オリジナルハンガーを製造する「株式会社チャナカンパニー」代表・田島尚也氏が自身の経営の歴史などを語る

2021/03/09
長瀬和也

「KENJA GLOBAL」。この番組は、現代を生きる「KENJA=経営者」の言葉を、独自の視点で捉え、視聴者にお届けする経営者インタビュー番組です。

今回、その「KENJA GLOBAL」に「株式会社チャナカンパニー」代表取締役社長・田島尚也さんが登場しました。

株式会社チャナカンパニー

株式会社チャナカンパニーは2005年に創業。オリジナルのハンガーの製造を中心に、マネキンやトルソー、ディスプレイの装飾などアパレルショップの演出を担っています。同社の特徴としては、小規模のショップの少ない受注でもオリジナルハンガーを製造する点。ショップやブランドのニーズに合わせたハンガーを作っています。

田島尚也さんインタビュー

1963年に大阪で生まれた田島さん。真面目な性格から学生時代には人をまとめる役を任されることが多かったといいます。大学卒業後はIT企業に入社するも、社風が合わず一か月で退職。その後、流通用のハンガーなどを扱う会社に入社し、アパレル業界に足を踏み入れることとなりました。

「単純に家から勤務先までの距離と、給料の面で選んだだけでした。アパレルということで選んだわけではありませんでしたね。ただ、理系の大学を卒業しているので、そこの面接ではシステムの方を担当してほしいと言われたんですけど、やはりシステムを担当するにも商品を知らなければできないので、商品管理から始めさせてくださいと言って物流の出荷業務から始めました。」

持ち前の真面目さから出荷業務を担当していた田島さんですが、自身の発言がきっかけで転機が訪れることとなります。

「営業会議の時に『こんな営業だったら俺でも売れるわ』みたいなことを言ってしまったんです。そしたら『じゃあお前、売れよ』ということで営業にされたんです。営業は毎日新しい人と出会うというのが、自分にとってプラスになることだと思いました。その点が営業をやって良かった点ですね。それと数字に強かったという点もありました。数字の場合は答えは1つ。数字は噓をつかないということで、数字で評価してもらえるのはすごく嬉しいことでした。『ああ、俺は営業向きなんだ』ということで、そのまま営業を続けることとなりました。」

営業として頭角を現し、26歳で東京支店を任されることとなった田島さん。この経験こそが今に繋がっていると言います。

「従業員が30人くらいに膨らんできた時に、あんまり年齢が変わらない人たちと一緒になって組織を作っていくというのが本当に難しかったです。それが一番の悩みでした。やはりその時にいろんな人材がいて、騙されたことや、人が信用できないと思ったこともありましたけど、人を雇って仕事をすることの失敗が今に活きていると思います。」

こうした経験を経て、自らが先頭に立って商売をしてみたいと考えるようになった田島さんは2005年に独立。「株式会社チャナカンパニー」を設立しました。

「当時、メーカーさんが自社でお店、ブランドを立ち上げてのメーカー直販みたいな形が多くなってきていました。東京のアパレルさんは特にそういう風になってきたので、東京の市場というのは生産資材のハンガーをやるよりも、お店のハンガーをやった方がいろんな付加価値をつけられて面白い営業ができるということを、東京支店の最後の方で感じていたんです。納品用の消耗品のハンガーというのは環境の問題でリサイクルするようになってきていたので、付加価値がつけられず、単純に使い回しをする時代になってしまいました。だったらお店のハンガーの方が面白いなという事で、お店のハンガーを中心に独立しようというのが自分の考えでした。」

一つひとつの仕事を着実にこなし、顧客からの信頼を得て成長を続けてきた「株式会社チャナカンパニー」。いま取り組むのは自社ハンガーのブランド化です。

「日本のアパレルブランドは海外に行ってもそんなに見かけないじゃないですか。このブランディングというのが一番大事だなと思ったんですよ。チャナカンパニーのオリジナルのハンガーは、ブランドをしっかりとしてネーミングも決めようという事で、「Balmy(バルミー)」という名前を付けました。Balmyという意味は穏やかとか柔らかいという意味で、名前も言いやすいし覚えてもらいやすいようなネーミングだと思います。このBalmyという名前をアパレルの人だけでなく一般の人にも呼んでもらえるようにブランディングをしていこうと考えています。」

2019年に、特許を取得したBalmy。その軽さやデザイン性を活かし、アパレル業界はもとより、一般消費者向け商品にも力を入れています。

「樹脂ハンガーなんだけど、木製ハンガーのような見た目と質感で、木製の欠点である接着部分が無いのがBalmyです。木製より2、3割安く、2、3割軽いというのが売り文句で、お客さんにとってはコスト削減につながるし、洋服をかけたときにも軽くて丈夫で長持ちします。これもコロナの影響かと思うんですけど、今年は皆さん家で使うものを買っていこうという風になっている。やっぱり自分の家に合ったハンガーをかけたいなと思っているんだと思います。Balmyだと今までにできなかった表現の加工ができる。なので、一般向けにいろんな柄のハンガーを作って提供できるなと思ったのでBalmyハンガーも一般向けに売っていこうとなりました。」

コロナで消費が低迷するなかでも、新たなビジネスチャンスを見出していく田島さん。それを支えているのは諦めずに続けてきたことだと言います。

「ハンガーを30年以上やっている人って世の中にあんまりいないと思うんですよ。そんなに儲かるビジネスでもないので転職していく人も多いと思うんですが、なぜか続けていく事になって、コツコツやってきたことが今につながったのかなと思います。単純にハンガーを長くやっていてどうすれば売れるのか、良いものが作れるのか、といったハンガーの知識が自然と身についただけだと思うんです。」

日本を背負う若者へ

最後に田島さんには、これから日本を背負っていく若者たちへメッセージを送ってもらいました。

「何もしないという事は絶対に後で後悔すると思うので、必ずやりたいと思ったことは実行してください。よく立派な経営者が言うのは、失敗から学べることがたくさんあるということ。失敗するのは当たり前です。若い時の失敗というのは全て自分のプラスになるので思いついたこと、やりたいことにどんどんチャレンジして欲しいです。」

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長瀬和也

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