日本は麺大国。ラーメンにうどん、蕎麦にパスタ…こんなに麺料理が充実して食べられる国は世界でも類をみないのではないでしょうか?
なかでも、日本人が最も食べている麺料理は「うどん」らしいのです。
日本人の麺に対する意識やこだわりを解き明かすwebサイト【国麺調査】が「普段よく食べる麺の種類」についてのアンケート(※1)をおこなったところ、「うどん」(42.3%)が最も多く、次いで「ラーメン」(35.6%)「そば」(8.9%)という結果になったそうです。
うどんは、なぜ愛されるの?
これは意外!ラーメンじゃないの? と思った方。ちなみに、2016年の「うどん」と「中華めん」の生産数量(※2)は「うどん」が213.194t。対して「中華めん」が245.953tと、総数量では「中華めん」がリードしています。
分類別に見てゆくと“ゆでめん”では、「うどん」が193.236t、「中華そば」が72.250tとなり「うどん」がリード。“ゆでめん”とは、文字通り生の麺を茹でた麺のこと。スーパーマーケットのチルドケースなどで個包装されたものを見かけますよね。逆に、店舗などで利用することの多い“生めん”は、「中華そば」が173.703t、「うどん」が19.958tとなります。
つまり、この数字からラーメンは「外食」、うどんは「自宅」で食べる傾向があることがわかります。前出の【国麺調査】でも、うどん派はその7割が自宅で食べると回答しているそうで、街ではラーメン店の方が良く見かける気がするのに、多くの人が「うどん」を「普段よく食べる麺の種類」と答えたのは、うどんを食べる場所に理由があるようです。
自宅でじっくり煮込んで楽しめる「冷凍うどん」の存在
“ゆでめん”のなかには、茹でた麺を急速冷凍させる「冷凍うどん」が含まれます。「冷凍うどん」といえば「キンレイ鍋焼うどん」。1978年にコンビニエンスストア向け冷凍調理麺として発売を開始し、現在も日本人にもっとも親しまれているブランドのひとつです。
写真)「お水がいらない鍋焼うどん」(キンレイ)※写真左。だし・麺・具が一つになった「鍋焼うどん」。主にスーパーなどで販売。鍋に入れて温めるだけで食べられる。アルミ鍋入り商品はコンビニで販売されている。
近年は冷凍保存技術が発達。手軽に本場の味と美味しさを届けられるようになりました。そのため、地方の有名店やブランド麺がこぞって「冷凍うどん」を商品化。選ぶ楽しさが増えました。
ちなみに、【国麺調査】の「よく購入する「冷凍麺」の種類」では、男女ともに「うどん」(69.9%・63.9%)が1位。女性は「パスタ」(14.7%)が2位、男性は「ラーメン」(20.6%)。3位は女性が「ラーメン」(11.8%)、男性が「パスタ」(8.2%)となっています。(※3 )
チェーン店の台頭がうどん愛に拍車をかけた?
このように、圧倒的に“お家ご飯”の傾向のある「うどん」ですが、2000年に1号店を開店して以来、急成長を遂げた「丸亀製麺」の存在を無視できません。セントラルキッチンを構えず、店舗での製麺に拘る方針がヒットし、外食産業としても「うどん」の地位を押し上げました。
また、筆者、個人として忘れられないのが「うどん県」。2011年に香川県観光協会の特設サイトが発信したもので、県名を「うどん県」に改名するというPRがヒット。サーバーがダウンしてしまうほどのアクセスが殺到しました。
このキャンペーンの影響で「うどん」のローカルなイメージが、ご当地グルメブームというキーワードに昇華し、以降、「うどん」に特別なこだわりと愛情を持つ人が増えたような気がします。
さて、温かい「うどん」で身体を温めたくなる季節がやってきました。子供のころは、おまじないのように風邪をひいたら「煮込みうどん」と、母が、ネギや卵、生姜などを入れた「うどん」を作ってくれました。そんな想い出を抱きつつ、今年の冬も「うどん」を楽しみたいと思います。