお米やパスタは副食の一部となっている。でも日本でお米は主食でお米と一緒にお酒はほとんど飲まない。そのため居酒屋などでつまみを頼むのが一般的だ。しかし海外ではレストラン文化なのでコースがあり、その一部にお酒がある。そのためコース料理内ではワインやお酒がソースのような調味料のような存在・感覚なのだ。それに対してどんなお酒が合うのかを勧めるのがソムリエの仕事。なのでソースを選んでいるようなもの。そしてシェフとソムリエがパートナーとして同じ立場でコース料理を提供するのがフレンチなのだ。

日本食というのは板前が料理するものの、お酒のプロがいるわけではないため料理に合ったお酒の提供という点ではまだ未開拓な部分がある。お酒でもノンアルコールドリンクでもドリンクを提案するソムリエという仕事がもっと日本に浸透していかないと、ただ客にドリンクメニューを渡して終わってしまう。アティ・ジャパン株式会社としてはお酒を卸すだけでなく、そのような考え方も提案していきたいと自身の想いを話してくれた。

例えば、フレンチは最初は冷たい料理から温かい料理へと楽曲のように盛り上がっていくが、日本食は冷たい料理の後に温かい料理が出てきたりする。それが和食でのペアリングの難しいところだ。その中で料理長と共に和食に合うペアリングの流れを考えていくのもプロのソムリエの仕事であると話す。

大手企業との違いや強みを聞くと、園部氏のテーマが「和食とワイン」のため、和食にペアリングするための繊細な強すぎないワインを選んでいると話す。赤ワインに合う食材にお肉のイメージを持つ人も多いが、現在取り扱っている赤ワインはブリの照り焼きなどの和食のお魚でも楽しめるワインになっている。赤ワインは醤油と味噌のイメージですき焼きや焼き鳥のタレなどの和食に合う。また、揚げ物や天ぷら、塩味の和食となるとスパークリングや白ワインが圧倒的に合う。そのような点から自社では和食に合う商品を取り扱っているところが強みでもあると話してくれた。

地球温暖化が進み生産地域がいろんな災害に合うケースが多発している。特に今年はフランスで発芽期にヒョウが降ったため、今年はワインが作れずにワインが高騰化する可能性もある。そんな中、価値と価格のバランスが取れているかどうかを大切にしたいと言う。高ければいいのではなく、価値があるからこそ、この価格というのが大事。そのようなことを和食のお店でもペアリングと共に伝えたいと自身の想いを語ってくれた。そんな園部氏が語るワイン輸入時の苦労やそれでも届けたいフランス生産者の想いなどは次回に続く。

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