めっきり気温も下がり、注意しなければならないのが温度差によって起こる肉体的ショック症状「ヒートショック」です。つまり、冬の入浴のタイミングは本当に危険。脱衣所で冷えた体のまま、熱い湯船に入るわけです。
ヒートショックによって心筋梗塞や不整脈、脳梗塞などを引き起こし、突然死してしまうニュースをよく耳にします。家庭の浴槽での溺死者数は年々増加しており、2015年は4804人です。これは交通事故死亡者数の約5倍と成っています。
出典:消防庁http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/170125kouhyou_1.pdf
そして、入浴時の事故死は圧倒的に冬場が多く、12月から2月までが全体の5割を占めます(2014年、東京都23区)。ほとんどの原因がヒートショックと言われています。
では、ヒートショックの対策はどのようにすれば良いのでしょうか。お風呂を医学的に研究し、「世界一受けたい授業」や「ホンマでっか!?TV」などのメディアにも出演している風呂専門医、早坂信哉先生は4つのポイントを挙げています。
お風呂博士推奨の健康的な入浴方法
早坂先生によるとまず「お風呂の温度は40℃にする」こと。40℃程度のぬるま湯は副交感神経が刺激され、血圧が下がるなどの効果があります。逆に42℃以上の温度に浸かると交感神経の働きが活発になり、血圧が上昇。血液の粘度が上がり血栓ができやすくなるので、ヒートショックの危険性が高まります。
次に「入浴時間は10分」。40℃のお風呂に10分以上浸かると体温が上がりすぎてしまい、冬でも浴室熱中症になる危険があるとのこと。また、意外にも「半身浴より全身浴」が良いそうです。全身浴は体が温まり、血流も良くなるのが理由。とはいえ、心臓や肺に疾患のある人は、水圧がかからず体温が上がりすぎない半身浴を推奨しています。
最後に「ミネラル入りの水分補給」です。これは風呂上がりではなく、入浴前に5〜600mlほど補給することが大切。そもそもお風呂に入ると汗をかき、500mlほどの水分が失われます。発汗によるミネラルを補給するには、ミネラル入り麦茶が効果的だそうです。
特に早坂先生は「カフェインゼロ、カロリーゼロのミネラル入り麦茶」をおすすめしており「入浴は就寝前が多く、カフェインを含まない麦茶が適しています。スポーツドリンクなどにもミネラルが含まれており、吸収が早いことから入浴の前後に適していますが、糖分を含んでいるためダイエットを意識する女性や生活習慣病を気にしている男性は避けたがる傾向にあります」とコメントを寄せています。
ミネラル入り麦茶は、研究により「血圧低下作用」や「血液さらさら効果」の傾向が認められたと発表されています。これらはヒートショック対策に効果的。“お風呂上がりのビール”は確かに魅力ですが、健康を考えると“お風呂前のミネラル入り麦茶”を実践した方が良いかもしれませんね。