コロナ禍をきっかけに、様々な業界再編が起こったこの3年間。外食産業など、非常に苦戦をした業界や企業も多いでしょう。一方、そのコロナ禍においても、順調に業績を伸ばしている業界、企業があるといわれます。
家具や宅食、住宅や動画配信サービスなどが好調な業界と言えますが、その共通する秘訣は、「自分の時間の過ごし方」を消費者に届けていることかもしれません。中でも、住宅業界がテレワークも一つのきっかけにしながら、新築一戸建て事業が各社好調の傾向と報道されています。
今回、その中でも我々が注目したのは、2023年8月に創業60周年を迎えるパナソニック ホームズ株式会社。創業以来、ハウスメーカーとして住宅業界でさまざまな挑戦を続けてきました。近年は持続可能な社会への貢献も目指しています。
去る2023年4月19日(水)、新中期計画・創業60周年記念商品の発表会が総合住宅展示場「ウェルビーみのお」にて開催。その新しい計画と記念商品は、どのようなものなのでしょうか。主なトピックスをご紹介します。
■新中期計画~社会課題対策への挑戦
パナソニック ホームズ株式会社 代表取締役社長 井上二郎氏
はじめに、代表取締役社長 井上二郎氏から、2023年度以降の中期計画が発表されました。
1963年にハウスメーカーとして創業してから60年間、パナソニック創業者・松下幸之助氏の「良家」の精神である “住まいは人が生活していくうえで、一番大切なもの”を受け継いできました。売上は順調に右肩上がりに伸び続けており、さまざまな挑戦と社会課題への取り組みを行ってきました。
●直近3か年の取り組み
2020年から2022年においては、新型コロナ感染拡大、資材高騰、物価高などの市況の影響を受けましたが、3か年で売上・利益ともに着実に伸長しています。環境貢献ではZEH(※)ビルダー評価制度で最高ランクの6つ星となる戸建ZEH率78%を達成しました。
※ZEH:net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略。「エネルギー収支をゼロ以下にする家」を意味する。太陽光発電などにより、生活消費エネルギーよりも生み出すエネルギーが上回る住宅。
耐震構造については、集合住宅3階建において、耐震等級3を誇る“制振重鉄ハイブリッド構造”を展開。健康配慮の空気質においてはZEHに対応可能な全館空調「エアロハス」を累計約4,600棟達成(2017年4月~2023年3月時点)。採用率は40%にも上りました。
その他、店舗併用の賃貸マンションなど土地資産を活かす多層階の拡大や、サスティナブルな街づくりの取り組みも進めています。
●新中期の事業戦略
新中期の事業戦略では、自分らしい生き方を選択する多様性が広がる一方で、経済状況などをはじめとした不安も高まる状況を受け、ライフステージと住まいを通じて、「生涯にわたりお客様とつながり続け、お客様に生涯に渡るご満足をお届けしたい」と井上氏は述べました。
経営目標として、2025年には売上4,207億円、営業利益率は2022年から5.1%上げることを掲げています。
主な取り組みとして、「新築請負、ストック事業の定着、都市開発、海外事業の成長」の4つのテーマを掲げました。これらの事業課題を通じて、社会課題対策への挑戦をし、より社会に必要とされる企業を目指します。
また井上氏は社会課題やとりまく変化として、家庭部門のCO2排出量の増加や空き家増加による周辺環境への影響、地方都市の人口減少、アジア・オセアニアの住宅ニーズの急騰などを挙げ、これらの課題解決に積極的に取り組んでいきたいと述べました。
4つの社会課題に対するそれぞれのアプローチとして、カーボンニュートラルの取り組み、グループ会社のパナソニック ホームズ不動産とパナソニックリフォームと連携した既存住宅の循環による空き家対策、地域創生への新たな街づくり、海外への住宅供給などを掲げました。
■新中期の商品政策と創業60周年記念商品
パナソニック ホームズ株式会社 代表取締役 副社長執行役員 嶋川幸次氏
代表取締役 副社長執行役員 嶋川幸次氏からは、新中期の商品政策と、創業60周年記念商品として新発売する戸建住宅について紹介されました。
●新・中期商品戦略
ハウスメーカーを取り巻く社会課題として、地震災害への備えやCO2の排出量削減、人生100年時代への健康・経済不安、生き方・住まい方の多様化、人のつながり方の変化などが挙げられ、これらの社会課題に対する商品戦略が紹介されました。
事業コンセプトは「生涯のお付き合い」。これからの住まいにおける次の2つの課題への対応をしていくと嶋川氏は述べました。
課題1「多様な生き方」への対応
新築戸建住宅だけでは対応できない、多様な生き方が広がっています。
・中期商品戦略の挑戦
多様な暮らしの選択肢として、賃貸、ストックでも、新築戸建と同様の豊かな暮らし(ウェルビーイング)を実現。
課題2「広がる暮らしニーズ」への対応
高性能、高品質など多数ある住まいにおいて、何かを優先すれば、何かをあきらめなければならないというトレードオフが必要になっています。
・中期商品戦略の挑戦
快適と省エネ(カーボンニュートラル)を両立させ、毎日と災害時の安心を提供しながら、工業化住宅で暮らしやすさを追求することで、トレードオンを可能にする住まいを実現します。
そして「生涯のお付き合い」という事業コンセプトを実現するために、お客様に向けて「つなぐ」をキーワードにした新しい暮らし価値を提供していくと述べました。
●創業60周年商品
創業60周年記念として新発売される3商品について紹介されました。
1.賃貸『ビューノ』
トップクラスの遮音快適性を持つ、持続可能な工業化賃貸住宅です。賃貸でもストレスフリーな暮らしや環境との共生、オーナーの持続資産になるように配慮されています。
2.ストック『リフォーム用全館空調システム』
既存住宅を、将来も安心な住まいとして次世代につなぐという意味で、リフォーム用全館空調システムを実現。これにより、良質な住宅ストック化が可能となります。さらにカーボンニュートラルに貢献し、オーナーに新築同様の安心・快適な暮らしを実現します。
3.戸建『カサートプレミアム』箕面展示場モデル
家族それぞれの多様な過ごし方と、トレードオンが可能な住まいです。
戸建『カサートプレミアム』箕面展示場モデル
『意識しなくても心地よさを感じる』暮らしやすさを目指し、さまざまな工夫がされています。
光が降り注ぐ通路『光の回廊』などのつながりを生む空間によって家族をつなぎ、災害の備えも含めた自然との共生を実現。将来の住み替え・売却時にも価値あるストックになる点や、健康快適と安全が続き、循環可能な良質のストック住宅を目指します。
特に、長年の実績を踏まえたリスク軽減価値として、地震あんしん保証を10年から「最長35年保証」に延長しました。
まとめ
新中期計画・創業60周年記念商品は、社会課題に真摯に付き合い、時代ニーズに合ったものでした。実際、同じくパナソニック ホームズが4月17日に発表した調査(https://www.atpress.ne.jp/news/352729)によると、Z世代が新築一戸建てを希望しているという結果となり、多くの世代で、「安全な住まい」、「快適な住まい」、「長く住める」を求めているニーズが明らかとなっていました。
それらのニーズに合致するように、展示場で紹介された新しい戸建『カサートプレミアム』は、次世代の住み続けたくなる住宅。これからの同社の挑戦と社会貢献に期待が高まります。