2020年オリンピック東京大会も間近ということもあり、非常に国内のスポーツシーンが活気づいている今日であります。一方ではアスリートとしての長く苦しい戦いを終えて、第二の人生を目指していかれる方もいます。その行く先は千差万別。現役時代をはるかにしのぐ富を築く方もいらっしゃれば、『あの人は今』的にバラエティでその後を紹介されてしまうような、寂しい人生を送られる方もおられます。
特にプロスポーツの世界は、どうしてもその実績を出し続ける期間は限られており、普通のサラリーマンより早く現役を引退するのが当たり前となるほどであります。そういう時期を迎えた後、果たして第二の人生を歩むための足掛かりをどう作っていくか?特にお金という部分は大きなネックになるわけですが、この命題に対し5日に都内で一つのトークイベントが行われました。
このイベントはKDDIと三菱UFJ銀行が共同出資して設立したインターネット銀行「じぶん銀行」臼井朋貴社長と、現役時代に華々しい活躍を遂げながらも引退され現在は新しい人生を歩んでいる方を招き「お金にまつわるあれこれ」をレクチャーするというもの。この日登場したのは、千葉ロッテマリーンズで華々しい活躍を遂げた里崎智也さん。イベント名も「アスリートのセカンドキャリア支援企画“教えて!臼井社長” 」という非常に興味深いもの。
現在は野球解説者などとして別の側面で野球とかかわりつつ、タレント、ユーチューバーとマルチな活躍を続けられている里崎さん。一方で今回のテーマである「お金についてのあれこれ」に関して開口一番、「非常に興味がありますね~!」。
一方、プロ野球の選手に対する臼井社長の見解としては「若くしてあまり社会接点がない中で大金を掴んでから、セカンドキャリアに進んでいくというケースがわりと多いので、仕事を探していく一方で、将来の貯えなど老後に対するお金というものに関して運用、投資というのを心掛けた方がいいのでは」と大まかなアドバイス。
里崎さんは良い税理士と出会い、さまざまな相談を行う機会に巡り合えたことである程度の方向性は見いだせたとのことでしたが、臼井社長はこういった進め方に感心しながらも、やはり「分散投資」という格好でポートフォリオを形成することを勧められました。具体的には、例えば現在必要なお金、5~10年後に必要なお金、そして老後に必要なお金などと目安を立て、それに合わせて貯えを比率で分けるというもの。当然老後は大きな収入が期待できないわけですから、初期を少なめに見積もるということがポイントになります。
その他にも、例えば社会情勢によって貨幣価値も大きく変わる時代でありますので、複数の通貨で貯えておくこと、投資を行う場合であれば、リスクを考えることも重要であります。また投資については大きなバクチにいきなり打って出るというのは当然お勧めできませんので、例えば近年多く利用されているiDeco(イデコ:個人型確定拠出年金)や、その他ローリターンでもローリスクの投資で経験を得ることを優先し以後の見通しを立てる方向付けを考えていくなどのアドバイスをされました。
これを聞いた里崎さんは、まるで目から鱗が落ちたかのように「ザックリ大きくねらい過ぎましたね」と反省。今のところ損はされていないようですが、この臼井社長のアドバイスは里崎さんにしっかり響いたようです。まさに「ホームランより内野安打」、点数は撮れなくても打率を上げて、といった野球に通ずるところでもあります。
また、臼井社長のワンポイントアドバイスとして「契約金には手を付けないこと」というものもありました。ある意味契約金とは、引退したときの退職金のようなもの。これはできるだけ使わず、いざという時まで取っておきたいものであります。
なかなかに得るものが多かった様子の里崎さん。一方の臼井社長、高校時代は球児としてプロにも憧れたときがあったとのこと。その意味でこの日の対談も大いに盛り上がりました。そんな思い入れもあってか、里崎さんの将来に関して「メジャーリーガーの監督とか…」などと大きなリクエストも。
思わず苦笑いする里崎さんですが、ここでさらにワンポイント。例えば投資先としては現在、アメリカの市場が活気づいているところもあり、一番馴染みのあるマクドナルド、アップル、コカ・コーラなどといった主要な企業の株をいれておくというのも、なかなかにいい方向ではないかとのことでした。
トーク終了時には「引退前よりも稼いでやろうと思いました」と意欲的になった里崎さん。夢はとたずねられると、なんと千葉ロッテマリーンズの社長、なんて言葉も。「まずありえなだろうというところではありますが、夢なんて笑われるくらいがちょうどいいと思っているんです。また来年も新しいことをやろうと思っています。心は子供みたいなんで!」とちょっぴり恥ずかしそうに笑いながら言われていました。
そんな里崎さんに対し臼井社長は「なんか本当になっちゃうんじゃないか、と思いますね」と高評価。現役時代の活躍で見せたクレバーなプレーの数々が、それを裏付けているのかもしれませんね。
現役時代に輝いた選手はみなさんの憧れでもあります。引退後もぜひ光り輝いていてほしいものでありますね。もちろん里崎さんも!ちなみにこの日の臼井社長のアドバイスに関してですが、大きくいえば一般の企業で働かれている方でも考え方としては同じでもありますので、みなさんもぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。