低価格で迅速な海外送金サービスを行うTransferWiseが、フィンテック※の流れを後押しする日本の規制改革の波を歓迎するというコメントを発表しました。今回日本政府が発表した「顧客本人確認」についての改革が実行されれば、多くの日本の顧客が、恩恵を受けると予想されています。
※ フィンテックとはファイナンスとテクノロジーの2つを合わせて作られた言葉。IT(情報技術)を使った金融サービスのこと。
TransferWiseとは
TransferWiseとは、早くて安い海外送金を行えるサービス。例えば、日本からアメリカにいる知人に海外送金を行う場合は、TransferWiseの口座に日本円で振込みを行います。その後TransferWiseのアメリカ銀行口座から、米ドルでアメリカの知人の銀行口座へ入金が行われます。
つまり、送金したお金は国と国の間を移動しておらず、国内のTransferWiseの資金が循環するだけ。こうすることで、銀行などの他の海外送金サービスで取られてしまう海外送金手数料などの余分なお金がかからず、早くて安い海外送金が行えているというわけです。
TransferWiseは日本の規制改革の波を歓迎
日本政府は2018年10月に第19回未来投資会議を開催し、新たな成長戦略の基本方針を発表。その中には、日本における「顧客本人確認」プロセスの改善を目的とした一連の規制改革が含まれていました。これらの改革が実際に行われれば、本人確認の手続きが行いやすくなり、オンライン金融サービス利用は今よりも便利になります。
警察庁は既に、金融サービスの口座開設における顧客本人確認手続きの緩和を発表。今までの制度では、最終的な顧客の身元確認のために、本人確認書類に記載された住所へ転送不要郵便を送る必要がありましたが、犯罪収益移転防止法施行規則の改正により、今では本人確認の手続きをオンラインでできるようになりました。
また、新成長戦略の基本方針では、資金移動業者による取引一件あたりの送金の上限は100万円という決まりでしたが、この上限の見直しも示されています。多くのフィンテック企業に影響するこのような上限が無くなれば、多くの日本の顧客が、恩恵を受けることになります。
このような日本政府の動きを受け、TransferWise のルーカス・メイ氏は次のようにコメントしています。
「私たちは、日本の警察庁および金融庁による本人確認手続きの緩和に向けた動きを歓迎します。顧客本人確認の手続きをオンラインで完結できるようになったことは、フィンテック企業にとって大きな意味があります。こうした緩和措置は、フィンテック・ビジネスのスタートおよびその事業拡大にふさわしい環境へ、日本が大きく前進したことを意味しています。」
「本人確認手続きがオンラインで完結できることになったことで、日本の顧客は、その直接的な恩恵を受け、より迅速に、より簡単に送金ができるようになります。ユーザー・エクスペリエンスの向上は、こうした金融サービスの利用を徐々に促すとともに、フィンテック分野におけるイノベーションや競争を促す原動力にもなり、TransferWise のようなオンライン金融サービスを利用する顧客の利便性向上に繋がっていくでしょう。」
今後の規制緩和によりTransferWiseは、ますます日本人にとって便利でなくてはならないものになっていく可能性があり、今後の動きに注目していきたい所です。