パッケージデザインのアイディアを競い合う、世界で初めて学生を対象としたパッケージデザインコンテスト『OLYMPAC 東京 2019』が12月04日に東京で開催されました。
これは、「一般社団法人アスパック協会」(東京都渋谷区桜丘町)と「独立行政法人国際交流基金」(東京都新宿区四谷)が国内外のパッケージデザインを学ぶ学生のサポートと成長のため共同開催したもので、世界18の国と地域が参加。
パッケージデザインを学ぶ学生ら約5,000人から選ばれた18名が、当日に発表されたテーマ“ペットフード”にそって、1時間45分以内にデザインアイディアを考え、プレゼンテーションを行いました。
ファイナリストには日本代表の高橋功武さんをはじめ8名が選出され、栄えある金賞にはアレッサンドロ・スパレッティさん(イタリア代表)、銀賞はピエール・アントワン・コサールさん(フランス代表)、銅賞はロー・チェン・ユーさん(マレーシア代表)が選ばれました。
各国のライフスタイルや文化がデザインに反映
犬のおもちゃのようなパッケージのドッグフードを考案し、見事、金賞に輝いたアレッサンドロ・スパレッティさんは、受賞インタビューに「イタリアと日本、そして世界各国にはデザインに関する歴史があり方向性も異なると思う。ただ、パッケージデザインに対して、美と機能性を求めているところは同じだなと感じた」と応え、「普段学校では機能性を求められるが、美も追求し続けていきたい。受賞を心から嬉しく思う。ありがとう!!」と喜びの声を伝えました。
写真)優勝したアレッサンドロ・スパレッティさん。
写真)アレッサンドロ・スパレッティさんのプレゼン風景。
写真)銀賞を受賞したピエール・アントワン・コサールさんの作品。3層に分かれており、1番下の層にはボウルを収納、そのままエサを入れて与えることができる。100%オーガニックで健康にも配慮。
写真)銅賞を受賞したロー・チェン・ユーさんの作品。1回分のペットフードが猫のおもちゃ仕様になっており、遊びながらエサを食べることができる。可愛らしい手書きのオリジナルイラストも高評価のポイントに。
都内の美術大学でグラフィックデザインを学び、将来はパッケージデザイン関係の仕事を考えているという高橋さんは、担当教授から『OLYMPAC 東京 2019』の募集を聞き応募したそう。
課題では、スーパーなどで日常的に売られている猫缶をユニークにアレンジし、思わず手に取りたくなるデザインを提案。ポイントはプルトップが魚の尾鰭になっていることや、缶の絵柄を鮪と猫の絵柄に揃えることができる部分で、全体的に遊び心に溢れるものとなりました。
写真)高橋功武さんのプレゼン風景。
ペットフードといっても犬、猫、鳥、魚などその対象は広く、パッケージデザインやアイディアには、国民性や地域性が反映される面白さがあり、例えば日本ならば猫缶、インドネシアならばひよこのエサといったように、各国のペット事情も垣間見られる国際色豊かなコンテストとなりました。
目指せ! 次世代を担うトップパッケージデザイナー
一般社団法人アスパック協会のフミ・ササダ会長は、「短時間で素晴らしいアイディアの数々を提案してもらい審査する側も楽しかった。来年も日本で開催する予定だが、どのような課題を用意すればいいのか悩む。多様性がありアイディアが限定されにくいテーマを見つけて、学生達に挑戦したい」と第2回目の開催にむけ抱負を語りました。
日本のパッケージデザイン技術は、世界的にみて水準が高いといわれている一方、国内ではパッケージデザイナーの認知が低く、専門性のある教育機関がありません。海外では国策としてパッケージデザイナー教育を後押しする国もあり、世界的に水準が高くなるなか、このままでは日本のパッケージデザイン文化や技術が衰退してしまうという心配もされています。
今回の『OLYMPAC 東京 2019』開催を機に、日本の学生にもパッケージデザインの世界を広く知ってもらい、次世代を担うパッケージデザイナーが誕生することに期待したいですね。『OLYMPAC 東京 2019』の詳細については https://aspac.jp/ まで。