http://www.tbs.co.jp/juhan-shuttaiより
漫画編集部の日常をえがいた人気ドラマ『重版出来』(TBS)を観て「今時の漫画って、ああやって描いているの??」と驚いた人が多いようです。
- 月刊!スピリッツ 2016年 6/1 号 [雑誌]: ビッグコミックスピリッツ 増刊 雑誌 – 2016/4/27 出典Amazon
今時の描き方とは、ドラマ中で新人漫画家“東江絹”が使っていた、専用のペンでディスプレイにそのまま描き込みができる作画用のタブレット、通称【液タブ】のことです。専用ボード(ペンタブレット)に描いて、パソコンに反映させる“板タブ”と2種類あり、今やデザインや漫画の制作現場に欠かせないアイテムの一つです。
電子書籍やウェブサイトが投稿の主戦場になりつつあるなか、デジタルツールを使った作画が普及するのは当然のことかも知れません。とはいえ、紙とGペンというアナログ手法しか知らない一般視聴者や、イラレやフォトショを利用して、マウスでカチカチと描く時代しか知らない世代には、ハイテクすぎる作画ツールに少々戸惑うようです。
デジタル漫画の巨匠といえば?
日本では、いち早くデジタルを取り入れた漫画家として寺沢武一氏が有名です。1985年発表『黒騎士バット』ではコンピューターで彩色し、代表作『コブラ』ではCGを使用。デジタル漫画のパイオニア的存在といわれています。
- COBRA 1 (MFコミックス) コミック。寺沢 武一 (著) 出典Amazon
現在は、背景やカラー調整、彩色だけなど一部をデジタルで処理し、キャラクターなどはアナログで描く“デジタルとアナログの良いとこどり”が主流。なかにはデジタルとアナログを融合させ、今までにない斬新で繊細な世界を描く作家もいます。
2015年9月にNHK Eテレで放送された【浦沢直樹の漫勉】では【デジタルを融合させた漫画】が紹介され、浅尾いにお氏のSF漫画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』制作現場に密着。浅尾氏の細部にこだわるアナログペン技術と、デジタルの利用方法が神すぎる!と絶賛されました。
http://www.nhk.or.jp/manben/asano/
もはや、液タブがないと作れないハリウッド映画
漫画の制作現場を大きく変えたのは、2001年に登場したセルシス社のソフト『COMIC STUDIO』(通称コミスタ)です。ネーム(マンガの下書きと構成)やペン入れ・スクリーントーン(背景や絵柄を印刷したシール)の処理などの作画過程を、まるっとデジタル環境で再現できる革命的なもの。
鳥山明、原哲夫、江口寿史、奥浩哉、桂正和、一条ゆかり……そうそうたる大御所漫画家も使用しているようです。(2015年に販売終了。現在は後継のCLIP STUDIO PAINTに移行)。
一方、ハード面で外せないのが【液晶タブレット】や【ペンタブレット】です。
月刊GoodsPress(グッズプレス)2013年7月号【世界の度肝を抜く日本製品のここがスゴい!】特集号では『世界を変えた技術革モノ』としてペンタブレットを紹介しています。
Wacomはペンタブレット業界で、世界シェア8割(日本国内シェア85.7%)を占めるメーカー。ライトユーザーからヘビーユーザーまで、使う方のレベルや用途に合わせて製品展開しているのが特徴です。
初心者におススメの板タブは?
初心者には、いきなり液タブから初めてしまうより、紙に描くような感覚のペンタブレット(板タブ)で慣れるのが良いようです。価格の手頃さや扱いやすさで高評価なのが『Intuos シリーズ』。
『Intuos Draw』『Intuos Art』『Intuos Photo』『Intuos Comic』と4つのモデルがあり、それぞれ、価格とディスプレイのサイズ(15インチまではS、15〜24インチだとM)。そして自分の表現方法と相談しながら選ぶ人が多いそうです。
ちなみに『重版出来』で、東江絹が使っていた液タブは、それなりにお値段も張るようで…ネットでは「いいもの使っているよね…」「女子大生(東江は就職活動時期の女子)が持てるもんじゃない!」などの声も。
イラストレーターや漫画家などを志望する人達からは、液タブ欲しい、羨ましすぎる…といった感想も多く見られました。