本革のコースターにリバーシ?葛飾北斎×レザークラフト展が予想外にオシャレで面白い!

2016/11/10
マガジンサミット編集部

なめし・タンニン・クロムと聞いてピンとくる人は、ファッションに敏感な人か皮革関係者か。聞かれて説明できるとオシャレ!と一目置かれるかも知れない?

ちなみに、毛を処理し原皮を腐らないように加工することを“鞣す(なめす)”といい、その過程で使うなめし剤の種類が、植物性タンニンと金属性クロム。変形や変色が少なく、タンニン鞣しより加工しやすいため、現在の革製品の90%はクロム鞣しだ。

 

さて、紅葉も深まり、いよいよレザーファッションが恋しくなる季節。

 

革製品における【伝統と環境問題】をテーマにした、『日本皮革デザイン促進委員会』の新作レザークラフトのお披露目会が、11月8日から10日の3日間、株式会社クイーポ本社ビル1階ロビー(東京都新宿区市谷本村町)にて開催されている。

※遊びごころが満載。ヌメ革(タンニン鞣しで加工されたナチュラルな革)のリバーシ

 

『日本皮革デザイン促進委員会』は、2015年に発足し、経済産業省の皮革産業振興対策事業の一環として、日本の革製品の価値や伝統を伝える目的で結成された組織。皮革製造や卸、職人など皮革産業に携わるメンバーによって構成されている。

皮から革へ。自然と職人のコラボ技!

自然環境をテーマにした展示では、すべてタンニン鞣しによる20種類の同系革バッグが並ぶ。環境に配慮した“ベジタブルタンニン”で鞣し手染めされたコレクションや、なかには、獣害として駆除された蝦夷ジカの革でつくった作品などもある。

広報の岡田さんによると、駆除された動物は、散弾銃や罠などで傷がつき商品として流通させるのが困難で処分するしかなく、そういった駆除動物の皮を引き取って作り上げたそうだ。確かに、よく見れば作品にキズや裂け目などがある。デニムはダメージがオシャレだったりするが…革製品は、傷やほころび、染色のムラがあると売れないという。

※蝦夷ジカレザーのバッグ。キズやムラをあえてそのままにした作品

 

「それこそが本革の証拠でもあるのですが、今は返品の対象になってしまうことが多く、天然の良さが伝わり辛い時代です。こういった展示を通し、革の良さを再確認していただけると嬉しいですね」と話す。

 

伝統文化こそ新しい。北斎とコラボレーション

そして、もうひとつのテーマが“伝統”。「昨年のコレクションでは、琳派400年をテーマにした作品を展開しましたが、今年は『葛飾北斎』に注目です」と、岡田さん。

葛飾北斎といえば、つい最近もオランダで北斎の描いた西洋画が発見されるなど、なにかと話題が絶えない。おりしも、今月22日には葛飾北斎の作品を集めた『すみだ北斎美術館』もオープン予定だ。さらには、次期、日本国パスポートの新デザインにも『富岳三十六景』が採用されるなど、北斎は、ますます日本を代表するアイコンになりそうだ。

「北斎は世界的に人気のあるモチーフで、特に妖怪『百物語』の“お岩さん”や“こはだ小平二”は漫画やイラストのように見えるのか、外国の方にとても人気です」と説明をうけたが、日本人でも面白い!と思える作品ばかり。

※もったいなくて使えない?!本革コースターと小銭入れ

 

北斎の作品には、ユーモアや洒落、色気すら含まれていて、まさに“革”という個性的で大人がたしなむ素材にピッタリなモチーフ。ちょとオシャレなアイテムとして、さり気なく傍らにおくのが“粋”かもしれない。

※グランピングで使いたくなる?アウトドア用品

 

展示は10日の10時~18時までだが、11月22日にオープンする『すみだ北斎美術館』のミュージアムショップでは、今回展示されている作品が、一部販売されるという。

 

また、展示会は、北斎美術展が人気のパリ、フィレンツェでも、公開される予定だ。

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