コロナ禍で激増の読み聞かせ動画。驚きのアメリカの読み聞かせ事情とは…

2021/04/13
N田 N昌

とても残念なことですが、コロナ禍で無くなったもの、減ったものもたくさんございます。その反面、激増したものもございます。例えば「Uber Eats」、今では街の風景として定着しております。さらに、zoomをはじめとするweb会議もそうでございます。

そんな中、絵本の読み聞かせ動画も激増しております。緊急事態宣言下で、学校が休校になっていた頃、自宅で過ごすお子様たち&親御さまのために、数多くの読み聞かせ動画がネット上に投稿されました。

多くは、コロナ禍に伴う在宅育児支援を目的としたものでございました。

有名人の方、テレビ局のアナウンサーの方なども読み聞かせ動画を配信し、話題にもなっておりました。

改めて絵本の魅力、存在価値を世の中に伝えられた出来事でございました。

実は、その裏側では「著作権法違反」の問題も改めてクローズアップされました。

お子様を持つ親御さんならご存知かもしれませんが、コロナ前から絵本の読み聞かせ動画は、ネットに数多く投稿されておりました。

しかし、その多くは著作者の許可を取ってない無断公開、つまり違法行為で、問題視されておりました。悪質なものは、絵本の絵に勝手に加工を施したり、再生回数が1000万回を超え、多額の広告収入を得ているものもございました。

そんな中、ある“読み聞かせ”に関する本に出会い、昨今の読み聞かせ動画人気は、日本の読み聞かせスタイルならではの現象ではないかと気づかせてくれたのでございます。

その本というのが、『ハーバードで学んだ最高の読み聞かせ 思考力・読解力・伝える力が伸びる』(かんき出版)でございます。

著者は、ハーバード大学で“子どもと言葉”、“読み聞かせ”について研究されていた大阪女学院大学・短期大学の加藤映子学長でございます。

本の内容をザックリと紹介すると、これまでやってきている読み聞かせに、先生の提唱する絵本読み聞かせメソッド「ダイアロジック・リーディング」をプラスすると、子どもの「思考力」や「伝える力」が向上するというものでございます。

その中で、もっとも興味深かったのは、日米で絵本の読み聞かせのスタイルがまったく違うということでございます。では、どうようにスタイルが違うのか…

静かにお行儀よく読み聞かせを聴くのが日本流。

うるさいくらいにしゃべりながら読み聞かせを受けるのがアメリカ流なのでございます。

親だけでなく幼稚園などでも、絵本の読み聞かせの最中に、親や先生が子どもに質問をしまくるのでございます。(終了後も、感想や意見を聞いたりします。)

絵本に登場するモノや生き物の名前を聞いたり、数を数えさせたり、さらに、このシーンで主人公はどんなことを考えていたと思うか?など、質問や会話をしながら読み聞かせを行うとのこと。

そう言われれば、日米の学校の授業スタイルの違いに近いものがございます。

日本の教室は静かに先生の話を聞く。そしてアメリカは、積極的に自分の意見を言ったり、質問を投げかけたり、ディベートになったり…。
そのようにして、アメリカの子ども達は、自分の考えを表現する訓練をし、人によっていろいろな意見があることを自然に学んで行くのだそうでございます。

つまり、「“読み聞かせ”=“黙って聞くモノ”」のスタイルの日本だからこそ、読み聞かせ動画が重宝されるのではないかということでございます。

ホントは親が側で読んであげるのが一番なのでございますが…。そうはいかないのが、今の厳しい日本の現状でございます。

(文:絵本トレンドライター N田N昌)

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この記事を書いた人

N田 N昌

放送作家・ナンセンス絵本マニア 「有田とマツコと男と女」「レゴニンジャゴー(アニメ)」 「天才テレビくんMAX」「小島慶子のオールナイトニッポンGOLD」 など、テレビ・ラジオ番組の構成脚本を担当。

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