生徒が自転車通学している県内中学・高校の関係者らに、自転車運転の正しいルールやマナーを伝える【自転車通学の安全安心向上セミナー】が、千葉県船橋市で開催されました。
世代別で中高生の自転車事故率は最も多く【年齢層別の千人当たりの自転車事故頻度】よると13~18歳が他の世代より2~3倍以上と圧倒的。そのうち7割が自転車側の法令違反が原因の事故だそうです。
- 週刊ダイヤモンド
Fujisan.co.jpより
高校生は自転車のルール違反を自覚
また、高校生100人に【中高生の自転車のルールやマナーが浸透していると思うか?】というアンケート調査では、8割以上もの学生が“良くない”と回答しており、昨今のポケモンGOブームもあり自転車通学における安全とマナーの指導が急務になっています。
そこで今回のセミナーでは、放送作家でNPO法人『自転車活用推進研究会理事』であり“自転車ツーキニスト”の疋田智氏と、自転車ジャーナリストの遠藤まさ子氏に、中高生の自転車通学の安全についてお話を伺いました。
自転車事故から命を守る3つのポイント
じつは、自転車事故の70%が「出会い頭の事故」。まさか歩道から自転車が飛び出てくると思っていないドライバーが多く、自動車からは、歩道を走る自転車が見えないそうです。
1・自転車は原則、左側通行です
世界的にみても自転車の事故率が圧倒的に多い日本。その理由のひとつが、2015年の法改正以前にあった“自転車は歩道でも良い”というルールにあるといいます。この法律のいいかげんさが、今の自転車事故の多さの原因の一つだと言われています。
改正以前は「路側帯を通行することができる」とされており、左右のどちらとも書かれていないため右側を通行しても違反になりませんでした。しかし改正後は「道路の左側部分に設けられた路側帯を通行することができる」となり、左側と規定され厳格化されています。※
※13歳未満子供と70歳以上の高齢者、障がいのある方は歩道を通っても良い。(他にも例外があるが、歩道を通る場合はその左側を走るのが規則)
安心と安全はちがう
左側を走っていれば、ドライバーは自転車を意識できるため安全です。例え、右側の歩道が広くて走りやすく安心でも、自転車が車両であると自覚を持って、左側通行を心掛けなければいけません。
国土交通省 道の相談室
http://www.mlit.go.jp/road/soudan/soudan_05b_01.html
2・ヘルメットを着用すること
2009年の検察庁調べによると、自転車乗用中に交通事故死した損傷部位の割合の1位は頭部で、全体の63%になります。事故に遭遇したとき、いかに頭を守るかが生死を分けるようです。
ヘルメットといえば白い通学用ヘルメット。正直ダサいですよね。通気性が悪く、新陳代謝の激しい育ちざかりの中高生にとって困りものです。疋田氏は、通学用ヘルメットは“格好悪いもの”という気持ちを植え付けるため、大人になってからの着用率を下げている原因の一つと話します。
自転車用ヘルメットがすぐ壊れる理由
自転車専用のヘルメットは、外殻はカーボネイト樹脂やABS樹脂、カーボンなどで軽くできています。また、内側には衝撃吸収材として発泡スチレンなどが使用さているため、一度衝撃を受けると吸収材が割れて、圧を分散し頭蓋骨を守る仕組みになっています。
しかし、通学用のヘルメットは素材が硬質プラスティックでできているため、衝撃があっても壊れません。ヘルメットは壊れることこそ大切なのです。
自転車専用ヘルメットのお値段
疋田氏は、ぜひ自転車専用のヘルメットを学校で買いそろえてほしいと話しましす。まとめて買えば、通学用ヘルメットとほぼ変わらない値段で購入できることもあるそうです。
ちなみに、自転車専用のヘルメットは個人で買うと6000円~23000円ほどだそうで、それ以外にバックミラーは1500円、リアフラッシャー(LEDが点滅し、暗闇でも100m先から見える)は1000円~1500円くらいで購入できるので、安全のためにも、ぜひ自転車に常備してほしいと訴えました。
3・メンテナンスをかかさない
(独)製品評価技術基盤機構発表によると、自転車の製品事故はこの10年間で367件にのぼり、その内訳は強度不足が29%と最も多く、続いて取り付け不備、締め付け不足で16%となっています。
最近は、ネット通販で自転車を購入する人も多く、きちんとした整備がされていない自転車に乗り事故になるケースが急増しているそうです。自転車購入したら、必ず専門の整備師のいる店舗でメンテナンスをしてもらうことが重要なのです。
BAAマークの確認を
また、現物を見ずに購入すると、実は粗悪品で運転中にフレームが破損するなど、予期しない事故に繋がることもあるそうです。そこで“安全”の目安にしたいのがBAAマーク。約90ヶ所におよぶ点検項目がある厳しい基準で、国内で最も普及している自転車の安全基準マークです。
かならずタイヤに空気を入れる
プロの整備師でなくても確認できることがいくつもあります。意外にしないのがタイヤの空気入れ。自転車購入時に「どんな自転車が欲しいですか?」という質問をすると“パンクしない自転車”と答えが返ってくると、自転車ジャーナリストの遠藤氏は言います。
パンクは品質の問題で、空気を入れなければパンクの原因になる…メンテナンスが重要だと思わない生徒が多いそうです。タイヤの張り具合により、急ブレーキのかかりが30㎝は違うといいます。常にタイヤは空気が充分に入っていることが大切です。
中高生は加害者になることが多い
中高生は自転車事故において加害者になることが多く、登壇された疋田智氏と遠藤まさ子氏は、自転車は車両であること、歩行者に対して危険な乗り物であることを自覚してほしいと、繰り返し訴えられました。
また、東京都は都内全校で自転車通学を禁止してるため、自転車のルールを知らないまま育ってしまうという話しもあり、なるほど大人の自分にとっても大変、ためになるセミナーでした。
今回の記事では、まず“これを守れば自転車事故をぐっと減らせる”というポイントのみ。もっとたくさんの、知っておかなければならない大切なことがあります。詳しくは、ぜひ、自転車の安全利用促進委員会のHPをご覧ください!
http://jitensha-anzen.com/