デンタル保育という新しい価値~待機児童を減らす新しいアイディア〜

2017/08/31
マガジンサミット編集部

安倍晋三首相は2017年度末までとしてきた待機児童解消の目標年次を3年間先送りし、20年度末までに変更しました。

 

政府は4年前に策定した計画に基づいて新たに約40万人分の受け皿を整備してきましたが、待機児童数は15年以降、2万3000人台で推移しており、いっこうに減る様子がありません。果たして、待機児童は減らせないものなのでしょうか。

 

 

そこで今回は、保育や子育ての分野においてつぎつぎと新しいビジネスモデルにチャレンジし、東京都認証保育所『ハッピーマム』や、同プリスクール『ハイブリットマム』などを広く運営する、HybridMom株式会社副社長の熊谷靖広氏に、待機児童を減らす取り組みや、未来の保育について伺いました。

 

ワーク・ライフ・バランスの問題

保育所や託児所の待機児童を減らせない原因は、共働きや女性の社会進出、都市人口の集中、核家族化、保育士の不足…など、複雑でいくつもの理由が重なっています。

 

そんな中、我々、保育所の経営にたずさわる者が少しでも待機児童を減らし、育児と仕事の両立を後押しするためになにが出来るのか? それには、肝心要の保育の現場こそ働きやすく、どの職場よりも“仕事と生活の調和”がなされている環境でなければいけないと思っています。

 

日本には潜在保育士という免許を持ちながら職場復帰できない(しない)方々が、実に80万人以上ともいると言われています。予算を投じて箱(保育所)を建てても、保育士さんの数を確保ができなければ意味のないことです。

 

育児と仕事を両立させたいのは、保護者の皆さんだけではなく保育士さんも同じです。そこで、HybridMomグループでは、子育て中の保育士には自由出勤や週休3日、また働いている保育園に我が子を預けられる福利厚生制度などを設けています。現在、都内に認可・認証・認定保育園を7園、更に本年6月より沖縄に企業主導型保育を運営しておりますが、お陰様で保育士さんの人数を確保できております。

新しい保育所の“かたち”とアイディア

保育所は、働くお母さんや保護者の皆様にとって利用しやすい環境である必要があります。時代のニーズに応え、どのようなサービスがあれば保護者の方やお子様にとって便利なのか?保育所・託児所を子どもを預かるだけの閉鎖的な場所と考えてしまうと、いつまでも良いアイディアは浮かびません。

 

例えば、英語と日本語のイマージョン教育を行っている『ハイブリッドマム』では、母親が授乳の合間に仕事や勉強ができる「コラボレーションラウンジ」を併設しており、育児と仕事の両立や自己実現を目指す保護者を積極的に支援する取り組みをしています。

 

 

今までにも、企業の営業所内に託児所を設ける考えはありましたが、その逆で託児所に自由に働けるスペースがあるのが特徴です。近い将来、増えるであろうリモートワーク(在宅勤務)を意識した環境づくりで、子どもに自宅にいてはできない英語教育を受けさせながら、授乳をしながら仕事に打ち込めると、わざわざ園の近くに引っ越される方もおり、入園の予約が後を絶たない状態が続いています。

未来の保育【デンタル保育】

HybridMomグループでは、来年4月に新しいコンセプトの保育所をフランチャイズで開園予定です。【デンタル保育】といい、口腔を鍛えながら保育をするという、歯医者×保育園(幼稚園)のコラボレーションから生まれた新しい教育プログラムに基づいた施設です。

 

具体的には、他の施設よりこまやかな歯科検診や特殊な歯ブラシによる虫歯の予防などの他に、オリジナルのゲームや体操などを取り入れ、遊びながら“口腔環境”を整え“口呼吸”から正常な鼻呼吸にする事で感染症の抑制や集中力のアップ更には整った顔立ちになるなどの効果があります。

 

ちなみに【あいうべ体操】というのがありまして。あいうえお、ではなく、あいうえべーと、最後に舌を出してそらし口腔を鍛える体操なのですが、口呼吸を改善する効果があります。口呼吸は鼻呼吸に比べ細菌を吸いこみ易く、感染症や虫歯や口臭を発症しやくなります。人は一日に2万回呼吸をすると言われていますから、身体への影響は甚大です。九州のある役所では、この体操を毎朝行ったところインフルザの罹患率が減ったと聞いています。

 

歯医者さん歯科衛生士さんの活躍の場に

実は、この【デンタル保育】には、ライフ・ワーク・バランスの一環として、歯医者さんや歯科衛生士さんの活躍の場をもっと広げるという狙いもあります。敷地内に歯科医を併設し園児や保護者、そして職員等が通えるようにする。逆に、子育て中の歯科医師さんや歯科衛生士さんがお子さんを預けることも可能です。

 

幼い頃から歯科医に馴染むことで歯医者さんに通うハードルを下げるという目的もあります。我々大人は、歯医者さんに定期的に通いデンタルケアをするのが大切だと知っていても、つい足が遠のきがちです。「虫歯になったら行く、痛くて怖い特別なところ」のような感覚が幼少よりあるからかも知れません。英語教育と同じで幼い頃の習慣は大切です。

 

【デンタル保育】は、異業種とのコラボレーションによる新しい雇用の促進。そして歯を健康に美しく保つという点で、まさに弊社、HybridMomグループのスローガンである「 すべては おやこの えがおのために 」そのものです。来年4月に、香川県(フランチャイズ)と福島県(開業コンサルティング)で開園予定です。

 

保護者、特に母親の“仕事と生活の調和”について考えるのがこの国の未来、ひいては子供達の未来を考えることに繋がります。『ハイブリットマム』のコワーキングスペースや、保育士さんのための新しい福利厚生のように、今までにないアイディアやルールを打ち出す必要があります。

 

ハイブリッドマムでは、親が子どもに愛情をそそぐためや親子相互の信頼関係を築くためのサポートはもちろんのこと ➀成育➁知育➂体育➃食育➄口育と、5つの教育「五育」を大切にして「おやこ」に最高の保育環境を提供しています。

 

日々の生活の中でリトミック・体操教室・クッキング保育・舌筋トレーニング等のカリキュラムを組み、子どもたちの活動の時間を作って保育士とプロが手を取り合いながら子どもたちの成長を見守っています。

 

文部科学省学校教育の延長線上にある幼稚園、厚生労働省の働く親のための子供を預けるだけの保育園といった従来型スタイルではなく、今の時代に応えた、これからの時代を生き抜く力を育成し、働くお母さんや保護者の皆様にとって利用しやすい保育園のカタチ・アイディアを提供しています。)

 

保育の現場が率先して、仕事と子育てが両立する新しい生活スタイルを発信してゆくためにも、経営者はスタッフを理解し、互いに支え合ってゆかなければいけません。保育士さんが自分の仕事を誇りに思えるように、そして世の中から尊敬されるようなそんな保育所・託児所が増えることが大切です。弊社では保育士を「チャイルドアテンダント」という新しい呼び名にして新しい時代の保育士のブランドを作り上げる事で現場に復帰してくれる保育士を増やしていきたいと思っています。

 

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