京都市は「西陣を中心とした地域活性化ビジョン」の推進を図るための活動「西陣 connect」を展開している。その一環として、西陣織の事業者3社と異分野のクリエイター3人がチームを組み、独創的な3本の帯を開発する企画「三帯三」を実施。その作品が完成し、9日に製作過程やインタビューをまとめたメイキング動画が公開された。
「西陣connect」ブランドサイト https://www.nishijin-connect.com/
「三帯三」は、西陣織の事業者3社と、絵本作家、建築家、シンガーソングライターという異分野で活躍するクリエイター3人をマッチング。和装等になじみの薄い層にも訴求できる、独創的な帯の開発を目指した。
クリエイターの豊かな感性と西陣織の最高峰の技術を融合させ、これまでにない帯を生み出すとともに、西陣の魅力を様々な人に知ってもらうため、帯から得られた感情を表現した楽曲を制作するなど、帯に留まらない広がりのある企画に発展させている。
絵本作家の谷口智則さんは、西陣まいづるとのタッグで「つながるおもひ」と題した帯を制作。上端(手先)のサンタから見たストーリーと、下端(たれ先)の魚から見たストーリーがぞれぞれの方向から創造性を掻き立てて楽しめる物語となっており、みんなで力を合わせてひとつのことを成し遂げる大切さという西陣織産業の説明にも、子供たちへのメッセージにもなるテーマが秘められている。
建築家の髙濱史子さんは、桝屋髙尾の協力によって「無題」なる帯を作成。、京都西陣エリアの都市構造を“ファブリック”として表現することにチャレンジし、京都特有のグリッド構造の「通り」をねん金糸を使った金色に、帯の太鼓の部分にあたる西陣エリアには色を加えることにより、西陣を中心に発信・発展していくイメージを表現している。
全盲のシンガーソングライター・佐藤ひらりさんは、秦流舎と共に「鼓動」と題した帯を制作。西陣の街を歩き、機織りの音を聞き、糸染めの湿気や匂いを感じた彼女が口にした「機音が4拍子に聞こえる」「爽やかだけど元気になれる、未来へと歩み続ける鼓動」というコメントから、4拍子のタクトをイメージした金彩が施されている。
[https://www.youtube.be/Riv53PcKmGo]
今回の3つの作品は、9日から「西陣connect」ブランドサイトにおいて展示するとともに、販売予約の受付を開始。また、制作過程や開発者のインタビューをまとめたメイキング映像がYouTubeで公開されている。