貧血は私たちの身近にある誰にでも起こりうる体の不調ですが、皆さんは貧血について正しい知識をお持ちでしょうか。貧血は鉄分の不足によって引き起こされるということは広く知られていますが、実はビタミンB12という栄養素の不足も貧血の原因の一つとなっているのです。
そこで今回は、貧血とビタミン B12 の関係性や、ビタミン B12の効果的な摂取方法などを紹介し、併せてビタミンB12不足による貧血が原因の一つとして考えられる「冷え性」に関する情報もお届けします。
貧血とビタミンB12
貧血には鉄分の欠乏によりヘモグロビンが十分に作れなくなることで起こる「鉄欠乏性貧血」のほかにも、ビタミン B12 や葉酸の欠乏により赤血球が十分に作れなくなることで起こる貧血などがあります。
ビタミン B12 や葉酸の欠乏による貧血は、鉄欠乏性貧血と同じく、疲れやすい・めまい・立ちくらみといった症状がありますが、この症状だけでは原因を判断できません。鉄分を補給しても改善しない場合は原因検索のため、医療機関での受診をおすすめします。
ビタミン B12 は植物性の食品にはほぼ含まれておらず、魚介類や肉、卵といった動物性の食品から摂取しなければなりません。そのため、普段の食生活が貧血の原因であれば、食べているものを見直す必要があります。
近年増えているヴィーガンやベジタリアンなどの菜食主義の方はビタミンB12が不足しないように意識的に摂取することを心がけましょう。
ビタミン B12を意識的に摂取するには
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」では、ビタミン B12 の一日の摂取推奨量は 18 歳以上の男女とも 2.4μgとなっています。通常の食事をしていれば不足することはあまりないですが、菜食主義の方や、コンビニや外食など偏食傾向にある方は、意識的に摂取する必要があります。
ビタミン B12 を摂り入れるためには、それらを多く含む、さんま・さば・いわしなどの青魚や、あさり・しじみ・レバー・赤身肉・卵などを食べることが効果的です。動物性食品を避けたい方には海苔などもおすすめです。
貧血症状が原因かもしれない「冷え症」について
ビタミン B12 不足による貧血が原因と考えられる症状の一つに「冷え」があります。冷え性の原因は多岐にわたりますが、単純に薄着や過度な冷房だけでなく、貧血や低血圧、運動不足、栄養不足など血流が低下しがちな原因があると、手足の先などに体内の熱が届きにくくなるため、冷え性になりやすくなります。
冷え性は万病の元であり、心身のさまざまな不調の原因になりうるので、少しでも早く気付き、対策をとることが大切。今回は、総合内科大平医院 副院長・田邉先生監修のもと、冷え症かをチェックできる隠れ冷え症チェックリストを用意しています。
田邉先生のコメント
体が冷えやすい体質を冷え性と言います。現代人は 50 年前の人より体温が 0.5 度も低下したといわれています。それは現代社会においてデジタル化が進むことで、体を動かさなくなった、冷暖房の完備、薄着ファッションの流行、運動不足による筋力の低下などが原因です。冷え性は万病の元です。冷えに気が付き対策することで健康で長生きできます。
また、冷え性の原因の一つとしてビタミン B12不足による貧血もあります。貧血気味の方はその貧血を改善することで冷えをも改善できる可能性があります。
貧血は鉄分不足が多いといわれていますが、現代人の意識変化に伴う食生活の変化がもたらすビタミン B12が原因の貧血もあります。ビタミン B12は食事からももちろん摂取できますが、一日の必要量を十分に摂取することは容易ではありません。効率よくサプリメントで補うこともおススメです。
鉄分不足が原因と多くの人が考えている貧血。なかなか改善しないという人はビタミン B12を摂取することを意識してみてはいかがでしょうか。