2016年2月17日、約3年ぶりとなるアルバム。
「AMARANTHUS(アマランサス)」「白金の夜明け」を2枚同時リリース。
20日からは5大ドームツアー「MOMOIRO CLOVER Z DOME TREK 2016」をスタートさせる、ももいろクローバーZ。
名実ともにトップアイドルとして輝きを放つももクロですが、その道程を振り返ると大凡アイドルのプロモーションとしては王道に反する、いうなれば“アイドルのあぜ道”を切り開いて昇り詰めた破天荒な手段が幾つか見えてくるのです。今回はそのひとつを解いてみます。
ももクロの疑問“なんで水着をやらなかったのか?”
あるバラエティ番組で、芸人が「結局、ももクロってエロの対象だろ?」と発言。
言われたモノノフ芸人は即座に「おまえ、それ言ったらホント怒られるぞ!」と叱った一件がありました。モノノフの多くは同調したといいますが、それってどういうこと?
ももいろクローバーZ(改名前「ももいろクローバー」)の結成は2008年。
活動を始めるも、披露する場所すら与えられなかったので代々木公園の路上ライブからスタート。インディーズでCDをリリースし、全国の電気量販店を車泊でドサ回りキャンペーンした下積み時代の武勇伝は有名です。売れるまでは本当に苦労に苦労を重ねたんです。
ここでひとつの疑問が。
ももクロはどうしてグラビアで水着にならなかったのでしょうか?
アイドルに限らず演技派女優でも若い頃にグラビアで水着姿を披露した人は大勢います。
ぶっちゃけ、男子のホンニャラな部分をくすぐればファンを引き寄せやすいので、やらないよりはやった方が人気アップに繋がるはずです。王道のプロモーション方法なのですから。
しかし、ももクロは今まで一度も水着姿を披露したことがありません(※2012年西武ドームLIVE夏のバカ騒ぎなどでスクール水着っぽい衣装を着たことは有)。
水着どころか露出が高くあきらかにSEXYさを狙った衣装というのは、まず着ません。なので悪意を感じる写真雑誌に掲載されるスナップも殆ど出ません。
ももクロは徹底してエロを排除しているのです。
この“アイドルの脱水着”は従来のアイドルプロデュースのメソッドとしては異例と言っていいでしょう。
ただ、水着をやらなかったのには単純な理由がありました。
所属するスターダストプロモーションは俳優が主な事務所で、基本的に水着にさせない方針があったから。またデビュー時は皆ほぼ中学生で幼すぎ、お見せするほどのものでも…という事情もあったようです。
これが良識あるファンが集まる結果に
水着グラビア=エロ目線(性的対象)は否定できません。ファンにはいろんな人がいますが、ぶっちゃけエロ目線でしか見ていないファンが多いと、色んな意味で怖いです。
この怖さ、言わんとする事は解りますよね?
その点、水着にならないももクロをエロ目線で見る人はかなり少ないでしょう。
ということは“あぶないファン”から被る危険度が低いといえます。
つまり、結果的に水着NGが好転したといえるのでは?
私は、『“水着にならないことで、ももクロとモノノフの間に信頼関係が生まれた”』と思っています
“今会えるアイドル”というキャッチフレーズがあるように、ももクロはファンととても距離が近いという声を聞きます。
実際、ももクロはかなり大胆にファンと触れ合います。
例えばCDやDVDリリースデイ近辺になると、彼女たちは全国へ散らばり地方局のテレビ・ラジオ番組に出演するゲリラキャンペーンを行うのが恒例。今回リリースするアルバムでも行われるのではないでしょうか。
当日はスタッフがTwitterで誰がどこへ行くのか、どんな番組に出るかを徐々に明かしていくので、情報をキャッチしたモノノフが放送局に集まります。ゲリラなので何千人と集まることはないようですが、それでも100人以上集結するのは珍しくありません。
「そんなにファンが急に集って危なくないの?トラブルにならないの?」
と心配になりませんか?実は現場のスタッフ関係者が対応するだけで特別な警備手配などしていません。でも今まで大きなトラブルが起こったなんて聞いたことがありません。
しかも驚くべきことに、ももクロは、集まったモノノフの前に現れて応え、みんなで一緒に記念撮影し、時間があればトークして、ジャンケン大会でプレゼントもして、赤ちゃんがいれば抱いてあやして、部活を頑張っている学生には背中を叩いてき気合を入れて…etc
これ、CDを買った人のみ特典で行うとかのイベントじゃありません、集まってくれたモノノフ全員の目の前でファンサービスとして行っているんです。(※ちなみにサイン、握手、写メ撮影は基本的にNG)“まさに神対応”トップアイドルなのにやっていることがフレンドリーすぎて信じられません。
なぜファンにここまで間近で接することが出来るのか?
距離が近くて危険じゃないか?! という人も多いはず。
でも、ももクロはモノノフを信じているのだと思うんです。「モノノフはマナーが良い」とよく言われます(勿論例外も居るはずですが)。
これをももクロは本当に喜んでいます。もし、どこかで大きなトラブルを起こせば悲しむのはももクロです。モノノフはももクロを悲しませたくなのでキャンペーンで触れ合えるような機会に集っても、いわば皆が警備員のようになってマナー違反者がいればちゃんと注意するそうです。
ただ、彼女たちも結成から8年経過して大人になりました。ファンも増え、おかしな者が出てこないとも限りませんから警戒は怠らないようにして欲しいと思います。
モノノフは純粋な気持ちでももクロが好き
氣志團の綾小路翔さんがこんなことを言っています。
「人生で初めて、性の対象でない女の子を好きになった」
“純粋”という言葉が当て嵌まるこの一言に無償の愛を感じます。
ももクロとモノノフの関係は純粋。ももクロは時に感謝の気持ちを言葉にして伝えます。
「みんなも、ももクロの一員でしょ?一緒に新しいもの作り上げて、進んで、辛い時も楽しい時も同じ時を過ごしてきたし、これからも過ごすんだもん!」
「皆でありえない所まで、進んでみませんか?」
「みんなが叶えてくれた夢だから、すごいのは私たちじゃなくて本当にみんなだと思う」
「ももクロは絶対終わらないって、自信を持って、このメンバーとモノノフさんと一緒なら大丈夫だって、胸を張って言えます」
「何十年も続く女性アイドルグループっていないじゃないですか… 険しい道なのはわかってます。でもモノノフの皆さんと一緒なら、出来るんだと思います」
『ももクロの夢は、モノノフの夢』
ももクロが成長できたのはモノノフの力があってこそとももクロは感じています。モノノフは応援すればするほどその声に応えて成長すると信じています。
そして、ももクロがトップアイドルに昇り詰めたのは、夢に向かって、目標に向かってひたむきに純粋に頑張ったから。
ももクロをトップアイドルに押し上げたのは純粋な気持ちで応援するモノノフの力あってこそだと思います。
ももクロのライブには、小さな子供から90歳代のお年寄りまでやってくるそうです。
こんなに幅広い年齢層から指示されるアイドルは世界を見渡してもなかなかいないでしょう。
好きになる理由、感じる魅力は人それぞれでしょうが、多くのモノノフから共通して感じるのは、“純粋な気持ち”ではないかと思うのです。
ももクロとモノノフ、今までのアイドルとファンという図式の枠を超えた硬い絆を感じてしまいます。
水着にならずエロを排除したことで出来たももクロとモノノフの純粋な信頼関係。これが関係者側の狙いだったかはわかりません。
そもそもステージライブとパフォーマンスでプッシュしていく方針だったそうなのでSEXY路線はハナから眼中になかったのでしょう。
ただ、水着というプロモーションの王道より、あぜ道を進んだことで新しいカタチのトップアイドル「ももいろクローバーZ」が創られ、成功したことは間違いないと思います。
エロ排除と言いつつも、結成から8年、今年は全員が二十歳を迎え大人の女性になるわけで。最近のももクロちゃんは「胸」に対する執着心が強く(笑)、メンバーは夏菜子ちゃんの胸の小ささをネタにしまくっています。ええ、ソフトな下ネタです。
また、ライブMCで「そろそろ色気を出さないとなぁ」言っています。言いましたがモノノフはけっこう失笑でした。
< 取材・文 / 石原ヒサトシ >