プロ野球選手やサラリーマンから農家に転職!リアルな農業の魅力を知れる「推し農家と語らう 未来農業フェスタ」

2024/02/21
マガジンサミット編集部

農業の魅力発信コンソーシアム主催「推し農家と語らう 未来農業フェスタ〜未来を切り開く、農業の挑戦者になる!〜」が東京都内で開催され、実際に就農や経営を行っている農家が集まりトークセッションが行われた。参加者は現時点で農業に関わる人だけでなく、農業に関心がある人も集まり、ロールモデルとなる農業者によるリアルな話はこれから農業をやってみたいという人にも興味深い内容となった。

トークセッションでは「就農と経営〜どうやって農家になり、続けていくのかを語らう〜」というテーマで5人の農業者が登壇。それぞれの質問に対して、下記のように回答した。

ー就農のきっかけは?ー

■薄羽 哲哉さん(薄羽養鶏場/養鶏農家、元マーケティングリサーチャー)栃木県芳賀郡益子町

大学院まで卒業して企業でマーケティングリサーチャーとして働いていた薄羽さんはそのままサラリーマンとして仕事を続けるつもりだった。しかし借金もあった養鶏場を祖父から父が引き継いだ際に苦労して立て直した話を自身が結婚する時に聞いて、そんな想いをして続けた養鶏場をこのまま閉めていいのか?と疑問に思い、奥様の後押しもあって39歳の時に養鶏場を継ぐことを決めたと話す。卵だけでなく卵を使ったお菓子なども販売している。

■龜山 剛太郎さん(3181Farm/玄米・大豆加工品、元商社マン)東京都渋谷区

商社マン時代は出張も多く、身も心もボロボロでこのままだと大病を患うと医者にも診断されてしまい、その時に一旦、立ち止まって自分のやりたいことについて向き合った。その時に自分のようにもともと農家ではなかった人が農家をやっているということを知り、今までやってきた商社の知識を使っていろいろできるのではないかとスタート。現在、メインに行っているビジネスは玄米を使った冷凍おにぎりを自社製品として販売している。

■川瀬 悠さん(悠牧豚/養豚農家、元広告代理店経営者)富山県富山市

マーケティングリサーチ、市場調査などの会社を経て、就農した川瀬さん。ある調査でマーケティングでうちの野菜を売ってきてくれないかと言われて、農業にもマーケティングが必要だと気づく。そして息子さんが障害を持って生まれてきたこともあり、彼が将来働ける会社を農業分野でつくれないかと思い、スタートした。最初はいちご農家だったが、地元で競合には勝てないと感じ、放飼いで育てる養豚農家に着目した。

■桑原 健太さん(やつしろサニーサイドファーム/晩白柚農家、六次産業化、元金融マン)熊本県八代市

関東の農学部卒業で、実習に農家にいくことや祖父が農家をしていたため、早い段階から農家には興味を持っていた。熊本の地震もあり、実家に帰って就農しようと考えていたら、周りが口をそろえて、一度は社会人経験をした方がいいと言うため、先ずは銀行員になった。その後、就農への気持ちは変わらず、銀行員を辞めて農業をスタートした。地元では当たり前の晩白柚は他ではあまり作っていないため、一度、外に出て客観的に見れたことも大きかったと話す。

■三ツ間 卓也さん(三ツ間農園/イチゴ農家、新規就農、元プロ野球選手)神奈川県横浜市

元プロ野球選手で0から農業をスタート。プロ野球ファンにも訪れてもらいたいアクセスも便利な横浜を拠点に観光いちご農園を開くことにした。就農まで土地探しが一番ハードルが高く、なかなか貸してもらえる土地が見つからなかった。そのため、農地を貸してくれる人を調べて、実際に1つ、1つ訪れて、確認と交渉を進めていったと話す。SNSなどでも「土地が見つからない」など現状を積極的に発信。最終的にはInstagramのDMで農地が決定するなど、SNSの活用も大きいと言う。

ー農業の経営についてー

■薄羽 哲哉さん(薄羽養鶏場/養鶏農家、元マーケティングリサーチャー)栃木県芳賀郡益子町

商品販路の拡大が大変でいろいろと奮闘。壁にぶつかってもめげずに立ち向かい続けてなんとか販路拡大に成功した。新規で既存の農家さんに入り込むのは難しいところもあるが、現在やっているキャリアが農業でも何かしらの強みになるので頑張って欲しいと話した。

■龜山 剛太郎さん(3181Farm/玄米・大豆加工品、元商社マン)東京都渋谷区

栄養価が高いけれど、炊くのに時間がかかり、ポロポロしている玄米を冷凍おにぎりにしてすぐに食べられる商品を販売している。世の中に求められているニーズを把握してそれを商品化していく、ブランディングしていくことが大切。自分の強みを見極めて、先ずは第一歩を踏み出して欲しいと会場の人にもエールを送った。

■川瀬 悠さん(悠牧豚/養豚農家、元広告代理店経営者)富山県富山市

あまり農場には多くの人を入れられないため、生産は静かに行うものの、販売に関しては多くの人に知ってもらいえるように動いている。食べた人がそれを勧めたいと思う感動を与える商品づくりを目指しているものの、収支のバランスをしっかり見て、身の丈にあった経営を行うようにしていると話した。

■桑原 健太さん(やつしろサニーサイドファーム/晩白柚農家、六次産業化、元金融マン)熊本県八代市

市場のニーズに視点を置いて、動いていく。例えば晩白柚などの柑橘だったらジュースにしてみるなどだ。その中でどうコストを抑えていくかも大切で、ホームページは自分で作ってみる、無料のPRツールでもあるSNSを活用するなど工夫をしていくのもポイント。先ずは知ってもらうためにアクションしてくださいとアドバイスした。

■三ツ間 卓也さん(三ツ間農園/イチゴ農家、新規就農、元プロ野球選手)神奈川県横浜市

なるべく野球選手である三ツ間を忘れてもらわないように、その知名度が落ちないうちにいちご農園をオープンしたかった。そのため農園をオープンする前から今の状況をSNSで発信して知ってもらい、これにより応援してくれる人も増えた。農業はお金、時間、労力がかかり片手間ではできないので思い切りのよさも必要だと語った。

 

このように全く違う職種から農業に就農した人の話を聞けて、自分ごとに置き換えられる実のある話を聞けた人も多くいる。また農家同士は横の繋がりも大切だと5人が話していたことから、会場を訪れた農家同士のコミュニティづくりの場にもなったことだろう。”農業をスタートする””農業に興味を持つ”きっかけが生まれそうな農業の魅力がつまったトークセッションだった。

 

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