酢豚にパイナップルが入っているのが許せない、というそこのあなた。なにも加熱して食べる果物はパイナップルだけじゃない。冬の定番、みかんは熱を加えるだけで、一味違う仕上がりになるのを知っているだろうか。あまりに身近すぎて気づかなかった意外性ナンバーワンの果物、「焼きみかん」について紹介していこう。
焼くと甘味は各段に変わる
まず食べて驚くのがその甘さだ。明らかに甘味が増しているのがわかる。焼くと糖度が増すのが理由で、すっぱいみかんも焼くと甘くなる。みかんはビタミンCが豊富で、美肌効果もあり、それ以上に「皮」に栄養がある。無農薬みかんであれば、焼いた後に皮ごと食べることで、その栄養を余すことなく取れる。
ちなみに、皮に含まれるβクリプトキサンチンという成分は抗酸化力があり、メラニン色素の蓄積を防ぐ働きがある。女性の美白美肌やアンチエイジング効果にも一役買うのだ。
皮は「陳皮」として漢方薬にも
また、知っている人も多いが、みかんの皮を乾燥させた「陳皮」は漢方薬にも使われる。体を温める作用があるため、冷え性の人にはオススメ。さらに胃腸の機能を高めたり、アレルギー症状を抑えたり、リラックス効果があったり、血流改善の効果があったりと、まさに万能薬として重宝できる。
焼き加減は皮が黒くなるまで
そんな焼きみかんのつくり方は、いたってシンプルだ。よく洗ったみかんを丸ごとオーブントースターに入れて、およそ5~7分ほど焼けばいい。アルミホイルを敷いてフライパンで焼いてもいいし、ストーブがあれば上にあげておくだけ。オレンジの皮が黒くなってきたら十分だ。果汁は熱々だが、じつに濃厚で、ねっとりとしたクセのある甘味が口いっぱいに広がる。
もし、やみつきになりそうであれば、『御浜の焼きみかん』という焼きみかん専用の陶器も販売されているので買ってみるのもありだろう。陶器の中にみかんを丸ごと入れて熱するだけで、理想的な仕上がりになるという。
ユニークな「焼きみかん鍋」
焼きみかんに飽き足らず、冬にみかんをもっと美味しく食べようとする人たちもいる。山口県の南東端にある周防大島町には、“鍋奉行御用達”の焼き印が入ったみかんを鍋で煮込んで食べる「周防大島みかん鍋」がある。
出典:http://www.suouooshimaichiba.com/item/m0001/
焼きみかんのくだりを見てきたから、あながち話題先行型の奇抜な鍋とは思えない。味も美味たるものが期待できそうだ。周防大島鍋奉行会によれば、みかん鍋としての4つのルールなるものもあり、まさにみかん尽くしだ。
①鍋用みかんとして検査をクリアした鍋奉行御用達のみかんが入っていること
②みかんの皮を練り込んだ地魚のつみれが入っていること
③みかんの皮と青唐辛子を使った「みかん胡椒」で食べること
④鍋の最後にふわふわメレンゲ仕立ての「みかん雑炊」で〆ること
これから冬の寒さが本格的になってくるが、あまりオーソドックスではない、みかんの意外な食べ方で今年は寒い冬を乗り切れるかもしれない。