米大統領選において、彼らを裏で支えるPRプランナーは大切な存在だ。ファッションから演説、メディアPR、ウエブPRなど、政策よりもイメージで群衆はその大切な一票の投じる相手を決める。
当然、最先端のPR合戦を繰り広げることから、その手法に注目が集まる。例えば、スピーチライターを大衆に認知させたのはケネディ大統領であり、広告やウエブ制作の現場において使われていた『ABテスト』が、一般的に知られるようになったのもオバマ大統領選のウエブPRにまつわる記事からだった。
ちなみに『ABテスト』とはAとBのデザインを比較して、どちらがより課題にコミットする優秀なレイアウトやデザインかを調査する方法だ。ECサイトや広告バナーにおいては、コンバージョン率をあげて、訪問者がより興味をもち“商品や情報が買われるサイト”である必要がある。
買いたくなるサイトにするために、「ユーザー目線で作らなきゃ」なんて言うのは簡単だが、素人には難しいもの。せめて第三者の客観的な意見を聞いて、プロにデザインを変えてもらうぐらいしか思いつかないかもしれない。
でも、もし実際に“ユーザー目線”が “こっそり”と覗けるとしたらどうだろう?
これからのWEBユーザビリティー調査に必要なこと
例えば、サイトにおいてユーザビリティーを調査できるソフトの一つに、雑誌でも紹介されWEBメディアでも多く導入されているghostrec(ゴーストレック)というものがある。ユーザーのサイト訪問から離脱までを記録し、サイト内の「画像」「テキスト」「広告」「見出し」が、どのような経緯でクリックされているのか分析できるツールだ。
どのような仕組みかというと、発行されたトラッキングコードを埋め込み、実際に訪問者がサイト内を遷移(せんい)する様子を自動的に録画するというものだ。マウスカーソルやページスクロール、ページ遷移など記録し、マウストラッキングの情報を蓄積することで、ユーザーの行動を色で視覚化し分類する“ヒートマップ”も活用できる。
ユーザビリティーの問題点を、見える化する
『ホームページで売上があがる会社、あがらない会社、何が違うか』(あさ出版)の著者で、WEBマーケティングコンサルタントの石嶋 洋平氏も、このghostrec(ゴーストレック)を活用する一人だ。
石嶋氏は、『売り上げの芳しくない企業は、usability(ユーザビリティー)調査が上手く出来ていない。(コンテンツ制作において)シャキとみせたい。ふわっとした感じがほしい…といった、擬音を使った感覚的な指示がとぶ現場がいまだに多く存在する。もっとWEBのデータを改善策に活用すべきだ』と雑誌『Web Designing』で話す。
経営者(運営者)は、自社のサイト内で、訪問者がどのような動きをしているのか知っておくべきだし、ユーザビリティーデータを問題解決に活用できれば、より的確にユーザーを目的に誘導しやすい環境を作れるかも知れない。そこでWEBデザイナーやプランナーを交えてクリエイティブミーティングを始めれば、制作者の気分や感覚でデザインを決めてしまう失敗も少なくなる。それは、まさに“お客様目線”の共有だ。
“お客様目線”を共有し、任せきりにしない
そもそも、実店舗においても店内で客がどのように行動するか把握してないような店は不実だ。繁盛している店は、いかにして棚と棚を客が移動し買い物をするのか、日夜観察し効率よく品物を陳列しているはずだ。
「WEBのことは難しいから、ぜんぶ、専門家にお任せするよ」と、それも間違いではないが、経営者(運営者)が問題点を把握しておくことは大切。任せきりにすると、思わぬ損失にもなりかねない。
スピーチライターに演説内容を任せきりにして、無知をさらけ出したトランプ夫人のように、とは言わないけれど。
Ghostrecのサイトでデモ画面を試すことができる。