『シンドラーのリスト』や『マイケル・コリンズ』等で各映画祭の主演男優賞を獲りまくり、演技派の仲間入りした名優(怪優でもある)リーアム・ニーソン。 近年は「96時間」シリーズや『トレイン・ミッション』など、ベテラン演技派とは思えない悪い奴らを無慈悲にボコる系映画でセガール化の止まらない日々。そんなリーアムの最新作は、6月7日から日本公開の息子を殺されたリーアムが悪い奴らを無慈悲にボコる映画『スノー・ロワイヤル』。
本作には、他作品では観られなかったリーアムの魅力が連続登場。しかも、スピーディーな展開&独特のユーモアにより、リーアム映画のマンネリを脱した記念碑的作品でもあります。リーアムの魅力と共に本作の見所もご紹介。
もはやサイコパスの日常!!
まずはテンポが良さ。雪で覆われた町を舞台に、除雪作業員役の主人公=リーアムの日常をサクッと説明。マフィアに息子を殺され、模範市民賞を貰うほど善良な市民であるリーアムが1人目のギャングをボコるまで開始僅か20分。悩まない。そこから芋づる式に1人づつ殺していきます。『激突!』よろしく常に猛スピードで追いかけてくるハードなボディの除雪車(主人公の愛車)。犯罪小説で得た遺体処理雑学で、根が真面目だから坦々と殺人処理。もはやマフィアの方が可哀想になってくるレベル。サイコパスの日常を見せられてる気分になっていきます。
本作で様々な魅力あふれる表情のリーアムが見れます!!
そんな異常なテンションの本作の中で、様々な魅力あふれる表情のリーアムが見れます。さすがオスカーノミネート歴のある名優(怪優でもある)です。殺したと思ってた相手が起き上がった時の「あっ」って顔。相手をボコりまくって息が切れた時の可愛いリーアム。マフィアの昼職に行って嘘をついた時の愛嬌はあるけど、バレバレな作り笑い。目の前でイチャつく夫婦にいたたまれない顔をするヒョウキンなリーアム。まさにリーアムの玉手箱を堪能できる一本でもあります。
まぁそれはいいとして、さらにストーリーが進むに連れ、展開はフルスロットルに!!
登場人物たちも変な奴揃い!!
コミカルな選曲やキャラのネーミングセンス。それを劇中でギャグに昇華。ご丁寧にも死んだキャラの名前がその都度、画面にクレジットされる『仁義なき戦い』方式でサクサクとストーリーは進んでいきます。
登場人物たちも変な奴揃い。健康志向のマフィアのボスはリーアムの華麗な連続殺人を敵対する組織の仕業と勘違い。早速、報復に出たものだから抗争事件に発展。その敵対する組織もネイティブ・アメリカンのギャングで、それをギャグにしたシーンも続出。おふざけムード満載なのも緊張感が無くて、笑えたり、逆に怖かったり。
そんなギャング対ギャング+リーアムな状況に巻き込まれるマフィアのボスの子供。賢いけど、やたらとクラシック好きだったりと風変わりな設定。しかも学校では虐められてる様子。悪党サイドながら、ついつい感情移入してしまうドラマもチョイ足し。
さらに、ゲイカップルのギャング。田舎での大事件発生にテンション上がるヤリ手の女警官と逆に萎えてる面倒臭がりなオッサン警官のコンビ。すぐに依頼をチクっちゃうヒットマン。いちいち変な奴しか出てこない、変な奴のバーゲンセール。殺伐としたストーリーからは想像できないブラック・ユーモアを随所に挿入。それらが、クライマックスで集約されていき、妙に格好いいガンアクションへ雪崩れ込んでいきます。
色んな意味で注目な映画『スノー・ロワイヤル』は、6月7日から公開。
映画評論家の真魚八重子さんと映画ライターのてらさわホークさんによる『スノー・ロワイヤル』のトークショー動画記事はコチラ!!
映画『スノー・ロワイヤル』
監督:ハンス・ペテル・モランド(『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』)
出演:リーアム・ニーソン、ローラ・ダーン、トム・ベイトマン、エミー・ロッサム、ジュリア・ジョーンズ、ウィリアム・フォーサイス
原案:『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』
原題:Cold Pursuit
2019 年/アメリカ映画/シネスコ/119 分/PG12/
オフィシャルサイト:snowroyale.jp
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配給:KADOKAWA /宣伝:樂舎